介護福祉士実務者研修の試験ではいかに過去問対策を行うかが合否の鍵になることを知っていますか?
この記事では「介護福祉士実務者研修の過去問」について解説していきます。
結論、介護福祉士実務者研修の試験では過去に出題された問題の類似問題が出題されることが多いので、過去問対策が重要です。
介護福祉士実務者研修の試験勉強をするなかでわかりづらい「社会福祉士の過去問」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。
その他にも「試験の概要」の説明や、「試験の形式」について説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んでいただければ幸いです。
介護福祉士実務者研修についてはこちらで紹介していきます。
介護福祉士実務者研修の概要
介護福祉士実務者研修とは、介護福祉士の国家試験を受けるために修了していなくてはならない必須の資格です。
実務者研修の前段階に当たる初任者研修もありますが、これらの研修を通して、介護福祉士にステップアップしていくことができます。
ここでは介護福祉士実務者研修の概要を次の4つに分けて解説します。
- 日程
- 合格率
- 修了時間
早速1つずつ見ていきましょう。
日程
介護福祉士実務者研修開催の日程は各実施機関により異なります。
毎月開催しているスクールもあれば、年に何回か開催のスクールも多いです。
費用等も異なるので、複数のスクールに問い合わせて比較検討するのも良いかしれません。
合格率
介護福祉士実務研修は必カリキュラムを全て受講し終えると認定を受けることができます。
決められた日程に沿って研修を受ければ、ほぼ100%認定取得できると言って良いでしょう。
スクールによっては全カリキュラム修了後に試験を実施するところもありますが、あくまで習得を確認するためのものなので合格は難しくないはずです。
修了時間
介護福祉士実務者研修は20科目全450時間のカリキュラムです。
どのくらいの期間で修了できるかは各実施機関の開催日程によって異なります。
参考として株式会社ケアジャパンが令和3年に実施するカリキュラムの場合では、4月から8月までの約4ヶ月で修了できる日程です。
介護福祉士実務者研修には試験がある?
介護福祉士実務者研修の資格取得のためには国家試験の受験等の必要はありません。
定められたカリキュラムを修了することで資格が取得可能です。
ただしスクールによっては修了認定の前に試験を実施する場合もあります。
介護福祉士実務者研修のメリット
介護職についているなら、キャリアアップを目指して介護福祉士実務研修を受けるメリットがあります。
次の3つのメリットを紹介します。
- 給与が上がる
- 転職しやすい
- 介護福祉士国家試験の受験資格を得られる
1つずつ詳しく解説します。
給与が上がる
介護福祉士実務者研修の資格があれば、サービス提供責任者として働けるようになります。
施設によっては役職手当てを設けているところもあり、給与アップにつながるかもしれません。
また介護福祉士実務者研修では、痰の吸引、経管栄養などの医療的ケアも学びます。
より専門的な知識に基づいた介護サービスを提供できるようになるため、資格手当がつくことも多いです。
転職しやすい
介護福祉士実務者研修を修了すればサービス提供責任者として働くことができ、より専門的な医療的ケアが可能になります。
訪問介護事業所では、サービス提供責任者を必ず配置する決まりです。
そのため責任者として働ける人材は転職の際に重宝されるでしょう。
また、医療的な知識を持っていることを資格で証明できるので、取得しておくとメリットとなるはずです。
介護福祉士国家試験の受験資格を得られる
介護福祉士国家試験を受験するための条件の1つが介護福祉実務者研修を修了しているというものです。
介護福祉実務者研修を修了した上で3年間の実務経験を積むと受験資格を得られます。
国家資格は介護業界でキャリアアップしていく上で重要なステップとなりますから、ぜひ取得しておくと良いでしょう。
介護福祉士国家試験とは?
