介護福祉士を目指すために必須の資格である「実務者研修」受講費が免除される方法をあなたは知っていますか?
この記事では「実務者研修費用を免除する方法」について解説していきます。
結論、費用を免除できる方法は主に3つあります。様々な制度を調査しましたので、あなたの状況に合わせて活用して頂けたらと思います。
その他にも実務者研修費用の相場や、「働きながら実務者研修を受講する方法」「実務者研修の研修時間が免除される条件」などについて説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んで実務者研修についての知識を深めて頂けたら幸いです。
実務者研修を受講する費用の相場は?
実務者研修は様々なスクールで受講することができるので、受講場所によって費用が異なります。また、所有資格によっても相場が変わってきます。
ここでは、実務者研修を受講する費用の相場をご紹介しますので、参考にしてみてください。
所有資格 | 費用相場 |
初任者研修資格 | 8万から13万円 |
無資格者 | 10万から15万円 |
上記から、実務者研修の受講費用が高いことが分かります。
介護福祉士を取得するための必須資格だと分かっていても、金銭・時間的な余裕がないと、中々手が出しにくいですよね。
以下でご紹介する実務者研修の費用が免除される方法や、忙しい中でも受講できる方法を参考にして、お得にキャリアアップ目指しましょう!
実務者研修の費用が免除される3つの方法
実務者研修の費用が免除される方法は、主に3つあります。
- 介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度
- ハローワークで職業訓練を受ける
- 国の制度を活用する
以下で詳しく説明します。
介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度とは
介護福祉士実務者研修受講資金貸付金制度とは、無利子で実務者研修の受講費用を貸付してくれる制度です。条件によっては、返済をする必要がなくなり、実質受講料が免除となります。
この制度のポイントは次の通りです。
- ポイント①最大20万円無利子で借りられる
- ポイント②返還しなくても良くなるチャンスがある
- ポイント③管轄は社会福祉協議会
詳細は以下の通りです。
ポイント①最大20万円無利子で借りられる
介護福祉士実務者研修受講資金貸付金制度は、最大20万円を無利子で借りられます。先ほどご紹介したように、実務者研修の受講費用の相場は、最大でも15万円なので、20万円を借りられれば、受講料を全て支払う事ができるのです。
ポイント②返済しなくても良くなるチャンスがある
実務者研修を修了した後、1年以内に介護福祉士の資格を取得し、指定された施設で介護業務で2年以上働くと、貸付金の返済を免除されます。
指定された施設は各自治体ごとに異なるので、事前に確認しましょう。
ポイント③管轄は社会福祉協議会
介護福祉士実務者研修受講資金貸付金制度を管轄しているのは、各自治体の社会福祉協議会です。
返済免除の要件や制度を使う方法などが、若干異なる場合がありますので、この制度を利用する際は、お住まいの自治体の社会福祉協議会に必ず問い合わせをしてください。
問い合わせは以下の通りです。
自治体 | 問い合わせ先 |
東京都 | 東京都社会福祉協議会 |
大阪府 | 大阪府社会福祉協議会 |
愛知県 | 愛知県社会福祉協議会 |
埼玉県 | 埼玉県社会福祉協議会 |
神奈川県 | 神奈川県社会福祉協議会 |
北海道 | 北海道社会福祉協議会 |
熊本県 | 熊本県社会福祉協議会 |
茨城県 | 茨城県社会福祉協議会 |
福岡県 | 福岡県社会福祉協議会 |
対象者と申し込み方法
介護福祉士実務者研修受講資金貸付金制度の対象者と申し込む方法をご紹介します。
こちらも自治体によって変わってきますので、本記事では「東京都」の場合をご紹介します。
対象者
東京都の介護福祉士実務者研修受講資金貸付金制度を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
【要件1】
以下の①〜④いずれかを満たしている
①東京都に住所がある(住民票を登録している)
②東京都の実務者研修施設で受講している
③実務者研修施設の受講生となる前年度に東京都に住んでいた人、且つ、実務者研修施設で受講するために東京都外に転居した
④上記①〜③によらず、実務者研修施設を卒業した後、東京都内で返還免除対象業務に従事しようとする意思がある
【要件2】
実務者研修受講の申し込み前日までに、介護福祉士国家試験の実務経験として認められる介護業務に3年以上従事した人
【要件3】
