介護職員初任者研修で、どんな研修を行うのかご存じでしょうか?
この記事では「介護職員初任者研修のカリキュラム」について解説します。
結論、介護職員初任者研修は、合格しやすい資格です。
事前にカリキュラムを理解しておけば、さらに自信をもって介護職員初任者研修の試験を受けられるでしょう。
その他にも「ホームヘルパー2級とのカリキュラムの違い」や「介護職員初任者研修におすすめのスクール」も解説します。
ぜひこの記事を参考に、介護職員初任者研修を取得してください。
また「実務者研修の取得難易度」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
介護職員初任者研修のカリキュラム
介護職員初任者研修のカリキュラムは、全10項目で、合計10時間あります。
項目や時間の割り振りは、以下の通りです。
科目 | 時間 |
職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
振り返り | 4時間 |
豪快 | 130時間 |
それぞれは、通信と通学で学べますが、通信は40.5時間までと決められています。
残りの89.5時間は、スクーリングで研修を受けなければいけません。
介護職員初任者研修のカリキュラム10項目を解説
介護職員初任者研修のカリキュラム全10項目を、それぞれ解説します。
各項目だけを見ても「どんなことを覚えるのか」まではわからない方も多いでしょう。
以下で、全10項目の詳細や学び方を解説するので、研修を受ける際の参考にしてください。
職務の理解
職場の理解は、名前の通り、介護職の仕事内容について理解を深める項目です。
介護の仕事について、具体的なイメージをもって取り組めるよう、施設や職務内容について学びます。
また、介護職員初任者研修の第一回目の研修なので、受講生同士のコミュニケーションを図る場としても活用できるでしょう。
介護の仕事を学びながら、同じ介護職を目指す方のなかにどんな人がいるのか知るきっかけにしてください。
介護における尊厳の保持・自立支援
介護の仕事に必要な、人の尊厳や権利について学びます。
また、サービス利用者能力に応じた自立支援や介護予防などのケアについても学ぶ研修です。
介護職を行う上で、人の尊厳への理解はとても重要な部分になります。
「介護における尊厳の保持・自立支援」に関しては、自宅学習で学ぶ場合が多いです。
介護の基本
名前の通り、介護についての基本を学びます。
介護の概要ではなく、仕事についての基本になるので、実際の仕事で役に立つ部分です。
主に学ぶポイントは、以下の4つ。
- 専門性
- 職業倫理
- 他の職種との連携
- 事故や感染などのリスクマネジメント
前2項目と比べて、実務に関する内容となるので、しっかり学んでおくべき部分です。
介護・福祉サービスの理解と医療の連携
介護職は、介護に関する理解や、医療との連携が重要です。
介護と看護の違いや介護制度を理解しなければ、利用者に対して適切な判断ができません。
主に覚える制度は、以下の2つです。
- 介護保険制度
- 障害者総合支援制度
また、医療やリハビリテーションについても学びます。
基礎知識を通して、各分野との関わりの重要性がわかるでしょう。
介護におけるコミュニケーション技術
介護現場では、利用者はもちろん、他介護スタッフとのコミュニケーションが必要です。
利用者との信頼関係はもちろん、スタッフ同士のコミュニケーションがとれていないと、情報の共有や報告など、施設としての連携がとれなくなってしまいます。
主に学ぶのは、以下の3つです。
- 利用者一人ひとりのコミュニケーション能力の違いへの理解
- 利用者の家族とのコミュニケーション
- 職場における情報共有
どんな仕事でもコミュニケーションは重要ですが、介護職は、研修に組まれるほど重要なのです。
老化の理解
介護職の主な利用者は高齢者です。
高齢者をケアするためには、加齢による変化を学ばなければいけません。
主に学ぶのは、以下の3つです。
- 加齢による身体や心の変化
- 疾病による症状や訴え
- 日常生活への影響
次項「認知症の理解」と関わりのある項目なので、次項のためにもしっかり学んでおきましょう。
認知症の理解
認知症は、社会的にも大きなテーマとなっています。
そのため、介護職員初任者研修になる前の「ホームヘルパー2級」にはなかった項目で、介護職員初任者研修となってから追加されました。
主に、認知症の症状や基礎知識、心身や生活の変化や必要なケアを学びます。
認知症について理解の深い方は少ない現状です。
上手く付き合いながらケアしていくために、理解しておきましょう。
障害の理解
障害がある人や、その家族の心理・支援について学ぶ項目です。
介護についてだけではなく、医学的側面からも学びます。
主に、障害福祉の基礎知識や、心理・行動の特徴、本人や家族への支援などについて学ぶ研修です。
利用者だけではなく、家族への関わり方も学びます。
こころとからだのしくみと生活支援
「こころとからだのしくみと生活支援」は、カリキュラムのなかで、もっとも重要な部分と言えます。
なぜなら、合計130時間あるなかの75時間分、約半分をしめる項目だからです。
介護技術における人体構造や機能、安全なサービス提供方法などを学び、以下の実技研修も行います。
- 車いすの介助
- 体位変換
- 入浴介助
- 着脱介助
それぞれをロールプレイング形式で行い、介護技術を身につけます。
振り返り
研修全体を振り返る、まとめの部分です。
重要なポイントや疑問点を、改めて確認してください。
さらに、介護職として就職するにあたっての備えなども教わります。
研修を通して学んだ内容はもちろん、疑問点や不安点なども、振り返りの項目で解消しておきましょう。
ホームヘルパー2級のカリキュラムとの違い
介護職員初任者研修は、もともとホームヘルパー2級という資格でした。
それぞれは資格名も違えば、研修内容も異なります。
ホームヘルパー2級では、以下の研修内容でした。
