デイケアやデイサービスのような日帰りの介護サービスでは、自宅から施設まで利用者の送迎を行っています。
その際に車を運転するのが介護ドライバーです。
本記事では、介護ドライバーの給料がどのくらいなのかを解説。
前半では『介護ドライバーの仕事内容』や『雇用形態』について、そして後半でメインテーマとなる『給料』について触れています。
介護業界に興味がある方はもちろん、車関連をお仕事にしたい方の参考になれば幸いです。
また「介護ドライバーの転職事情」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
介護ドライバーとは?
介護ドライバーとは、日帰りの通所介護サービス利用者に対し、施設と自宅間の送迎業務を行う運転手です。
使用する車は一般的に施設所有のワンボックスカーが使われます。
送迎業務以外では、車椅子の上げ下ろしや乗降車時の介助を行うこともあるようです。
介護ドライバーの仕事内容
主にデイサービスの送迎を行います。
朝は利用者宅まで迎えに行って介護施設まで送り届け、夕方は反対に介護施設から利用者宅まで送り届けることになります。
送迎だけであれば介護に関する知識や技術は不要ですが、勤務時間が限られるので介護ドライバー一本で生計を立てるのは難しいでしょう。
基本的には送迎のみ
介護ドライバーの仕事は基本的には送迎のみですが、利用者の車の乗り降りを手伝うこともあるようです。
これは送迎で使用する車はワンボックスカーが多く、高齢者にとっては乗り降りしずらいので、転倒などによるケガを未然に防ぐためです。
施設によっては普通自動車免許を持っている介護士がドライバーを兼任しており、介護業界の最大コストである人件費を抑えています。
勤務実態について
前述の通り介護ドライバーは送迎業務が主となりますので、朝の2~3時間、そして夕方の2~3時間が勤務時間となります。
日数は施設によりますが3~5日ほどですので、多くても週30時間ほどしか働けません。
そのため、勤務時間外でアルバイトを掛け持ちするか掃除などの雑務をしたり、資格をとって介護職員になる人が多いようです。
必要な資格は?
介護ドライバーは車を運転するので、普通自動車免許が必要になります。
利用者から別途利用料金を徴収するわけではないため、普通自動車二種免許は必要ありません。
ただし、ドライバー一人で送迎業務を行う場合には、乗降車の際に介助が必要になるので介護職員初任者研修以上の資格を取得する必要があります。
介護ドライバーの1日の流れ
デイサービスで働く介護ドライバーの1日を例にして、どのような流れで動いているのかご紹介します。
7:00 | 出社 | 出社後、当日の利用者を確認して迎えに行きます。 その日の利用者状況に応じて、普通車と福祉車両を使い分ける施設もあります。 |
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7:30~9:00 | 利用者のお迎え | 利用者の自宅に行って乗り込みを手伝い、事業所まで送り届けます。 | ||||
9:00~ | 休憩 | 介護ドライバーのみの契約であれば一旦業務終了です。 掛け持ちでアルバイトをするか、介護職員として働いている場合には通常業務に移行します。 |
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15:00 | 再び出社 | 利用者を送り届けるため、再び施設および事業所に出社します。 | ||||
15:30~18:00 | 利用者の送り | 朝にお迎えした利用者だけでなく、ショートステイなどその日に帰る予定の利用者を自宅まで送り届けます。 | ||||
18:30 | 業務終了 | 担当している利用者を全員送り届けたら、施設および事業所に戻って業務終了です。 |
介護ドライバーに向いている人・向いていない人
普通自動車運転免許さえあれば働ける介護ドライバーですが、どんな仕事であっても人によって得手不得手というものがあります。
さらにはっきり言ってしまえば、向いている人と向いていない人に分けられ、仕事にするからには向いているに越したことはありません。
本項では特に向いている人と向いていない人の特徴をご紹介しますから、自分がどちらに当てはまるかチェックしてみましょう。
向いている人
介護ドライバーに向いているのは、“フルタイムで働けない運転が好きな人”です。
送迎業務は朝夕のみですので、1日の拘束時間は4~5時間程度になることがほとんど。
体力的にフルタイムが厳しい、諸事情でフルタイムが厳しいという人で、運転が苦ではないならやってみるといいかもしれません。
向いていない人
一方の介護ドライバーに向いていない人は、“高齢者とふれあいが苦手な人”です。
高齢になると体が不自由だったり耳が聞こえにくいなど、円滑なコミュニケーションをとれないケースが増えてきます。
言ったことが伝わらない、乗り降りに時間がかかってイライラしてしまうような人では、いくら短時間とはいえ介護ドライバーは務まりません。
介護ドライバーの雇用形態
介護ドライバーとして働く人の多くはパートやアルバイトですが、中には契約社員や正社員として働く人もいます。
当然ながら給料は正社員が最も良く、次いで契約社員、パート・アルバイトとなりますが、どのようにしたら正社員として働けるのでしょうか?
