介護福祉士の資格の偏差値は45であることを知っていますか?
この記事では「介護福祉士の資格偏差値」について解説していきます。
結論、介護福祉士の資格偏差値は45と低くなっていますが、誰でも受かるわけではありません。
介護福祉士を検討する際に、わかりづらい「偏差値」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。
その他にも「介護福祉士」の説明や、「介護福祉士が誰でも受かるという噂」について説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んで介護福祉士の偏差値について知っていただければ幸いです。
また、この記事では介護福祉士について紹介しているのでぜひ参考にしてください。
介護福祉士の資格偏差値は45
介護福祉士は権威ある国家資格なので、取得が難しいのでは?と考える人も多いと思います。
しかし、実は介護福祉士の資格偏差値45と言われています。
偏差値とは基準を50として全体より難易度が高いか低いかを計るものです。
つまり、偏差値45とは、平均よりも低め。
介護福祉士は誰でも受かる資格と言える理由がお分かりいただけるでしょう。
ほかの介護系資格の偏差値
ここでは、介護福祉士以外の偏差値を紹介します。
偏差値 | 資格名 |
55 | ケアマネジャー(介護支援専門員) |
45 | 介護事務管理士 |
44 | ケアクラーク |
44 | 認知症ライフパートナー 1級 |
42 | 介護食士 2級 |
42 | 認知症ライフパートナー 2級 |
40 | 介護保険事務管理士 |
39 | 認知症ケア指導管理士(初級) 初級 |
37 | 認知症ケア専門士 |
37 | 認知症ライフパートナー 3級 |
35 | 介護職員初任者研修 |
介護福祉士の資格偏差値が45の理由
介護福祉士は難しそうに聞こえる資格ですが、本当に資格偏差値は45程度なのでしょうか?
ここでは、介護福祉士の資格偏差値を45とする次の4つの理由を解説します。
- 合格率が高い
- 資格取得者の幅が広い
- 実務の範囲で十分知識を身につけることができる
- 受験する人が多くない
早速1つずつ詳しく見ていきましょう。
合格率が高い
介護福祉士の難易度が低い証拠の1つが合格率の高さです。
過去年間の合格率を表にしましたのでご覧ください。
年度 | 合格率 |
2014年(第26回) | 64.6% |
2015年(第27回) | 61.0% |
2016年(第28回) | 57.9% |
2017年(第29回) | 72.1% |
2018年(第30回) | 70.8% |
2019年(第31回) | 73.7% |
2020年(第32回) | 69.9% |
2021年(第33回) | 71.0% |
参照:厚生労働省「第33回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移
ここ数年間の合格率は70%前後となっています。
2016年以前は合格率が60%前後だったのに対し、2017年度試験から合格率が格段に上がっているのがお分かりいただけるでしょう。
これには2016年度の受験資格改定と関係があります。
2016年度以降、実務経験ルートの受験者に実務者研修の修了が求められるようになりました。
受験者が実務者研修でしっかりと知識と経験を身につけた上で試験に臨むようになったことが、合格率の上昇につながっていると考えられます。
資格取得者の幅が広い
資格取得者の幅が広いことも、介護福祉士の資格が取得しやすいことの証拠となっています。
2021年第33回試験の合格者を年齢別に表にしました。
年齢 | 人数 | 割合 |
〜20歳 | 4,671人 | 7.8% |
21〜30歳 | 15,379人 | 25.7% |
31〜40歳 | 12,161人 | 20.3% |
41〜50歳 | 15,735人 | 26.2% |
51〜60歳 | 9,906人 | 16.5% |
61歳〜 | 2,123人 | 3.5% |
参照:厚生労働省「第33回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移
この表からわかる通り、21歳〜50歳までの合格者の割合は平均的です。
また51歳以上の合格者も全体の20%近くを占めており、中高年の資格取得者が多いことも見て取れます。
介護学校を出ていなくても実務経験により受験資格が得られることが、幅広い年齢層が取得していることの理由でしょう。
第33回の試験では受験者84,483人のうち実務経験ルート受験者の数は75,026人で全体の88%でした。
実務経験ルートの条件は、対象施設及び職種において3年(1095日)以上、従事日数540日以上の経験を積んだ後、実務者研修を終了するというものです。
この要求はそれほど高いものではなく、期間は通算のためパートタイムで短時間働く人でも年数をかければ達することができます。
違う業種からの転職をした人や主婦などを含む、様々な立場の人が挑戦できる資格であることも、介護福祉士の資格偏差値の低さの理由と言えるでしょう。
実務の範囲で十分知識を身につけることができる
介護福祉士の難易度が低い他の理由は、実務の範囲で十分知識を身につけることができるということです。
