介護職の平均給料が高くなってきていることをあなたは知っていますか?
この記事では、「介護職の平均給料」について詳細を解説していきます。
結論、介護職の平均給料は30万円以上となっています。
巷では「介護職の給料は低い」といわれていますが、このギャップについても解説します。
その他、介護職の平均年収や介護職の資格についても説明していきますので、ぜひ本記事を読んで疑問を解決してもらえると幸いです。
介護職とは
介護職とは、老人ホームやデイサービス、デイケアなどの介護施設で介護サービスを提供する仕事です。
介護職の種類には、介護士や介護福祉士、ケアマネージャー、看護師などが挙げられます。
介護職の仕事内容
介護職の仕事内容は多岐にわたります。
起床や着替え、排泄の介助、食事の提供、入浴介助など、日常生活の介護を広く行っていきます。
書道や読書などの趣味活動のお手伝い、レクリエーションの実施、運動メニューの指導なども介護職の仕事です。
介護職の平均勤続年数
公益財団法人「介護労働安定センター」が公表している「介護労働者の就業実態と就業意識調査(令和元年度)」によると、介護職の勤続年数は下記の通りです。
勤続年数 | 全体の比率 |
半年程度 | 2.7% |
1年程度 | 8.0% |
2年程度 | 11.7% |
3年程度 | 15.6% |
4年程度 | 9.4% |
5年以上 | 50.3% |
1~3年程度の段階で辞めてしまう人が多いですが、その山を越えると5年以上継続して働いている人が多い模様です。
介護職は他の仕事よりも肉体的・精神的な負荷が重くかかります。その負荷に耐えらるかどうかで、勤続年数に差がつくといえるでしょう。
介護職の平均給料
介護職として働く際に気になる点が「給料」です。
「介護職は給料が低い」といわれていますが、実際にどれくらいの給料なのか確認していきましょう。
※こちらの章で利用する数値データは、厚生労働省が公表している「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」をもとにしています。
介護士の平均給料
令和2年度の介護士(常勤)の平均給料は「325,550円」です。
平成31年の平均給料が「307,430円」となっており、令和2年の時点で「18,120円」給料が高くなっています。
額面を見ると、介護士の給料はそこまで低くはありません。
介護士は夜勤も多いため、深夜手当などによって給料が高くなる傾向にあります。
看護職員の平均給料は介護士よりも高い
介護医療施設では、介護士と一緒に看護職員も勤務しています。
令和2年における看護職員の平均給料は「383,560円」です。
同年の介護士の平均給料よりも「58,010円」高くなっています。
看護師の資格を保有していないと、看護職員として勤務できません。有資格者である分、看護職員の方が給料が高いと考えられます。
老人ホーム、デイサービスなど勤務先で給料は変わる
上記で紹介した給料は、あくまでも平均値です。実際の給料は、勤務地ごとに異なります。
介護士の待遇改善を目指して、給料を高く設定しているところもあれば、人件費削減のために給料を低くしているところもあります。
介護士の求人に応募する際は、複数の求人を比較するようにしましょう。
介護福祉士の平均給料
令和2年における介護福祉士の平均給料は「338,340円」です。
平成31年の平均給料が「319,950円」ですので、令和2年の方が「18,390円」高くなっています。
介護士と同様、平均給料額が伸びている形です。
介護福祉士の場合、勤続年数が10年を超えると平均月収が「366,900円」となります。
介護職の平均給料が低いといわれる理由
介護職の平均給料は30万円を超えていますが、「介護士の給料は低い」と世間一般でいわれています。
この理由として考えるのが下記の2点です。
- 非常勤職員の給料が低い
- 労働時間が長い
非常勤職員の給料が低い
介護現場では、常勤の職員に加えて「非常勤(パート、アルバイト)」の職員も働いています。
令和2年2月における非常勤介護職員の平均時給は「1,100円」、平均給料額は「112,500円」です。
介護職は他の職よりも重労働ですが、平均時給が特段高いわけではありません。
時給1,100円で毎日8時間、週に5回勤務したとすると、月給は「1,100円×8時間×22日=193,600円」となります。
平均給料よりは高いですが、常勤職員の平均給料と比べると10万円以上少ないです。
労働時間が長い
常勤職員の場合、労働時間が長くなるケースが多いです。
介護業界では人手不足が慢性化しており、少数の介護職員で業務をおこなっているケースも少なくありません。
中にはサービス残業を行っている人もいます。
労働時間に見合った給料でないために、不満がたまっている人も多いと考えられます。
介護職の平均年収
次に、介護職の平均年収について確認していきましょう。
※本章で紹介する平均年収額は、厚生労働省が公表している「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」に記載された平均給与額をもとに算出した金額になります。
介護士の平均年収
介護士の平均年収は「380万円~400万円」ほどです。ボーナスの金額によっては、平均年収より低くなるケースもあります。
新卒や勤続年数が浅い場合だと、年収300万円未満の場合も多いです。勤続年数を積むごとに、年収が高くなっていきます。
介護福祉士の平均年収
介護福祉士の平均年収は「400万円~420万円」ほどです。
有資格者である分、介護士よりは平均年収が高くなります。
勤続年数10年以上になると、年収が「450万円以上」になる介護福祉士も多いです。
介護の資格取得で給料は上がる?
