「訪問看護師に必要な資格ってある?」
「訪問看護師を目指しているんだけど、向いている人の特徴を知りたい…!」
病気や障がいを抱えている方、高齢で通院が難しい方などが自宅で治療を受けられるのが訪問看護。
すでに看護師として働いている、これから看護師を目指す方問わず、訪問看護師として仕事が可能です。
そこで今回は、訪問看護師の資格やなり方から向いている人のお特徴や働くメリット・デメリットなどを徹底的に解説します。
◆本記事の内容
- 訪問看護師の資格は?
- 訪問看護師の概要
- 訪問看護師が行うことの多い業務内容は?
- 訪問看護で必要なもの
- 訪問看護師として働くメリット
- 訪問看護師として働くデメリット
- 訪問看護師に向いている人は?
ぜひ最後まで読んで、参考にしてみてください。
訪問看護師の資格は?
はじめに、訪問看護師に必要な資格について解説します。
基本的に必要な訪問看護の資格は、以下の3つ。
- 正看護師
- 准看護師
- 運転免許(施設ごと)
1つずつ、詳しく解説していきます。
正看護師
訪問看護に必要な資格、1つ目は「正看護師」。
正看護師の資格があれば、1人で訪問看護が可能です。
また即戦力として転職や昇給もしやすく、訪問看護には必須の資格といえるでしょう。
正看護師の資格
正看護師の資格は、厚生労働大臣が認定している国家資格です。
資格を取得していれば、いつでも復職が可能なので将来の不安が軽減されるでしょう。
正看護師の概要
正看護師は、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする者。
これは保助看法第5条で定められています。
正看護師の業務
正看護師は、自らの判断で業務を行えます。
必要なときだけ医師からの指示を仰ぐことになるでしょう。
准看護師
訪問看護に必要な資格、2つ目は「准看護師」。
准看護師の場合は自分の判断のみで医療行為はできないため、医師や看護師の指示を待つ必要があります。
しかし訪問看護にて行う業務内容は看護師と変わらず、正看護師と同じく必要な資格といえます。
准看護師の資格
准看護師の資格は、都道府県知事が認定する免許です。
つまり、国家資格ではありません。
准看護師の定義
准看護師は、医師・歯科医師または看護師の指示を受けて、前条(保助看法第5条)に規定することを行うことを業とする者。
これは、保助看法第6条で定められています。
准看護師の業務
准看護師は、自らの判断による業務は行えません。
しかし業務範囲は正看護師と変わらず、以下のようなことを行います。
- 血圧・体温・脈拍などの測定
- 点滴・注射・採血
- 食事・排せつ・入浴介助
- 体位変換
- 手術の補助
- 夜勤巡回
- 患者さんの移送
- カルテの記載
- カンファレンスへの参加
准看護師の養成所
准看護師の養成所とは、受験資格を得るために2年間通う学校のこと。
2021年11月時点で全国に226校の養成所があり、入試は「国語・数学・英語・理科・社会・小論文」の6科目です。
准看護師の試験日程や合格率
准看護師の試験は全国で年1回、2月に行われます。
また2020年の准看護師試験結果では、受験者数が16,867人で合格者数が16,233人。合格率は96%でした。
試験の内容や難易度は場所、年度によって異なるものの合格率はかなり高いといえるでしょう。
運転免許
訪問看護に必要な資格、3つ目は「運転免許」。
訪問看護師は車や自転車で、患者さんの自宅へ行きます。
自転車であれば免許は必要ないのですが、職場が地方になればなるほど車での移動が多くなるでしょう。
車の免許を持っていたほうが、より幅広い地域から働く場所を選択できます。
訪問看護師の概要
まずは訪問看護師の概要について、以下の6つを解説します。
- 訪問看護師になるには経験が必要?
- 訪問看護師のなり方
- 訪問看護師の職場はどこ?
- 訪問看護師の1日のスケジュールは?
- 訪問看護師の給料は?
- 訪問看護師として働くメリット
1つずつ、詳しく解説していきます。
訪問看護師になるには経験が必要?
訪問看護師になるには、経験が必要といえるでしょう。
訪問看護では基本的に1人のスタッフが患者さんの家に行くため、未経験だとイレギュラーな事態に対応できません。
研修が手厚い看護ステーションへ就職できれば、未経験者でも訪問看護師になれます。
訪問看護師の職場はどこ?
訪問看護は専用の施設があるわけではなく、訪問医療を行っている病院の看護ステーションが職場となります。
そのため求人を探す際には、訪問医療を行う病院かどうかをチェックしましょう。
訪問看護師の1日のスケジュールは?