研修科目 | 研修時間 |
社会福祉の基本的な理念及び福祉サービスを提供する際の基本的な考え方に関する講義 | 6時間 |
老人保健福祉及び紹介者福祉に係る制度及びサービス並びに社会保障制度に関する講義 | 6時間 |
訪問介護に関する講義 | 5時間 |
老人及び障害の疫病、障害等に関する講義 | 14時間 |
介護技術に関する講義 | 11時間 |
家事援助の方法に関する講義 | 4時間 |
相談援助に関する講義 | 4時間 |
医学等に関連する領域の基礎的な知識に関する講義 | 8時間 |
福祉サービスを提供する際の基本的な態度に関する演習 | 4時間 |
介護技術に関する演習 | 30時間 |
訪問介護計画の作成等に関する演習 | 5時間 |
レクリエーションに関する演習 | 3時間 |
実技 | 30時間 |
以下では、ホームヘルパー2級と介護職員初任者研修のカリキュラムの違いを、より具体的に解説します。
実習が必須でなくなり演習が増加
ヘルパー2級では、30時間の実習を必要としていましたが、介護職員初任者研修では、実習はなくなりました。
見学や実習においては、カリキュラムのどの項目で行っても良いとされたのです。
ただし、実習がなくなった分「こころとからだの仕組みと生活支援」において、演習が必要になりました。
「こころとからだの仕組みと生活支援」に関しては、75時間中通信学習が可能なのは12時間です。
残りの63時間はスクーリングを行わなければいけません。
「実習」項目はなくなったとはいえ、スクーリングの時間は増える形となりました。
「認知症の理解」の追加
介護職員初任者研修になり、ホームヘルパー2級にはなかった「認知症の理解」が追加されました。
なぜなら、認知症による患者が多くなると予想されたためです。
ホームヘルパー2級のカリキュラムのなかでも「老人及び障害の疾病、障害等に関する講義」はありましたが、認知症についてはわずかに触れるだけでした。
介護職員初任者研修では、1つの項目として、認知症への理解を深めています。
認知症の増加傾向
世界保健機関のWHOの報告によると、世界の認知症有病数は、3,000万人以上にのぼると言われています。
日本では、65歳以上のうち認知症を発症している人は15%。
認知症有病率が上昇する場合の将来推計は、以下のように考えられています。
- 2012年……462人
- 2015年……525人
- 2020年……631人
- 2025年……730人
- 2030年……830人
- 2040年……953人
- 2050年……1,016人
- 2060年……1,154人
(参考:認知症の現状と将来推計)
今後認知症患者は増えていくと予想されているため、介護分野においても認知症は理解しておかなければいけないテーマです。
介護職員初任者研修の資格取得の流れ
介護職員初任者研修を取得する流れを解説します。
大まかな流れは以下の通りです。
- スクールで受講する……指定されたカリキュラムを修了するため、独学では取得できません
- 学習をする……通信講座と通学講座
- 修了試験……カリキュラム修了後に修了試験で合格
以上の流れで資格取得となります。
以下では、学習の流れについて解説するので、介護職員初任者研修を取得するための参考にしてください。
学習の流れ
学習は、通信講座と通学講座、2つに分けて行われます。
通信は40.5時間までと決められていますが、反対に通学のみになっても問題ありません。
バランスはその人次第です。
通信の場合は、レポート提出をして添削を受けて学んでいきます。
通学の場合は、演習や講義など、実技がメインです。
スクールによって異なりますが、研修修了までおよそ1.5ヵ月~4ヵ月程度かかると考えておきましょう。
介護職員初任者研修におすすめのスクール
介護職員初任者研修を取得するためのスクールを、3つ紹介します。
どのスクールに通うべきか悩んでいる方は、参考にしてください。
それぞれのスクールで異なる特徴があります。
特徴や料金を解説するので、自身に合ったスクールを見つけてください。
三幸福祉カレッジ|セット講座がおすすめ
三幸福祉カレッジは、介護職員初任者研修と同時に、実務者研修を取得できるスクールです。
介護職員初任者研修のみも取得できますが、セットで研修を受けられます。
さまざまな割引制度が充実しているのも、三幸福祉カレッジの特徴です。
- 求職者割引
- セット割引
- 無料説明会割引
- 修了生・在校生割引
- お友達割引
- ペア割引
負担を抑えながら資格を取得したい方におすすめです。
ニチイ|お近くの教室を探しやすい
ニチイは、全国300カ所に教室を持つスクールです。
北海道から沖縄まで教室があるので、必ず通いやすい教室が見つかるでしょう。
さらに、自社介護事業所が約1,800カ所もあり、資格取得後の就職サポートまでしてくれます。
お近くのスクールで学び、そのまま就職まで考えている方は、ニチイがおすすめです。
未来ケアカレッジ|サポートが充実
未来ケアカレッジは、サポートが充実しているスクールです。
さまざまなシステムで、介護職員初任者研修取得から事業所への就職までサポートしてくれます。
とくに注目するべきポイントは、以下の3つです。
- 施設の無料見学サービス
- 予習・復習の無料動画見放題
- 専属コーディネーターによる就職サポート
他のスクールにはないサポートをしてくれるので、資格取得にも就職にも有利になるでしょう。
介護職員初任者研修のカリキュラムを理解して資格取得
介護職員初任者研修の合格率は9割以上と言われています。
ほとんどの人は、スクールでしっかり学んでいれば取得できる資格です。
しかし、100%合格するわけではなく、なかには不合格になる方もいます。
事前にカリキュラムを理解しておけば、どんな部分を重視するべきか考えながら研修を受けられるので、さらに合格率が上がるでしょう。
ぜひ今回の記事を参考に、介護職員初任者研修の資格を、無事取得してください。