卒業後に介護福祉士となり、継続して2年以上、東京都内で返還免除対象業務に従事する意思がある
参考:東京都社会福祉協議会 介護福祉士実務者研修受講資金貸付金制度のご案内
申し込み方法
実務者研修の受講場所を通して、東京都福祉人材センターに申し込みます。
なお、申し込む時には、実務者研修施設長の推薦が必要です。
申し込みの流れは以下の通りです。
- 申し込み
- 審査&貸付の決定
- 借用証明書提出
- 貸付金交付(一括)
- 実務者研修施設卒業
- 介護福祉士の資格取得
- 返還対象業務施設で働く
- 返還猶予申請
- 2年間返還対象業務施設で働く
- 返還免除申請
介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度が利用できるスクール
介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度が利用できるスクールの例をご紹介します。
スクール名 |
日本福祉アカデミー |
資格の大原 |
むさし介護アカデミー |
キャリア福祉カレッジ |
ハローワークで職業訓練を受けるには
ハローワークで実務者研修を受講すると、15,000円前後で資格が取得できます。なお、受講するためには、面接や筆記試験を受けなければならないので、全員が受講できるわけではありません。
また、雇用保険に加入していたかどうかによって、受けれる訓練の種類が違います。種類と対象者は次の通りです。
種類 | 対象者 |
公共職業訓練(離職者訓練) | 失業保険を受給している求職者 |
求職者支援訓練 | 失業保険を受給できない求職者 |
それぞれについて説明します。
●公共職業訓練
今まで働いていた職場で雇用保険に加入しており、退職後、失業保険を受給している人が対象の訓練です。
●求職者支援訓練
何かしらの事情で、雇用保険に加入しておらず、失業保険を受給していない人が対象の訓練です。
対象者と申し込み方法
ハローワークで職業訓練を受けれる対象者と申し込む方法をご紹介します。
対象者
- 収入が8万円以下
- 世帯全体の収入が25万以下
- 世帯全体の資産が300万以下
- 住んでいる所以外に土地や建物を所有していない
- 全ての訓練実施日に出席している
- 世帯の中に給付金を受給し、訓練を受けてる人がいない
- 過去3年以内に、不正行為により、特定給付金の支給を受けていない
申し込み方法
住んでいる地域を管轄するハローワークで申し込みます。
申し込みの流れは以下の通りです。
- ハローワークで求職申し込み&職業相談
- 訓練の受講申し込み&給付金の審査を申請
- 面接・筆記試験を受験
- 合格
- 受講
- 月に1回職業相談&給付金の申請
国の制度を活用するには
国の制度を活用して実務者研修を受講すると、最大70%の受講費が給付されます。主な制度の種類は、次の通りです。
- 教育訓練給付金制度
- ひとり親支援事業
- 自治体ごとの制度
それぞれの制度をご紹介します。
教育訓練給付金制度とは
教育訓練給付金とは、入会金や受講費の最大70%が給付される制度です。この制度を活用するには、厚生労働省が指定した講座を受ける必要があります。
なお、教育訓練給付金制度には、主に次の3つがあります。
- 一般教育訓練給付金
- 専門実践教育訓練給付金
- 特定一般教育訓練給付金
こちらの制度を利用する場合は、申請前に作成が必要な書類などもあるので、早めにハローワークに相談しに行きましょう。
なお、詳しくはこちらの記事でご紹介していますので、参考にしてみてください。
ひとり親支援事業とは
厚生労働省が実施しているひとり親家庭に向けた自立支援制度「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業」があります。
実務者研修は、この事業の中にある「自立支援教育訓練給付金」を利用できるのです。
条件を満たせば、受講料の60%が受給できるので、ぜひチェックしてみてください。
詳しくはコチラ
自治体ごとの制度とは
住んでいる各自治体で受けられる免除制度もあります。
例えば、東京都では、最大12万円助成される「介護福祉士実務者研修受講料助成事業」があるのです。
この事業はいくつかの条件を満たせば、助成を受けられます。
他の自治体でも実務者研修取得のためのサポートがある場合がありますので、住んでいる自治体に問い合わせてみましょう。
働きながら実務者研修の資格を取得する方法
働きながら、実務者研修の資格を取得しようと考えている場合は、お金の心配だけでなく、時間の心配もあると思います。
実際、実務者研修を取得するためにかかる時間は450時間と言われているのです。しかし、工夫すれば無理なく資格を取得できます!