とある訪問看護師の1日のスケジュールを例に、どのような流れで仕事を行っているのかについてみていきましょう。
時間 | 業務内容 | 詳細 |
9:00 | 出勤・ミーティング | 訪問看護ステーションに出勤。前日のスタッフから申し送りを受け、スタッフで情報共有をします。
その後、訪問の準備をしてここから2件まわります。 |
9:30 | 訪問1軒目 | 近い場所であれば徒歩や自転車、それ以外は車で移動します。
1件目が近くても2件目が遠い場合は、車での移動が多いです。 |
10:30 | 訪問2軒目 | スケジュールがズレた場合は、訪問先の近くで休憩時間を取ることもあります。 |
12:00 | お昼休憩 | 基本的には訪問看護ステーションに戻り、午前中に何を行ったかメモしておきます。
その後、休憩時間となります。 |
13:00 | 訪問3軒目 | 訪問先ごとに小児、精神科疾患、ターミナルケアなどさまざまな利用者の方を担当します。 |
14:30 | 訪問4軒目 | 16:00を目安に終了できるように調整しますが、無理はしません。
適切なサービスを行うことが最重要です。 |
16:00 |
|
本日に訪問した利用者の状況や処置の記録、看護計画の修正などを行います。
お昼休憩前にメモをしておくことで、16:00からの業務負担が減るでしょう。 その後、引き継ぐ職員への申し送りを行って業務終了です。 |
基本的に毎日同じサイクルで仕事が進むものの、なかには急変する患者さんもいるため一筋縄ではいかないのがこの訪問看護。
柔軟な適応力が必要とされる仕事です。
訪問看護師の給料は?
訪問看護師の給料は、以下のとおり。これは2020年4月時点でのジョブメドレーで掲載された求人の平均給料から算出しています。
ちなみにここには各種手当や残業代、賞与などは含みません。
平均給料上限 | 平均給料下限 | 平均給料 | |
正職員(月給) | 340,033円 | 268,394円 | 304,214円 |
契約職員(月給) | 290,018円 | 220,242円 | 255,130円 |
パート・アルバイト(時給) | 2,117円 | 1,661円 | 1,889円 |
事業所ごとの差はあるものの、看護師や准看護師の平均給料より訪問看護師のほうが高い傾向があります。
給料を軸に仕事を考えるのであれば、訪問看護師のほうがやや高いといえるでしょう。
訪問看護師が行うことの多い業務内容は?
ここからは、訪問看護師が行うことの多い業務について解説します。
- バイタルチェック
- 医療措置
- 食事・排泄介助
- 褥創(じょくそう)防止
- 服薬・栄養摂取の指導
以上、5つについて詳しく解説します。
バイタルチェック
訪問看護師が行うことの多い業務内容、1つ目は「バイタルチェック」。
バイタルチェックとは、患者さんの体調を把握するために調べるものの総称のようなもの。
具体的には体温や血圧、脈拍、呼吸などで、基本的にはこれを毎日決まった時間に繰り返すことで変化をはかります。
医療措置
訪問看護師が行うことの多い業務内容、2つ目は「医療措置」。
バイタルチェックとは異なり、こちらは患者さんそれぞれで行う処置が変わります。
たとえばカテーテル交換やインシュリンの注射、血糖値測定、点滴など。
ほかにも環境さえ整っていれば嚥下訓練、歩行訓練を行うこともあります。
食事・排泄介助
訪問看護師が行うことの多い業務内容、3つ目は「食事・排泄介助」。
患者さんの家に行く時間によって食事介助の有無はあるものの、排泄介助はどの時間でも行います。
おむつ交換をすることもあればトイレ誘導をすることもあり、それぞれ患者さんごとに対応は変わるといえるでしょう。
褥創(じょくそう)防止
訪問看護師が行うことの多い業務内容、4つ目は「褥創(じょくそう)防止」。
褥創は別名床ずれともいわれており、ベッドの上で体勢を頻繁に変えられない人の背中などにできてしまう発赤疹のことです。
褥創ができないように、訪問看護師は以下のようなことを行います。
- 体位変換
- 体圧分散睡眠器具の導入提案
- スキンケア
服薬・栄養摂取の指導
訪問看護師が行うことの多い業務内容、5つ目は「服薬・栄養摂取の指導」。
栄養を食事で摂れるよう、ご家族や患者ご本人に指導をすることも訪問看護師の仕事です。
また薬に頼りたくないと考えている患者さんは、服薬をするふりしてベッドに隠すこともあります。
そういったことがないように服薬指導を行います。
訪問看護で必要なもの
ここからは、訪問看護で患者さんの家に訪問する際に必要なものを紹介します。
- 制服・私服
- バイタルサイン・状態観察をする道具
- 検査や処置をする道具
- その他
詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
制服・私服
訪問看護で患者さんの家に訪問する際に必要なもの、1つ目は「制服・私服」。
働く事業所によって異なりますが、制服着用の場合は支給されたものを着用していきます。
私服指定の場合は、かがんだときに肌が露出しないような服装でチノパンなどの柔らかい素材を中心に選びましょう。
