勤務形態とは雇用形態ともいい、一般的には正社員・契約社員・アルバイト・パート・業務委託などが挙げられます。
当然、介護業界も事業者ごとに様々な勤務形態が設けられており、それぞれにメリット・デメリットがあります。
そこでこの記事では、介護業界の勤務形態について詳しくご紹介。
また「介護業界における転職先の探し方」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
介護業界の勤務形態は非正規雇用が多い
管理職や一部の内勤は正規雇用(=正社員)がほとんどですが、現場で介護の実務にあたる介護職員のなかには非正規雇用(派遣社員やパートなど)が大勢います。
公益財団法人 介護労働安定センターが調べたところによると、介護施設における介護職員の約4割が非正規雇用。これが訪問介護員になると実に8割近くにもなります。
これほど非正規雇用の割合が高い業界も珍しく、正社員とは違った働き方を検討している人にとってはうってつけの業界といえます。
*引用元:http://www.kaigo-center.or.jp/
非正規雇用の勤務形態が多い理由
介護業界に非正規雇用が多い背景には、慢性的な人手不足があります。一昔前まで介護業界は低賃金・長時間労働が当たり前でした。
今でこそかなり改善されてきましたが、それでも全職種を対象とした正規雇用の平均年収を下回っており、まだまだ希望者が少ない状態。その一方で高齢化により介護へのニーズが高まっていますから、人手不足はなかなか解消されません。
そのため、勤務形態を「非正規でも可」として求人を出し、主婦や学生などの短時間勤務者でも働きやすいように工夫しているのです。
介護業界の主な勤務形態
介護業界で出される求人をみると、次の4つの勤務形態があることが分かります。
- 正社員
- 契約社員
- 派遣社員
- パート・アルバイト
これらの中で正規雇用にあたるのは正社員だけ。ほかの3つはすべて非正規雇用です。
では、各々の勤務形態にはどんなメリット・デメリットがあるのか?以下で詳しくご紹介していきます。
正社員
就職ときいて一般的に思いつく勤務形態が正社員です。通常は社会保険、厚生年金などがついており、もっとも安定した働き方といえます。
ちなみに、介護福祉士の資格を持つ介護職員の場合、月収の相場は20~25万円ほど。年収に換算すると300~370万円ほどになります。(残業や夜勤の有無などで変動)
日本の正社員全体の平均年収が約440万円ですから、介護業界は決して稼げる業界ではありません。
正社員のメリット
介護業界で正社員として働くメリットは、資格取得や勤続年数に応じて昇格がすることがあり、年収の面で条件の向上が期待できるということ。成果主義の営業会社とは違い、介護業界で評価されるのは経験と資格なのです。
経験は勤務年数に比例しますし、資格はコツコツ勉強していけばある程度ものは取得できます。つまり、やるべきことを真面目にこなしていけば、仮にビジネスの才能に欠けていたとしてもそれなりの所得が得られるということ。
また、賞与があるというのも正社員という勤務形態の大きなメリットといえるでしょう。
正社員のデメリット
正社員のデメリットは「残業が多い」ことと「休みが少ない」こと。非正規雇用から安定した労働力の供給を得ることは難しく、介護業界では「シフトが埋まらない」という状況が度々発生します。
そのため正社員はシフトを埋めるために長時間労働が当たり前。その結果、「残業が多い」「休みが少ない」といった状況になるのです。
非正規雇用率の高い介護業界ならではのデメリットで、特に夜勤がある事業所においては相当な体力を求められます。
契約社員
契約社員はあらゆる雇用条件がパート・アルバイト以上、正社員未満。
例えば月給においては、正社員より2~3万円ほど低くなるものの、勤務時間が長いためパート・アルバイトよりも多く稼ぐことができます。
なお、介護現場で働く契約社員は最長3年間の期限付き雇用。その期限内で各事業所が契約期間を定めており、期限が切れたら更新する場合もあります。
契約社員のメリット
契約社員のメリットは、正社員に近い条件のわりに正社員と比べて採用のハードルが低いということ。