介護関連の資格を取得することで、給料は上がります。資格を取得すると平均して「2万円~3万円」ほど月収が高くなる傾向です。
代表的な介護関連の資格は下記の通りです。
- 介護福祉士
- 実務者研修
- 介護職員初任者研修
介護福祉士
介護福祉士は、介護関連で唯一の国家資格です。別名「ケアワーカー」とも呼ばれています。
介護福祉士を取得すると、介護士のマネジメントや指導など管理部門の仕事も行うようになります。
介護福祉士は通常の介護士よりもリーダー的な役割を果たすことが多いです。
介護福祉士の取得方法
介護福祉士の資格を取得するには、国家試験に合格する必要があります。国家試験の受験資格は、下記のいずれかの方法で取得可能です。
- 実務経験を積む
- 養成施設に通う
- 福祉系高校を卒業する
現在社会人の方で、現実的な選択肢となるのは「実務経験を積む」、または「養成学校に通う」ルートです。
実務経験は3年以上積む必要があります。また、実務経験に加えて、後述する実務者研修の修了も条件です。
養成学校に通う場合、福祉関連の短期大学・専門学校で学習を積みます。
養成学校に通うことで、最短1年で介護福祉士の受験資格を取得可能です。
実務者研修
実務者研修とは、介護福祉士として必要な知識・技能を修得するための研修になります。
指定の学校・養成施設で研修が実施される形です。
「実務」と名付けられていますが、介護業界未経験でも受講できます。
実務者研修は国家資格ではないですが、修了することで介護の知識・スキルを証明することが可能です。
介護福祉士の試験を受けるためには、実務者研修を修了しなければいけません。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護職として働く際に基本となる知識・技能を修得する研修になります。
介護職としてキャリアをスタートする方に加えて、家族の介護に備えて受講する人も多いです。
介護職員初任者研修を修了するのみでは、介護福祉士の受験資格は得られませんので注意してください。
ホームヘルパーとの違いは?
ホームヘルパーとは、訪問介護に従事する介護職です。以前は資格として「ホームヘルパー2級・1級」が設けられていました。
ただし、2013年4月1日の介護保険法施行規則改正によって、ホームヘルパー2級の名称が「介護職員初任者研修」、ホームヘルパー1級が「実務者研修」に変更されました。
現在は、職業名称としてホームヘルパーという用語が使用されています。
介護職の給料は将来上がる?
介護職の給料は、将来的に上がっていく期待が高いです
介護職の給料が高くなる背景として、2019年から始まった「特定処遇改善加算」が挙げられます。
特定処遇改善加算とは、専門人材の確保と離職数の減少を目的として設けられた制度です。
介護福祉士の特定処遇改善加算では、勤続年数10年以上の介護福祉士に「月額8万円相当」の処遇改善をおこなうことになっています。
給料の加算を行っていない施設もある
介護施設の中には、特定処遇改善加算を取得せず、給料の加算を行っていない施設もあります。
加算取得をしていない施設で働いてしまうと、10年以上働いても給料が上がる保証はありません。
就職候補先の施設が、特定処遇改善加算を取得しているか確認するようにしてください。
介護職の求人は将来的に増えてくる
日本では高齢化が急速に進行しており、介護職の需要は今後ますます増えていくことが予想されます。
現時点でも、介護職の求人がたくさん出されている状態です。
特に、介護福祉士の資格保有者を募集している施設が多く見られます。
介護職で働きたい方は、介護福祉士を取得した方が就職しやすいです。
介護職の給料は高くなっている!今後の給料アップにも期待大!
介護職の平均給料は、数年前と比較して高くなっています。国の政策や介護職の需要増加が背景にあるといえるでしょう。
高齢化にともない、今後も介護職の需要は拡大すると見込まれます。
勤務先の施設によって給料に差がついているケースが多数です。
求人応募の際は、必ず複数の介護職求人を比較するようにしましょう。