介護福祉士実務者研修という資格があることを知っていますか?
この記事では「介護福祉士実務者研修」について解説していきます。
結論、介護福祉士実務者研修は介護系の資格で金銭的な補助がでることもあり、働きながらでも取得可能です。
介護福祉士実務者研修の取得を検討する際、わかりづらい「介護福祉士実務者研修の実態」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。
その他にも「介護福祉士実務者研修の難易度」の説明や、「介護福祉士実務者研修のメリット」について説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んで介護福祉士実務者研修を取得していただければ幸いです。
介護福祉士実務者研修とは?
介護福祉実務者研修は、介護職員の質の向上とキャリアアップ、より実践的な知識と技術の習得を目的として2012年に創設された講座で、質の高い介護サービスを安定的に提供し、基本的な介護スキルを修得する目的とした資格です。
かつての「ホームヘルパー1級」と「介護職員基礎研修」を一本化した後継資格として位置づけられており、介護福祉士国家試験を受験するためには、実務経験3年以上に加えて必ず受講しなければなりません。
今後さらに高齢化社会に進んでいく日本にとって、介護資格を持っている人は貴重です。
実務者研修は幅広い知識や技術を習得するための研修と位置づけられており、介護職員のスキルアップに必要な研修といえるでしょう。
介護福祉士実務者研修で学ぶことは?
介護福祉実務者研修では、普段の実務経験では身に付けることができない知識や技術を学べます。
受講カリキュラムは、「人間と社会」、「介護」、「こころとからだのしくみ」、「医療的ケア」の大きく4つ。通常20科目で、受講時間にすると450時間です。
「人間と社会」の内容は、介護を行う上での基本理念や介護施設サービスの種類、介護保険制度、社会保障制度の学習です。
「介護」では、介護の基本やコミュニケーション技術、福祉用具の活用方法、介護計画の立案方法などを学びます。
「こころとからだのしくみ」では、老化による身体機能や心理的な変化、認知症の理解、障害の理解、生活に関連した動きの介護といった内容のカリキュラムです。
そして「医療ケア」では、医療的ケア、安全な療養生活などを学習し、喀痰吸引のケア、経管栄養のケア、救急蘇生法の演習を行います。
450時間とありますが、もし初任者研修などの介護に関する資格を持っている場合、免除されるカリキュラムもあるため、さらに短時間で取得も可能です。
介護福祉士実務者研修の取得費用が異なる理由
介護福祉士実務者研修の講座を調べると、取得費用の違いがあることに気づくでしょう。
費用が変わる理由は、以下3つが理由です。
- 所持している資格がある
- 就職サポートなどの付加価値
- スクールの立地
ここでは、介護福祉士実務者研修の取得費用の違いを解説するので、ぜひ参考にしてください。
所持している資格
介護福祉士実務者研修は、すでに持っている資格の種類によってカリキュラムの免除があります。
たとえば、介護職員初任者研修・ホームヘルパー2級修了者は130時間、ホームヘルパー1級修了者は355時間、介護職員基礎研修修了者は400時間が免除されます。
そのため、すでに資格を持っている人はスキルアップやキャリアアップのために、介護福祉士実務者研修を取得するとき、費用面で有利なのでぜひ受講を検討するといいでしょう。
また、無資格で介護福祉士実務者研修を取得するよりも、初任者研修などを持ってからの方がスキルアップにつながります。
取得までの時間だけでなく、費用面も含めて先に他の資格を取っておくと、介護福祉士実務者研修をスムーズに取得できるでしょう。
就職サポートなどの付加価値
介護福祉士実務者研修は、ハローワークの職業訓練にある求職者支援制度を用いて習得が可能です。
求職者支援制度は、雇用保険をもらえない求職者が、新しい仕事に就くための資格試験や研修受講、技術訓練を無料もしくは低負担で受けられるように支援する制度なので、これから介護職に就きたい人は利用を検討するといいでしょう。
就職活動中に仕事を探しながら資格取得ができるので、非常に便利でメリットも多いです。
ただし、求職者支援制度の利用は、以下の条件に当てはまらなければなりません。
- ハローワークで仕事の申し込み(求職)をしている
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でない
- 労働の意思と能力がある
- 就職のために職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めた人
条件はありますが、ハローワークに通っている人ならば、申し込める機会はあります。
低価格で介護福祉士実務者研修を受講できるので、利用しない手はありません。
スクールの立地
スクールの立地によっても資格取得費用が変わります。
比較的賃料が安い場所に立地しているスクールは取得費用が安い傾向にあり、受講生が通いやすい立地だと賃料も高くなるので、取得費用をを高く設定しているケースが多いです。
スクールによっては、地方ごとに割引制度を設けているところもあるため、キャンペーン情報などを確認するとお得に通学できるかもしれません。
介護福祉士実務者研修のスクールを選ぶときは、同じ立地でも費用が変わるため、いくつか比較してみるといいでしょう。
介護福祉士実務者研修の受験資格
介護福祉士実務者研修の受験資格は、とくにありません。
介護の資格も必要なく学歴も不問で、誰もが未経験で受験できるため、これから介護の仕事に就きたい人にも取得しやすい資格といえるでしょう。
年齢の制限もないので、60歳を超えてから取得する人もいます。ただし、未成年の場合はスクールに通学するには保護者の同意が必要となるので注意してください。
介護の資格を持っている人は、受講時間が免除されるのでメリットがあります。
そのため、未経験者は初任者研修を先に受講してから、介護福祉士実務者研修にステップアップすれば、時間的にも費用面でも取得の負担を減らせるのでおすすめです。
介護福祉士実務者研修の取得期間は?
