介護職は将来性がないと言われることが多いですが、自分の力次第では給料を上げることもできます。
この記事では「介護職の将来性」について解説していきます。
結論、介護職は将来的にも需要が高い職業と言えるでしょう。
介護職を検討する際、わかりづらい「介護職の将来性」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。
その他にも「岸田総理の影響」の説明や、「給料を上げるメリット」について説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んで介護職で給料を上げる方法を知っていただければ幸いです。
また「給料を上げる方法」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
介護職の将来性がないと言われる3つの理由
そもそも介護職に将来性がないと言われるのは、なぜでしょうか?
主な理由として以下の3つが挙げられます。
- 賃金が低い
- 仕事としての拡大性がない
- 労働集約型労働である
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
賃金が低い
介護職というと、激務の割に賃金が低いというイメージを多く持たれているでしょう。
これはデータ上でもその通りの結果が出ており、厚生労働省の令和2年度介護従事者処遇等調査結果では、介護職の平均月収は21.8万円となっています。
この金額にボーナスを追加して考えると、年収は350万円前後です。
日本全体の労働者の平均年収は400万円前後であることから、介護職の年収は平均よりも低い状況がうかがえます。
また、他職種と比較した場合、勤続年数が長くても給与の伸び率が低く、長く勤めたからと言って高給与にはならない点も介護職には将来性がないと言われてしまう原因の1つです。
仕事としての拡大性がない
介護職は仕事としての拡大性がないと誤解されている面もあります。
特に、無資格者や未経験者でも働ける業務内容は、肉体労働的な要素が大きく、誰でもできる仕事とみなされがちです。
たしかに生活支援に含まれる掃除、食事の準備などの日常サポートは単純労働になりがちな分野でもあります。
しかし、介護職は知識やできることの分野を広げていけば奥が深い業種でもあり、キャリアアップの道も広がっているのは事実です。
具体的なキャリアアップについては以下の内容で触れますので、参考にしてください。
労働集約型労働である
介護職は、マンパワーに頼る労働集約型労働である点も将来性がないと言われる原因です。
介護業務の中心となる身体補助や生活サポートなどの業務は、労働力に頼る面が大きく、未経験や無資格の人でも採用のある職種です。
そのため、専門性が低いと考えられ、給与もなかなか上がらないのが介護職の現状。
また、労働集約型労働の要素が強いゆえに、適正な業務量や労務管理が十分行えていない事業所も多く、介護職は待遇が悪いと言われる理由となっています。
介護職で給料を上げるには?
給料が低いと言われがちな介護職ですが、個人の努力により給料を上げる方法もあります。
ここでは、個人で行える給料を上げる方法を7つご紹介します。
- マネジメント層になる
- 上級資格を取得して手当をもらう
- 待遇のいい会社に転職する
- 正社員になる
- 長期間勤務する
- 介護現場以外の仕事もできるようにする
- 勤務先と交渉をする
マネジメント層になる
マネジメント層を目指すなら、役職手当などがつく事業所もあり、給与アップを狙うことが可能です。
マネジメント業務では、スタッフの教育や事業所の管理運営、地域との連携や利用者家族とのコミュニケーションなど、介護の現場業務とは異なる面の能力が求められます。
現場で培った経験をもとにさらに発展的な知識と応用が必要となる役職です。
そのため、事業所によってはマネジメント職につけるのは有資格者のみとしているところもあり、資格取得はマネジメント層を目指すための1つの足がかりとなります。
より責任の大きい業務を任される役職のため、マネジメント層に就ける人材は少なく、介護職の中でもより貴重な人材になれるでしょう。
長期的に介護業界で働くことを考えているなら、収入アップを狙えるマネジメント層を目標とし、早いうちからキャリアアップの計画を立てておくことがおすすめです。
上級資格を取得して手当をもらう
介護の分野では、上位資格を取得してキャリアアップしていく道が用意されています。
介護実務者研修、介護福祉士、ケアマネジャーなどの資格は多くの人がキャリアアップをしていくステップとなる資格です。
事業所によっては、有資格者に対し資格手当を設けているところもあります。