難関な国家試験の場合、試験勉強のためにかなりの時間を費やす必要があり、働きながらの挑戦には無理があります。
しかし介護福祉士の場合は、介護の現場で実際に働きながら身につけた知識や技術が試験にそのまま役立てられるため働きながらの挑戦が容易です。
実務がそのまま試験に反映される例として、過去問題を1つご紹介します。
介護福祉士の過去問例
第33回試験より
問題 20 利用者の自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助に関する次の記 述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 ごみの分別がわからない利用者だったので,その場でごみを分別した。
2 利用者の自宅の冷蔵庫の中が片づいていないので,整理整頓した。
3 トイレ誘導した利用者の尿パッドを,本人に配慮して無言で取り替えた。
4 服薬時に,薬を飲むように促して,そばで確認した。
5 利用者が居間でテレビを見ているそばで,洗濯物を畳んだ。
こちらは「介護の基本」の科目の出題の例。
介護の現場で日常的に目にする場面を想定した問題となっており、介護職経験のある人であれば回答は難しくないはずです。
受験する人が多くない
受験する人が少なく、かつ受験者の合格率が高いことも介護福祉士の資格偏差値の低さの理由です。
過去7年間の受験者数と合格者数の推移は次の通り。
年度 | 受験者数 | 合格者数 |
2015年(第27回) | 15,3808人 | 93,760人 |
2016年(第28回) | 15,2573人 | 88,300人 |
2017年(第29回) | 76,323人 | 55,031人 |
2018年(第30回) | 92,654人 | 65,574人 |
2019年(第31回) | 94,610人 | 69,736人 |
2020年(第32回) | 84,032人 | 58,745人 |
2021年(第33回) | 84,483人 | 59,975人 |
2017年度の試験で受験者数が圧倒的に減り、その後回復を見せるものの1万人以上までには及んでいないことがわかります。
これは上でも触れている通り、2016年度の受験資格改定が原因です。
実務経験ルートの受験者は実務者研修が必須となったため、研修を受ける時間を取れない受験希望者が試験を受けなくなったと考えられます。
受験者が減った一方で、研修を受けることにより確実に試験に受かる人が増え、合格率は上昇したため資格偏差値は45と低めの現状になっているのです。
介護福祉士の資格を取得しない人が多い理由
ここでまで介護福祉士の資格偏差値が45と低めであることがお分かりいただけたでしょう。
それでは、簡単な資格ならなぜ取得しない人が多いの?と疑問に思われるかもしれません。
それには次の3つの理由があります。
- 介護福祉士ができることが限定的
- 介護の現場では資格より体力が重視される
- 取得までに費用がかかる
それぞれ詳しく解説していきます。
介護福祉士ができることが限定的
介護福祉士の資格を取得するとできるようになること、また取得してもできないことがあります。
それらを比較検討した後、自分には資格取得は必要ないと考える人もいるのです。
介護福祉士の資格を取得するとできることは、「直接身体に触れる身体介護」。
例として次のような介護が挙げられます。
- 排泄介助
- 入浴介助
- 食事介助
- 服薬介助
反対に、介護福祉士の資格があっても次のような「医療行為」はできません。
- インスリン注射
- 床ずれの処置
- 血糖測定
資格取得を検討する際には、どの程度の範囲の業務に携わりたいかを考えるとよいでしょう。
介護の現場では資格よりも体力が重視される
介護福祉士の資格を持つと、就職や転職に有利なことはたしかです。
しかし、実際の現場では資格よりも体力が重視される場合も少なくありません。
介護福祉士は、介護の現場で身体的なケアに携わることがメインの仕事となります。
そのため利用者の方の体を支えたり、夜勤もあるなど体力勝負とも言える仕事です。
せっかく資格を取得しても、体力がなく介護職が長続きしない人もいます。
資格を取得する前に、実際の現場での仕事を想定し、自身にとってずっと続けていける仕事が考えることも必要でしょう。
取得までに費用がかかる
介護福祉士の資格を取得するためには一定の費用がかかることも、多くの人が受験に踏みとどまってしまう理由の1つです。
養成施設や福祉系学校を卒業する場合には、それぞれの学校の学費がかかります。
ここでは、実務経験ルートでかかる費用を表にしてご紹介します。
内訳 | 費用 |
実務者研修講習費用(無資格者) | 約10万円(主催団体によって異なる) |
国家試験受験料 | 15,300円 |
登録免許税 | 9,000円 |
登録手数料 | 3,320円 |
計 | 約12万〜13万円 |
介護福祉士の資格取得のためにかかる費用の内訳で、一番大きいものが実務者研修の費用です。
実務者研修は費用が高いだけでなく、450時間のカリキュラムを受講するため時間を取り分ける必要もあり、資格取得のハードルとなっている人も多くなっています。
介護福祉士は誰でも受かるって本当?