介護福祉士実務者研修を取得するために必要な研修時間は、標準で約6ヶ月です。
時間数にすると450時間ですが、これは無資格の場合なので、たとえば初任者研修などの資格保持者はさらに短い時間で取得できます。
研修は「通学」と「通信」どちらからでも可能ですが、多くの多くの科目を通信による自宅で学習できるため、通信を選ぶ人が多いです。しかし、一部の科目についてはスクーリングが必要なので注意してください。
介護福祉士実務者研修を取得する3つのメリット
「介護福祉士実務者研修を取得したらどんなメリットがあるだろうか」
そんな疑問を持つ人もいるでしょう。
介護福祉士実務者研修を修了すると、大きく3つのメリットがあります。
- キャリアアップにつながる
- 介護福祉士の受験資格を得られる
- サービス提供者になれる
ここでは介護福祉士実務研修を取得したメリットを詳しくみてみましょう。
キャリアアップにつながる
実務者研修取得後、喀痰吸引などの研修を修了すると「認定特定行為業務従事者」としての交付が可能です。
交付を受ければ、医療行為として医療従事者しかできなかった、たん吸引や経管栄養などの医療行為を行えるためできる仕事を増やせます。
介護施設においても「資格を取得している」「介護の実務的な知識を持っている」と認められ、給料が高くなる可能性もあるでしょう。
また、資格を持っていれば就職や転職にも有利です。
資格保持者というだけで、介護職に対する熱意も感じられ、キャリアアップにもつながります。
介護業界でさらに自分を高めたい、やれる仕事を増やしたい、給料アップしたいという人は取得を検討するといいでしょう。
介護福祉士の受験資格を得られる
介護福祉士実務者研修を取得していると、国家資格である介護福祉士の受験資格を得られます。
以前は3年以上の実務経験があれば、初任者研修のみでの受験も可能でした。しかし、介護士の質の向上と高いサービス提供の観点より、2016年以降の試験では制度改正から「実務経験3年+実務者研修」が必須です。
介護士としてのキャリアアップを検討している方は、介護士福祉士実務者研修を必ず取得しなければなりません。
サービス提供責任者になれる
介護福祉士実務者研修を取得していれば、訪問介護事業所では必須であるサービス提供責任者として活躍できます。
サービス提供責任者は、訪問介護事業所におけるリーダー的なポジションで、ケアマネジャーと連携した訪問介護計画の作成やヘルパーの指導・管理などを行う、介護職の管理職といってもいいでしょう。
介護業界でマネジメント業務に就きたい人は、介護福祉士実務者研修を取得していればその道を開けます。
介護福祉士実務者研修は難しい?
ここまで解説してきた介護福祉士実務者研修ですが、実際に取得の難易度はどのようなものか気になる人もいるでしょう。
そこでここでは、介護福祉士実務者研修を取得するための勉強時間や合格率、取得方法を解説します。
「研修を修了できるかわからない」「資格と聞くと不合格になるのではないか」といった不安を抱える人は、ぜひ参考にしてください。
勉強時間
無資格でを取得する場合、カリキュラムの受講時間数は450時間です。
通信で勉強する場合は、そのほとんどを自宅学習でやらなければならず、「継続的に自宅学習する時間確保」をしなければなりません。
もし自宅学習を進めていくモチベーション維持が難しい場合は、無理なく受講できるスクールクラスを選択した方がいいでしょう。
また、長時間の勉強が難しい場合は、初任者講習を先に取得しておくことをおすすめします。
介護の基礎知識があった方が、実務者研修の取得もやりやすいでしょう。
合格率
実務者研修試験の合格率は、多くのスクールで特に公表していないため、具体的な合格率はわかりません。万が一試験で不合格になった場合でも追試で合格できれば問題ないでしょう。
また、修了試験実施に関する規定もないため、スクールによっては修了試験を行っていないところもあります。試験をやりたくない人は、修了試験のないスクールに通うことを検討してください。
ただし、「試験があるのに受験しない」「スクーリングに参加しない」「課題を提出しない」といったことがあると合格できません。
そのため、普段のカリキュラムをしっかり受講し、復習を繰り返していれば合格できる難易度と思っていいでしょう。
取得方法
介護福祉士実務者研修を取得する場合、多くのスクールで「通信コース」と「通学コース」を設けています。
通信コースは、テキストでの学習とパソコンなどを用いたWeb学習が用意されており、自身のスケジュールに合わせて学習できる点が大きなメリットです。
ただし、約1週間の通学による受講科目もあるため、全て通信学習で修了できないと覚えておきましょう。
通学コースは、すべてのカリキュラムをスクールで受講します。自宅での学習に自信がない人や不明点をすぐに解決したい人におすすめです。
ただし、通学コースに比べて費用が高くなるケースもあるため、事前確認をするといいでしょう。
その後、スクールによっては修了試験があります。試験は理解度を測るためのものであり、復習をしっかりしていれば合格できる内容です。
介護福祉士実務者研修を取得しよう
介護福祉士実務者研修について解説しました。
無資格ならば450時間のカリキュラムを受講しなければならず、介護の資格をこれから取得しようとしている人にとって、多少ハードルを高く感じるかもしれません。
しかし、これから介護福祉士として活躍したい人には必須の資格で、キャリアアップにもつながるので取得しておくメリットもあります。
介護職の需要はこれからさらに増していくでしょう。そんなとき、資格を持っていれば就職や転職にも便利です。
介護の知識がない人でも受講できる資格なので、興味がある方は介護福祉士実務者研修の取得を目指してみてはいかがでしょうか。