国としても介護職員処遇改善加算の実施を行っています。
導入する事業所は、事業所内の介護職スタッフを能力や資格の有無などに応じ3区分に分け、それぞれの区分に応じた給与加算を行うというものです。
介護職員処遇改善加算は期間限定の取り組みですが、今後も介護職の給与を上げる取り組みは続いていくことが予想されます。
その際に、今回の処遇改善加算のように有資格者は優遇されることが期待できるため、上級資格の取得は給与アップにつながる大きな鍵と言えるでしょう。
待遇のいい会社に転職する
同じ介護職であっても、事業所によって待遇が異なる場合があります。
例えば、厚生労働省の令和2年度介護従事者処遇等調査結果によると、施設の種類によっても月収が違う結果が出ています。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)では月収35万、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では月収28万と、最高と最低の月収に7万円ほどの差があります。
介護報酬の上限は国のルールによって定められているため、多くの介護施設では収益を十分に出せないのが現状。
一方で、公的な介護サービス適応外の民間サービスを提供する高級老人施設などは、利用者の層が異なり収益も高くなります。
待遇がよい事業所の求人は競争率が高く、それなりに経験や資格を持つ人材が求められる場合も多いですが、キャリアに自信がある人の場合は挑戦してみても良いでしょう。
正社員になる
パートやアルバイトで介護職をしている人は、正社員を目指すのも収入アップのよい方法です。
初めは未経験・無資格でパートやアルバイトから始めたとしても、経験を積んでしばらくすると事業所から正社員への採用を打診されるかもしれません。
また、働きながら資格取得できるようサポートする事業所もあり、資格取得後は正社員に昇格できる場合もあります。
同じ職場で同じ業務を行っていても、月収や年収で見たときにパートやアルバイトより高い給料になるのは正社員です。
また、正社員の場合は雇用が安定しており、福祉厚生も活用できるメリットがあります。
長期間勤務する
介護業界のメリットとして、中高年の世代であっても未経験からスタートでき、長い期間勤務できるという点があります。
未経験から始めた40代であっても、定年までには20年以上あり、その間に資格取得や昇格などを通してキャリアアップを十分に目指せます。
また、近年では65歳を定年とする制度を廃止する事業所もあり、本人の体力や状況が許せば70代80代でも働き続けられるケースもあります。
一般的な職種では、未経験からの転職、さらに昇給まで目指すのはもう遅いとされる世代でも、新しいチャレンジができる点は介護職のメリットです。
介護現場以外の仕事もできるようにする
介護業務には、実際の介護現場以外にも多岐にわたる分野があります。
例えば、相談業務や運営、スタッフの教育、自治体との連携、地域活動への参加などです。
これらの業務は、介護現場の経験をベースにさらに資格を取得したり、研修に積極的に参加したりすることにより担えるようになっていきます。
介護現場以外での仕事もできる人員はとても貴重で、管理職や責任者、教育係などを任されることも少なくありません。
介護現場の基本業務を行いつつも、少しずつ業務の幅を広げていくための勉強を続けていると、給料を上げることにつながるはずです。
勤務先と交渉をする
勤務先での給料に不満があるなら、思い切って交渉してみるのも1つの方法です。
交渉にある程度の効果が期待できるのには、介護職全体が人手不足であるという背景があります。
未経験者でも雇いたいほどに、介護職の人手は不足。
そのため、すでに施設内で勤務しており、実戦力となってくれているスタッフを逃したくないという思いが施設側にはあるはずです。
他の事業所と比べても明らかに給料が少ない、という場合には実際のデータなども参照しつつ交渉を行ってみると、給料アップに成功する場合もあるかもしれません。
介護職の給料の推移とは?
介護職の給料はここ数年で上昇の傾向です。
特に、介護職員処遇改善加算の実施により給与改善の成果が出ているデータがあります。
介護職員処遇改善加算制度を導入した事業所・施設の介護職員(月給・常勤)の平均給与は、2019年2月から2020年2月にかけて、1万5730円(5.2%)増加という結果です。
また、介護職では勤続年数が上がっても給与は上がらないという問題点があります。
しかし、同調査では10年以上勤務者の給与改善幅が1万6840円(5.0%増)となっており、状況に改善が見られるでしょう。
持っていると将来性がある介護資格とは?