介護福祉士国家試験とは介護福祉士の国家資格を取得するための試験です。
現時点では介護系の資格の中で唯一の国家資格で、信用性も高く安定した雇用にもつながります。
同じヘルパー職でも有資格者と無資格者では待遇が異なるため、介護職に就くならぜひ取得しておきたい資格と言えるでしょう。
介護福祉士国家試験の出題分野と過去問
介護福祉士国家試験では13科目の分野から計125問が出題されます。出題分野は次の通りです。
- 人間の尊厳と自立
- 人間関係とコミュニケーション
- 社会の理解
- 介護の基本
- コミュニケーション技術
- 生活支援技術
- 介護課程
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころのからだのしくみ
- 医療的ケア
- 総合問題
続いてそれぞれの出題分野から、過去問の例を紹介します。
人間の尊厳と自立
正しい倫理観や教養について問う科目です。
日本だけでなく海外の福祉制度について出題される場合もあります。
人間の尊厳と自立の過去問の例
第33回(令和2年度)
問題1
人権や福祉の考え方に影響を与えた人物に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。
1 リッチモンド(Richmond, M.)は、『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』を まとめ、現在の社会福祉、介護福祉に影響を及ぼした。
2 フロイト(Freud, S.)がまとめた『種の起源』の考え方は、後の「優生思想」につながった。
3 マルサス(Malthus, T.)は、人間の無意識の研究を行って、『精神分析学入門』をまとめた。
4 ヘレン・ケラー(Keller, H.)は、『看護覚え書』の中で「療養上の世話」を看護の役割として示した。
5 ダーウィン(Darwin, C.)は、『人口論』の中で貧困原因を個人の人格の問題とし た。
人間関係とコミュニケーション
基本的なコミュニケーションについての問題です。
ラポール、受容、共感、傾聴などの重要項目は出題頻度が高いでしょう。
人間関係とコミュニケーションの過去問の例
第33回(令和2年度)
問題3
人間関係における役割葛藤の例として,適切なものを 1 つ選びなさい。
1 就労継続支援B型の利用者が,生活支援員の期待に応えようとして作業態度をまねる。
2 家族介護者が,仕事と介護の両立への期待に応えられるかどうか悩む。
3 通所介護(デイサービス)の利用者が,レクリエーションを楽しんでいる利用者の役を演じる。
4 就労移行支援の利用者が,採用面接の模擬訓練中にふざけて冗談を言ってしまう。 5 高齢者が,家事を行う家族に代わり,孫の遊び相手の役割を担う。
社会の理解
行政が行う福祉制度への理解度を問う科目です。
介護保険制度が中心ですが、障害分野や生活保護法からの出題もある場合があります。
社会の理解の過去問の例
第33回(令和2年度)
問題5
家族の変容に関する 2015 年(平成 27 年)以降の動向として,最も適切なも のを 1 つ選びなさい。
1 1 世帯当たりの人数は,全国平均で 3.5 人を超えている。
2 核家族の中で,「ひとり親と未婚の子」の世帯が増加している。
3 50 歳時の未婚割合は,男性よりも女性のほうが高い。
4 65 歳以上の人がいる世帯では,単独世帯が最も多い。
5 結婚して 20 年以上の夫婦の離婚は,減少している。
(注) 「50 歳時の未婚割合」とは,45~49 歳の未婚率と 50~54 歳の未婚率の平均であ り,「生涯未婚率」とも呼ばれる。
介護の基本
介護に関係する法令や倫理観の基本を問う科目です。
高齢者領域と障害者領域ともに出題されます。
介護の基本の過去問の例
第33回(令和2年度)
問題17
「2016 年(平成 28 年)国民生活基礎調査(」厚生労働省)における,同居の主 な介護者の悩みやストレスの原因として,最も多いものを 1 つ選びなさい。
1 家族の病気や介護
2 自分の病気や介護
3 家族との人間関係
4 収入・家計・借金等
5 自由にできる時間がない
コミュニケーション技術
認知症の人や障害がある人とのコミュニケーションについて問われます。
出題範囲はそれほど広くない科目です。
コミュニケーション技術の過去問の例
第33回(令和2年度)
問題27