また、本項では介護ドライバーの主な就職先についてもご紹介します。
介護知識の有無で変わる?
パートやアルバイトではなく、正社員として働くためには介護の知識および資格が必要となるケースが多いようです。
これは介護職員であれば送迎が終わった後の時間も勤務できるためですが、中には資格がなくても雑務をするなどしてフルタイムで働く人もいます。
雇用形態は施設や事業所ごとに異なるので、フルタイムで働けるかどうかは事前にきちんと確認しましょう。
介護知識あり⇒正社員・契約社員
介護知識および介護資格がある場合には、ドライバーと介護職員を兼任するケースがほとんどです。
そのため雇用形態は正社員か契約社員となり、各種手当や賞与も受け取ることができます。
国家資格である介護福祉士を取得していなくとも、介護職員初任者研修を取得していれば採用時に有利となります。
介護知識なし⇒パート・アルバイト
介護知識と介護資格のどちらもない場合には、パート・アルバイトとして契約することになるでしょう。
待遇面はそれほど良くありませんが、運転技術や利用者への対応など求められるものは正社員・契約社員と変わりません。
また、高齢者はちょっとした揺れで不安になったり、車内と屋外の気温の変化で体調を崩したりすることもあるので、小まめな声かけを行うなど気遣いを怠らないようにしましょう。
介護ドライバーの主な就職先
介護ドライバーとして働く方のほとんどが、以下のどちらかに属しています。
- 通所介護施設
- 介護タクシー
デイサービスなどの通所介護施設で働く場合は普通自動車一種免許のみで問題ありませんが、介護タクシーで働く場合には普通自動車二種免許や介護資格が必須となるので注意が必要です。
通所介護施設
主な職場として真っ先に上げられるのが、デイケアやデイサービスなどの通所介護施設です。
利用者は施設と自宅間を送迎してもらうのが一般的で、朝お迎えに来て夕方送り届けられます。
パート・アルバイトであれば送迎業務のある朝夕の数時間のみ、契約社員・正社員であれば日中は介護業務が雑務にあたります。
介護タクシー
介護ドライバーとして経験を積んだ後、初任者研修以上の介護資格と普通自動車二種免許を取得して介護タクシーの事業所を解説することも可能です。
介護タクシーは大きく分けて、
- 福祉輸送に限定した介護保険適用外のタクシー
- 介護保険適用のタクシー
上記2種類があります。
後者の介護保険と連動するタクシーサービスを行う場合、運営・人員・設備基準をクリアして“訪問介護事業所”の指定を受けなければなりません。
介護ドライバーの給料
介護業界で働く人の年収は高くないことで知られていますが、介護ドライバーも例外ではありません。
主な働き方としては正社員・契約社員・パートおよびアルバイトの3種類が挙げられ、生活スタイルなどに合わせて働く方が多いようです。
正社員 | 18~23万円/月 | ||||
契約社員 | 13~17万円/月 | ||||
パート・アルバイト | 1,000円前後/時 |
上記の表は介護職員全体の平均月収を記載したものですが、介護ドライバーの月収は同じかやや下回るくらいと考えておきましょう。
正社員として働く場合
福利厚生や賞与があり、安定した収入が見込めるのが最大の魅力です。
介護ドライバーとして正社員になれれば残業はほとんどないため、プライベートを大切にしたい方にはピッタリかもしれません。
求人を見ると学歴・年齢不問と入り口が広いのも特徴で、介護業界に興味があって普通免許を持っているなら応募してみるのもいいでしょう。