結論から言えば、介護福祉士は誰でも受かります。
しかしこれは、「対策をすれば」誰でも受かるという意味です。
介護福祉士の合格条件の1つに全13科目全てにおいて得点を得なければいけないというものがあります。
そのため、取りこぼしがないよう範囲を満遍なく学習することが求められます。
出題形式は5択選択のマークシート式で、内容を把握していれば回答はそれほど難しくはありません。
事前に全ての科目を網羅することを意識した学習に取り組みましょう。
介護福祉士になるには?
介護福祉士になるためには、3つの異なるルートがあります。
それは次の3つです。
- 介護福祉士養成施設を卒業する
- 実務経験を3年積み実務者研修を修了する
- 福祉系高校を卒業する
それぞれの詳しい条件を見ていきましょう。
介護福祉士養成施設を卒業する
介護福祉士養成施設とは、介護系の四年制大学、短期大学、専門学校などのことです。
2018年の改正前までは、養成施設の卒業生は直接介護福祉士の資格を取得できました。
現在はルールが改正されており、卒業生も他のルートと同じく国家試験を受験しなければ介護福祉士の資格を取得できないようになっています。(2022年までは経過措置あり)
実務経験を3年積み実務者研修を修了する
実務経験ルートは、介護系学校などに通ったことがなくても働きながら取得できる方法。
対象施設及び職種において3年(1095日)以上、従事日数540日以上の経験を積むことが受験資格要件です。
また、実務経験が要件に満ちた後は介護職員実務者研修の受講も必要になります。
実務経験ルートを選ぶ場合は、試験の日数から逆算し従事期間と実務者研修の受講が間に合うように計画するとよいでしょう。
福祉系高校を卒業する
福祉系高校もしくは福祉系特例高校を卒業するルートです。
福祉系高校の卒業生は、国家試験を受験し合格すれば資格を得られます。
福祉系特例高校の卒業生はまず実務経験を積むことが必要です。
卒業後9ヶ月以上の実務経験を積み、実技試験に合格したのち国家試験の受験が可能。
近年受験ルール改正もあり、入学の年度によっても条件が異なるため事前に確認しておきましょう。
介護福祉士になるためにおすすめのスクール
確実に介護福祉士の資格を取得したい、という人にはスクールを利用するのがおすすめです。
要点を絞った試験対策を行うことができ、合格率を高めることができるでしょう。
ユーキャン
ユーキャンの介護福祉士講座は、過去6年間で12,000以上合格の実績を持っています。
6ヶ月の学習期間で無理のない合格を目指すスケジュールです。
テキストは合格に必要な重点を絞っているため簡潔でわかりやすく、1レッスンは数ページほど。
まとまった時間を取りにくい人も空き時間の学習が可能です。
また期間中わからないことはメールや郵送で質問でき、全7回の添削課題にはアドバイスを添えた回答がもらえます。
未来ケアカレッジ
未来ケアカレッジでは、介護福祉士筆記試験対策講座を開講しています。
実務者研修も同スクールで受講でき、合わせて受ければ教育訓練給付金制度を利用可能。
試験対策講座は6日間計30時間で、集中して試験の重点を学習できます。
受講生合格率は96.9%と高い成果を出しているスクールです。
就職サポートも行っているため、キャリアアップを目指した資格取得を考えている人は相談してみるとよいでしょう。
介護福祉士の資格を取ろう
この記事のポイントは、介護福祉士の資格偏差値は45と低めで、誰でも合格できる資格であるということです。
その理由は次の点が挙げられます。
- 合格率が高い
- 働きながら取得できる
- 試験の内容が実務の範囲である
- 受験条件が厳しくない
事前にしっかりと受験対策をすることで、介護福祉士の資格は年齢や職歴を問わず、どんな人でも取得が可能です。
今回の記事を参考に、介護福祉士の資格取得に一歩踏み出してみてください。