バイタルサイン・状態観察をする道具
訪問看護で患者さんの家に訪問する際に必要なもの、2つ目は「バイタルサイン・状態観察をする道具」。
訪問看護師の業務内容で紹介したとおり、バイタルチェックはどの患者さんにも必要です。
そのため血圧計や体温計、聴診器(ステート)、パルスオキシメーター、ペンライトなどのバイタルチェックができる器具を持参します。
検査や処置をする道具
訪問看護で患者さんの家に訪問する際に必要なもの、3つ目は「検査や処置をする道具」。
たとえば採血するとしても必要なのは注射器だけではなく、駆血帯やアルコール綿、ビニール手袋、ガーゼなどが必要ですよね。
他にも医療用テープや点滴セット、包帯、消毒液、シャワーエプロンなど処置に必要なものを全て持参します。
その他
訪問看護で患者さんの家に訪問する際に必要なもの、4つ目は「その他」。
患者さんのご自宅にあがるため、訪問看護師側で対処できるような感染対策グッズは必須です。
ほかにもスリッパや連絡用のスマートフォン、記録用紙、筆記用具、福祉カタログや介護事業所リストもあると安心です。
訪問看護師として働くメリット
つづいて、訪問看護師として働くメリットを3つ解説します。
- 介護予防から高度医療までさまざまな経験ができる
- 1対1で患者と向き合うことができる
- 夜勤の必要がなく柔軟な働き方選択ができる
これから訪問看護師を目指したいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
介護予防から高度医療までさまざまな経験ができる
訪問看護師として働くメリット、1つ目は「介護予防から高度医療までさまざまな経験ができる」。
患者さんの家に伺うのは1人の訪問看護師なので、介護予防から高度医療までさまざまな処置を行います。
またイレギュラー時にも1人で対応するため、実力が身につきやすいといえるでしょう。
1対1で患者と向き合うことができる
訪問看護師として働くメリット、2つ目は「1対1で患者と向き合うことができる」。
1人の患者さんに対して1人の訪問看護師が担当するので、処置以外にも相談を聞くなどのケアをすることができます。
そのため患者さんと1:1で向き合えて、より親密なコミュニケーションが取れるでしょう。
夜勤の必要がなく柔軟な働き方選択ができる
訪問看護師として働くメリット、3つ目は「夜勤の必要がなく柔軟な働き方選択ができる」。
夜中など、当たり前ですが夜勤の時間帯は患者さんの訪問はしません。
つまり夜勤の必要がないため、柔軟な働きかたを選ぶことができるでしょう。
訪問看護師として働くデメリット
つづいて、訪問看護師として働くデメリットを2つ解説します。
- 自転車移動なら天候に左右されやすい
- 1人での訪問看護に責任が重いと感じる
訪問看護師のデメリットも、ぜひ転職の参考にしてみてください。
自転車移動なら天候に左右されやすい
訪問看護師として働くデメリット、1つ目は「自転車移動なら天候に左右されやすい」。
事業所から患者さんの家が近い場合は、徒歩や自転車での移動がほとんどです。
そのため雨が降っていたり風が強かったりする天候が悪い日には、移動が難しいでしょう。
1人での訪問看護に責任が重いと感じる
訪問看護師として働くデメリット、2つ目は「1人での訪問看護に責任が重いと感じる」。
患者さんの訪問でイレギュラーな対応が必要になったり、急変したりした場合でも1人で対処する必要があります。
そのため、仕事に責任が重いと感じる場合がほとんどです。
訪問看護師に向いている人は?
ここからは、訪問看護師に向いている人について3つ解説します。
- 人を支えるのが好き
- 疾患名で人を判断したくない
- 単独での仕事が好き
1つずつ解説するので、参考にしてみてください。
人を支えるのが好き
訪問看護師に向いている人の特徴、1つ目は「人を支えるのが好き」。
困っている人を放っておけないような、お世話好きであればなおさら向いています。
患者さんの生活向上に直接関われる訪問看護師は、仕事のやりがいにもつながるでしょう。
疾患名で人を判断したくない
訪問看護師に向いている人の特徴、2つ目は「疾患名で人を判断したくない」。
一般的に入院しているような患者さんの病名などは、医者・看護師の間で共有されています。
そのため疾患名で人を判断されたり、難しい処置から敬遠されたりすることも。
そういった職場に飽き飽きしているなら、訪問看護師という働きかたを選択するのも良いでしょう。
単独での仕事が好き
訪問看護師に向いている人の特徴、3つ目は「単独での仕事が好き」。
もちろん訪問者以外とも患者さんの体調は共有しますが、処置中は1人で対応します。
単独で行動したり仕事を邪魔されたりしたくない人にとっては、訪問看護師がおすすめです。
まとめ
今回は、訪問看護師の資格やなり方から向いている人のお特徴や働くメリット・デメリットなどを徹底的に解説しました。
当サイトでは看護以外にも、介護についての情報を随時更新しています。
ぜひ気になる記事を見つけて、読んでみてくださいね!