介護業界で長期的に働こうと考えている場合、将来性がある資格を取得しておくことをおすすめします。
ここでは、持っていると将来性がある以下の3つの介護資格をご紹介します。
- 介護福祉士
- ケアマネジャー
- 介護職員実務者研修
介護福祉士
介護福祉士は、国家資格で、介護職における知識や技術を有していることを証明できる資格です。
国家資格というと難関に聞こえるかもしれませんが、実は毎年70%前後の合格率で、比較的難易度の低い試験とされています。
介護福祉士の資格がなくても、介護現場で働くことはできますが、医学的な観点などを含む専門的に正しいケアができる人として、信頼を得ることができるでしょう。
そのため、役職への昇格や転職などにおいて資格があると有利です。
また、相談業務に就くためのケアマネジャーになるためには、介護福祉士の取得が要件とされています。
ケアマネジャー
ケアマネジャーは、相談業務に当たるために求められる資格です。
介護現場での業務ではなく、介護サービス計画を立てたり、利用者と施設との繋ぎ役になったり、地域や利用者家族とのコミュニケーションを図るなどの業務を行います。
そのため、介護保険サービスなどの公的制度を含む、介護に対する幅広い知識が問われるでしょう。
ケアマネジャーの試験を受けるためには、介護福祉士の資格の取得から5年以上の実務期間が必要です。
試験を受ける条件を満たすまでに長期間を要する資格のため、介護職全体の中では取得者の割合が少なく、重宝される資格とも言えます。
介護職員実務者研修
介護職員実務者研修は、国家試験の介護福祉士の試験を受けるために修了が必須となる研修ですが、単体としても取得しておく価値があります。
研修内容は、基礎的な介護知識からステップアップして痰の吸引、経管栄養などの医療的ケアについても学ぶことが可能です。
より専門的なケアが行えるようになるため、事業所によっては有資格者に手当てをつける場合もあります。
また、介護福祉士実務者の資格があると、サービス提供責任者としての役職も就きやすいでしょう。
介護福祉士実務者研修のカリキュラムは、20科目全450時間と長めですが、研修を全て受講すれば認定が受けられ、ほぼ100%取得可能な資格です。
働きながら取得する場合、スケジュール管理が大きな鍵となりますが、資格自体の難易度はそれほど高くないと言えるでしょう。
岸田総理就任の介護職の給料が上がる?
岸田政権では、介護業界全体として給料が上がることが期待されています。
岸田政権が主な経済政策とする「新しい資本主義の実現」の中に介護職と大きく関係する内容があるのがその理由です。
岸田内閣発足後に実施されている政策として、公的価格評価検討委員会の設置や介護職員処遇改善臨時特例交付金制度などがあります。
これらの制度は、直接介護職への給料に影響があり、介護士1人あたり月収9000円ほどの増加が見込まれるでしょう。
岸田総理のこれまでの発言からも、介護職の処遇改善は重点を置かれていると考えられ、今後ますます改善の見込みが予想されます。
介護職で給料が上がりにくい理由とは?
そもそも介護職の給料が上がりにくいと言われているのはなぜでしょうか?
主な理由として挙げられるのは以下の3つの点です。
- 介護職に就くハードルが低く流動性が高い
- 介護報酬の影響で施設の収入が決まっている
- 業界全体の給料水準が低い
介護職に就くハードルが低く流動性が高い
介護職は常に人手不足の状況にありますが、未経験・無資格者でも働ける求人が多い傾向にあります。
そのため、専門性が低く誰でもできる仕事というイメージが定着化しているのは、給料が上がりにくい要因の1つと言えるでしょう。
介護報酬の影響で施設の収入が決まっている
介護サービスの利用者が支払う介護報酬は、国のルールにより上限が定められているため、施設の収入はある程度固定化されてしまっているというのが現状です。
そのため、事業所として十分な利益を出すことができず、経営難のためスタッフに対する給料も上げられないという状況が多く見られます。
業界全体の給料水準が低い
介護報酬の影響から、経営難にある事業所が多いのが現状です。
そのため、業界全体の給料水準が低く、それに伴って各事業所も給与価格の設定を低く固定化してしまっているという状況も見られます。
この状況の改善のためには、業界全体としての経営環境向上と意識の変革が求められるでしょう。
介護職にも将来性はある
この記事のポイントをまとめると以下のとおりです。
- 役職に就けば介護職の給料を上げられる
- 資格取得も給料アップにつながる
- 国としても介護職の給料アップを目指す取り組みの流れがある
介護職は給料が上がらないため将来性がないというイメージが強くありますが、実際はそのようなことはありません。
個人としてできる努力に、役職に就くことや資格取得などが挙げられます。
また、国としても介護職に対する処遇改善に重点を置いているため、今後にも期待できるでしょう。
この記事を読んで介護職に関心を持たれましたら、資格取得の検討から始めてみてくださいね。