契約社員として働く場合
正社員と比較すると不安定ですが、残業はほぼなく自由な時間を確保できる、ライフスタイルに合わせた働き方ができるといったメリットがあります。
また、賞与こそないものの各種手当が用意されているケースが多く、週休2日がきっちり取れるのも魅力と言えるでしょう。
求人では学歴・年齢不問なだけでなく未経験も可というケースが多いので、介護関係でなくとも定年後に就業する人が増えています。
パート・アルバイトとして働く場合
週1日から働けて拘束時間は朝夕のみ、残業もほとんどなく働いた分だけ給料が貰えるというシンプルなワークスタイルです。
正社員や契約社員と違って訪問介護や老人ホームでも募集していて、仕事内容や時給もほぼ変わりません。
必要なのは普通自動車免許と運転スキルのみで、自由な時間が確保できるので資格取得のために勉強したりするのもいいでしょう。
給料水準が高いのは首都圏
厚生労働省が行っている「賃金構造基本統計調査」では、介護職員の平均月収が最も高いのは東京都の28.2万円となっています。
周辺の千葉や神奈川、埼玉県も待遇が良く、地価や物価の高さが少なからず影響しているようです。
実際の求人を見ると介護ドライバーは少し下がって正社員16万円~となっており、パート・アルバイトは時給1,000円前後が相場となっています。
給料水準が低いのは北東北
一方で介護職員の平均月収が最も低いのは青森県で19.4万円です。
地方では介護福祉士取得者であっても月収20万円を切るケースが少なくなく、トップの東京都とは10万円近い差が生じています。
介護ドライバーの月収も比例して下がっており、正社員で13万円~、パート・アルバイトでは800円~1,000円が相場です。
介護ドライバーの給料を上げる方法
介護職員と同等かそれ以下という介護ドライバーの年収ですが、給料アップができないかといえばそんなことはありません。
方法は少ないものの、きちんと方法はあるので現在の年収に不満があるなら実践してみましょう。
大きく引き上げることはできませんが、上手く行けば数万円程度の給料アップが可能です。
資格を取得して介護職員になる
介護ドライバーとして働く間は、時間がある程度自由になるため資格取得のために使うといいでしょう。
介護職員初任者研修を取得すれば介護職員として働けるようになり、パート・アルバイトから正社員へステップアップできる可能性が高まります。
また、正社員になるにあたって勤務時間もフルタイムになるので、安定した収入が見込めるのもメリットです。
待遇が良い施設に転職する
介護業界で働くにあたって、職場選びはとても重要です。
パート・アルバイトであればそこまで差はありませんが、契約社員以上の場合は少しでも待遇の良い施設に転職することをおすすめします。
これは介護ドライバーとて例外ではなく、競争率は高くなりますが給料アップを目指すなら妥協しないことが大切です。
介護ドライバーは60歳以上でも求人あり!
介護ドライバーはただ運転できればいいというわけではなく、利用者の命を乗せて運んでいるということを忘れてはいけません。
テレビのニュースを見ていると、タクシーやバスの交通事故が度々報道されています。
交通法規に則った安全運転を行うためにも、車両のチェックはもちろん自身の健康管理も怠らないようにしましょう。
現在の日本は著しく高齢化が進行中です。
60歳を過ぎてすぐに介護される側に回るのではなく、健康な体を維持して介護する側に回ってみるのもいいのではないでしょうか。