介護福祉職が利用者と信頼関係を形成するためのコミュニケーション技術 として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 利用者の意見に賛成できなくても同意する。
2 「○○ちゃん」と親しみを込めてお互いを呼び合う。
3 介護福祉職からは質問をせずに受け身の姿勢で聞く。
4 介護福祉職の価値判断に従ってもらう。
5 介護福祉職自身の感情の動きも意識しながら関わる。
生活支援技術
介護利用者の支援において必要な技術と知識を問う科目です。
出題数が一番多い重要科目とも言えるでしょう。
生活支援技術の過去問の例
第33回(令和2年度)
問題35
次の記述のうち,古い住宅で暮らす高齢者が,ヒートショックを防ぐため に必要な環境整備の方法として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 居室の室温を低くする。
2 脱衣室の照明を明るくする。
3 トイレに床置き式の小型のパネルヒーターを置く。
4 入浴直前に浴槽の湯温を 60°Cにし,蒸気を立てる。
5 24 時間換気システムを導入する。
介護過程
利用者を援助する際の考え方を問う科目です。
現場での経験をもとに回答できるため難易度は低めと言えるかもしれません。
介護過程の過去問の例
第33回(令和2年度)
問題61
介護過程の目的に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさ い。
1 利用者の健康状態の改善
2 介護福祉職の介護観の変容
3 他職種との役割の分化
4 家族の介護負担の軽減
5 利用者の生活の質の向上
発達と老化の理解
幼児期から高齢者までの対応を問う科目です。
人体の構造や疾病についての知識も必要とされます。
発達と老化の理解の過去問の例
第33回(令和2年度)
問題69
Aさん(小学 4 年生,男性)は,思いやりがあり友人も多い。図画工作や音 楽が得意で落ち着いて熱心に取り組むが,苦手な科目がある。特に国語の授業の ノートを見ると,黒板を書き写そうとしているが,文字の大きさもふぞろいで,一 部の漢字で左右が入れ替わっているなどの誤りが多く見られ,途中で諦めた様子で ある。親子関係や家庭生活,身体機能,就学時健康診断などには問題がない。
Aさんに当てはまる状態として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)
2 愛着障害
3 注意欠陥多動性障害
4 学習障害
5 知的障害
認知症の理解
認知症の特徴や症状について出題されます。
認知症の人本人だけでなく、家族への支援の知識も必要です。
認知症の理解の過去問の例
第33回(令和2年度)
問題77
うつ病(depression)による仮性認知症(pseudodementia)と比べて認知症 (dementia)に特徴的な事柄として,適切なものを 1 つ選びなさい。
1 判断障害がみられることが多い。
2 不眠を訴えることが多い。
3 誇張して訴えることが多い。
4 希死念慮がみられることが多い。
5 抗うつ薬が効果的であることが多い。
障害の理解
障害種別ごとの、種類、原因、特性が問われる科目です。
障害者関連の法律やICIDH、障害者の地域移行などの出題もあります。
障害の理解の過去問の例
第33回(令和2年度)
問題87
ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health: 国際生活機能分類)の社会モデルに基づく障害のとらえ方に関する記述として,最 も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 個人の問題としてとらえる。
2 病気・外傷から直接的に生じる。
3 さまざまな環境との相互作用によって生じる。
4 治療してできるだけ回復させることを目的とする。
5 医療などによる援助を必要とする。
こころとからだのしくみ
疾患の原因や生活上の注意点を問う科目です。
医療的な内容が多いですが、介護現場でよく見られるプロセスや症状も出題されます。
こころとからだのしくみの過去問の例
第33回(令和2年度)
問題97
心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)に関 する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 原因となった体験が繰り返し思い起こされる。