これは雇用期間に期限があり、事業所側が「適正のない人なら期限を迎えたときに契約を解除すればいい」と考えているから。逆に、「正社員への登用あり」という条件をつけ、有能な人材の発掘を行っている事業所もたくさんあります。
したがって、「いったん働いてみて気に入れば正社員に応募しよう」という考え方ができるのも派遣社員のメリットです。
契約社員のデメリット
契約社員のデメリットは契約に期限があること。更新してもらえることが多いとはいえ、それは事業所側の都合次第。
法律上、契約社員との契約打ち切りに関しては、事業所側に事前通告の義務はありませんから、「更新をあてにしていたのにいきなり契約を打ち切られた」ということが多々あります。
それに対して、正社員が解雇になる場合は1ヶ月程度の猶予があることが一般的。そもそも、正社員はよほどのことがない限り解雇にはなりませんから、雇用の安定という意味で契約社員は正社員より大きく劣るのです。
派遣社員
派遣社員とは派遣先(事業所)と派遣元(派遣会社)の契約によって成り立つ勤務形態のこと。
契約の延長や終了、その他の条件についても派遣先と派遣元の間で話し合われるため、派遣社員は派遣元から紹介された事業所に出社して業務をこなすのみです。
通常は責任の重い業務にはつかず、単独で行動することもありません。
派遣社員のメリット
派遣社員のメリットは働く事業所を変えるのが容易だということ。「職場の雰囲気に馴染めない」というのはよくある話で、「できれば別の事業所に移りたい」と思うことでしょう。
しかしながら、正社員だと退職しにくいという事情が。あまりにも短期間での退職だと履歴書の見栄えが悪くなるので次の就職活動に影響がでます。
その点、派遣社員は事業所を転々と変えるのが一般的。それでも事業所側からのニーズが高いので、次の派遣先は簡単に決まります。こうして派遣社員は居心地の良い職場を見つけることができるのです。
派遣社員のデメリット
派遣社員にはいつ何時派遣契約を打ち切られるかが分からないという不安があります。事業所側は人員が足りないときに、それを埋める目的でスポット的に派遣社員を雇います。
「スポット的」になるのは、事業所にとって派遣社員はコストが非常に高いから。できればもっと安いコストで雇いたいというのが本音ですから、派遣社員を雇いながらも裏では正社員やパート・アルバイトの募集をかけています。
そのため、正社員やパート・アルバイトで必要な人員が確保できた場合、まっさきに契約を切られるのが派遣社員なのです。
パート・アルバイト
非正規雇用の代表格といえるのがパート・アルバイトです。
かつては空いた時間に少額を稼ぐ勤務形態と考えられていましたが、昨今ではパート・アルバイトで生計を立てるフリーターという選択肢が台頭。
社会保険や年金などの面において不安な点はあるものの、若者を中心に新しい働き方として根付いてきました。
パート・アルバイトのメリット
パート・アルバイトのメリットは勤務日数、勤務時間など、働き方の希望が出せるという点。
これは月間の出社日数と一日の勤務時間が決まっている正社員や契約社員にはないメリットです。
また、残業になることが少ないというのも魅力。プライベートな時間を大事にしたい人やWワークの人にはとてもありがたい勤務形態といえます。
パート・アルバイトのデメリット
パート・アルバイトのデメリットは管理職や内勤にはなれない(ことが多い)ということです。バイトリーダーくらいにはなれるかもしれませんが、それ以上は望めません。
したがって長く勤めても仕事内容に変化がなく、人によってはやりがいを感じられないことも。
また、なかなか時給が上がらないので、長く勤めても所得の面では期待できません。
各々の勤務形態に向いている人
ご紹介したとおり、勤務形態が違えばメリット・デメリットも違ってきます。
そこで、各々の勤務形態に向いている人を説明していきます。
介護業界で働くことを検討している人はぜひ参考にしてください。
正社員に向いている人
介護業界の正社員として向いているのは「資格取得に抵抗がない人」です。というのも、介護業界は資格取得をしないかぎり大きな出世も昇給も望めない業界だから。
数年かけて認定介護福祉士やケアマネージャーの資格をとり、それを生かして転職したり事業所内で昇進していくのが介護業界のキャリアアッププランです。