2 1 か月以内で症状は治まる。
3 小さな出来事が原因となる。
4 被害妄想を生じる。
5 気分が高ぶる。
引用:社会福祉振興・試験センター
医療的ケア
介護職が行える医療的ケアや備品の管理の方法などを問う科目です。
出題数が5問と少ないため、確実に正解できるよう対策が必要となります。
医療的ケアの過去問の例
第33回(令和2年度)
問題109
介護福祉職が経管栄養を実施するときに,注入量を指示する者として,適 切なものを 1 つ選びなさい。
1 医師
2 看護師
3 訪問看護事業所の管理者
4 訪問介護事業所の管理者
5 介護支援専門員(ケアマネジャー)
総合問題
人間と社会、介護、こころとからだのしくみ、医療的ケアの4領域から幅広く出題される科目です。
幅広い分野に対する理解度が試されます。
総合問題の過去問の例
第33回(令和2年度)
問題114
次の事例を読んで答えなさい。〔事 例〕
Jさん(83 歳,女性)は一人暮らしである。人と付き合うのが苦手で、近所付き合いもあまりなく、一人で静かに生活していた。
80 歳を過ぎた頃から右膝に痛みが出て、変形性膝関節症(knee osteoarthritis)と 診断されたが、近くのスーパーへの買物や近所の散歩には出かけていた。
1 か月ほど前から膝の痛みが悪化し、散歩にも行かなくなった。食事量が減って痩 せてきてしまい、一日中、座ってテレビを見て過ごしている。
問題 114 現在のJさんに心配される病態として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 フレイル(frailty)
2 不定愁訴
3 寛解
4 不穏
5 せん妄(delirium)
介護福祉士実務者研修の勉強の仕方
介護福祉士実務者研修のカリキュラムを終えることは試験以上に大変であるという声もあります。
通信コースを選択する場合には特に、自宅学習が大きな鍵となるでしょう。
ここでは、挫折せずに研修を最後まで終えるための勉強の仕方を紹介します。
ポイントは次の3つです。
- 学習内容の全容を理解する
- 学習計画を立てる
- 目的を意識してモチベーションを保つ
それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
①学習内容の全容を理解する
介護福祉士実務者研修のカリキュラム全容を把握しておくことは大切です。
学習の進捗度や今学んでいる内容のテーマについてはっきりわかっていると学習内容の理解度も深まります。
学習を開始する前に、一度全容に目を通しておくと良いでしょう。
②学習計画を立てる
学習計画を立てる際のポイントは、早めに余裕を持った計画にするということです。
学習カリキュラムの概要はスクールから提供されますが、自宅学習の場合は自分でさらに具体的な計画を立てる必要があります。
急な予定や予定外に学習に時間がかかる場合も考慮して、無理のない余裕ある計画を立てましょう。
③目的を意識してモチベーションを保つ
介護福祉士実務者研修の期間は長いので、モチベーションを保つことはとても大切です。
「次は国家資格を取ろう」「給料アップを目指して頑張ろう」など、資格取得後にどうなりたいかを意識し続けるならモチベーションを保つ助けになります。
実務者研修過去問対策ができるアプリ
ここでは実務者研修をご紹介します。
実務者研修 試験対策問題
介護福祉士実務者研修の修了の際にスクールによっては試験を実施する場合もあります。
「実務者研修試験対策問題」は、実務者研修の試験で出題されることが多い問題をまとめたアプリです。
介護福祉士国家試験の試験に合格するためのポイント
介護福祉士国家試験の特徴は出題分野が広いということです。
そのため、幅広い知識を身につけることが求められます。
その中でも重点を置かれる内容については、過去問題を解いていると傾向が見えてくるものです。
満遍ない学習とともに、学習重点を置く分野の取捨選択も大切なポイントとなるでしょう。
過去問を使って介護福祉士国家試験に合格しよう
この記事では介護福祉士国家試験に受験するための条件とされる、介護福祉士実務者研修について解説しました。
さらに介護福祉士国家試験の概要と過去問も取り上げましたので、学習の参考になれば幸いです。
介護福祉士国家試験は毎年重点が置かれる分野があり、繰り返し過去問を解くことで対策を取ることができます。
学習分野は幅広いですが、しっかり対策をとれば合格は可能です。
ぜひ国家資格の取得を目指して進んでいきましょう。