そのために多くの事業所が資格取得支援制度を導入していますから、「たくさん勉強して介護系の資格を増やしていきたい」という人は正社員に応募しましょう。
契約社員に向いている人
契約社員に向いているのは「介護業界を覗いてみたい」「実務を経験してからやっていけそうかどうかを考えたい」という人です。
介護の仕事は辛いことも多いので、実際にやってみてから続けられそうかどうかを判断するのは賢い選択。
実務と資格取得に向けた勉強を両立できるのか、介護の仕事に将来性とやりがいを感じられるのかなどをチェックし、迷いがなくなってから改めて正社員に応募すると良いでしょう。
派遣社員に向いている人
派遣社員に向いているのは、主婦や独身で実家暮らしの人です。一ヶ所で長期間雇用されることが少ない上に、派遣終了後は次の派遣先が決まるまで待機。
つまり収入に不安定さがあるわけで、一人暮らしの人が派遣社員で生計を立てるのはリスキーです。
また、介護職員としての昇格もあまり期待できないので、主婦や独身で実家暮らしの人など「大きく稼がなくても大丈夫」という状況が前提となります。
パート・アルバイトに向いている人
パート・アルバイトは「少ない空き時間を有効活用したい」という人におすすめです。
「週1回しか働けない」「夜間のみ」「平日の午後のみ」など、人によっては条件は様々。一般的なオフィス勤めは難しいところですが、介護業界であればまったく問題ありません。
その意味では稼働日数・時間に制限がある主婦や学生、Wワークの人に丁度良い勤務形態です。
おすすめの介護系転職サイト
介護業界で働くことと希望する勤務形態が決まったら、具体的に応募先を探すことになります。ハローワークや転職情報誌を活用するのも良いのですが、もっとも効率的でなおかつ効果的なのは転職サイトを利用することです。
介護系の転職サイトはいくつかありますが、以下の3つはとくにおすすめ。
転職活動においては情報収集力がものを言うので、3つすべてに登録し、できるだけ多くの求人情報や事業所紹介に目を通してください。
<おすすめの転職サイト>
- マイナビ介護
- 介護レポ
- きらケア
マイナビ介護:株式会社マイナビ
マイナビ介護は掲載求人数が多く、利用者の満足度が非常に高い転職サイトです。検索機能が優れており、勤務形態を含む様々な条件で求人を検索することが可能。
さらに、専門のキャリアアドバイザーに電話で詳しい希望条件を伝えれば、ベストな求人をピックアップしてくれます。
就職後の給与やキャリアプランなどについても相談できるので、介護業界の知識に乏しい人であっても問題なく転職活動できることでしょう。
*引用元:https://kaigoshoku.mynavi.jp/
介護レポ:株式会社repo
介護レポは応募先の情報を集めるのに適した転職サイトです。正社員に応募するなら応募先の教育体制や資格取得支援制度、職場環境、給与体系などは気になるところ。
面接の場で細かく質問するのが憚られるようなことであっても、介護レポであれば事前に知ることができます。
転職活動ではこうした企業研究が効果的に作用しますから、介護レポを使ってできるだけ多くの情報を集めておきましょう。
*引用元:https://www.repo.co.jp/kaigolp/
きらケア:レバレジーズメディカルケア株式会
きらケアは「面倒見が良い」と評判の転職サイトです。というのも各事業所ごとの面接対策や面接に同行してくれるというサービスがあるから。
これらの細かいサポートによって採用率が高まるので、競争倍率の高い求人に応募したときなどは大変有利です。
面接には面接官うけするコツがありますから、きらケアの面接対策を通してそのコツをしっかり学んでください。
各勤務形態の特徴を生かして良い就職を
この記事では介護業界の勤務形態についてご紹介しました。勤務形態は正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトの4つに分けられ、それぞれにメリット・デメリットがあります。
したがって、正社員で入社することが必ずしも良いとは限りません。
将来設計や希望年収、自分の性格などと各勤務形態の特徴を照らし合わせ、ベストな形で応募するようにしてくださいね。