そこで以下では、働きながらでも無理なく資格を取得できる方法をご紹介します。
通信講座を活用する
結論から言うと、働きながら実務者研修の資格取得を目指している方は、通信講座を活用しましょう!実務者研修は受講する費用も時間もしっかりかかるのです。
通学するとなると、移動にも時間がかかってしまい、休む時間がほとんど取れなくなってしまいます。「しっかり休みながら、自分のペースで受講したい」という方はに、通信講座がおすすめです!
ただし、実務者研修取得のためには、実技が必要な科目もあるので、スクールに出向かないといけない事があるという点は、注意しておきましょう。
実務者研修の受講内容
先ほど、受講に約450時間かかると説明しましたが、実際の受講内容はどんなものがあるでしょうか。主な領域はとそれぞれの時間数は以下の通りです。
領域 | 時間数 |
人間と社会 | 40時間 |
介護 | 190時間 |
こころとからだのしくみ | 170時間 |
医療的ケア | 50時間 |
合計時間数 | 450時間 |
実務者研修の研修時間が免除される場合がある!
実務者研修には、特定の介護関連の資格を持っていれば、研修時間が免除されるという規定が設けられています。対象となる資格と免除時間は、以下の通りです。
対象資格 | 免除時間 |
介護初任者研修 | 120時間免除 |
ホームヘルパー1級 | 355時間免除 |
ホームヘルパー2級 | 120時間免除 |
ホームヘルパー3級 | 30時間免除 |
介護職員基礎研修 | 400時間免除 |
参考として、介護初任者研修を所有している場合に免除される具体的な科目と免除時間数をご紹介します。
介護初任者研修を所有している場合に免除される科目
科目名 | 免除時間 |
人間と尊厳と自立 | 5 |
社会の理解 Ⅰ | 5 |
介護の基本 I | 10 |
生活支援技術 I | 20 |
生活支援技術 Ⅱ | 30 |
介護過程 I | 20 |
認知症の理解 I | 10 |
障害の理解 Ⅰ | 10 |
こころとからだのしくみ Ⅰ | 20 |
実務者研修の合格率
多くの時間と費用を費やして受講する実務者研修ですが、果たして合格率はどれくらいなのでしょうか。
調査してみたところ、なんと、実務者研修は試験が行われない場合が多いです。そのため、受講を修了すると、自動的に資格取得ができます。
つまり、合格率100%と言えるでしょう。
実務者研修を取得するとどうなる?
実務者研修を取得すると、介護職のキャリアアップができて、給料アップへの第一歩となります。
介護業界は、所有資格のランクが上がるほど、給料もアップしていきます。しかし、ランクが上の資格を取得するためには、1つずつステップを踏んでいかなければなりません。
なお、介護業界の資格の中で、ケアマネージャーが最も給料の高い職種となっていますが、これを取得するためには介護福祉士の資格が必要です。そして、介護福祉士を取得するためには実務者研修が必須となります。
つまり、実務者研修は、介護のプロを目指す人が必ず通らなければならない通過点とも言えるのです。
免除制度を活用して、キャリアアップを目指そう!
実務者研修の受講費用が免除される方法や、実務者研修に関する様々なお話しをしました。
免除を受ける方法をお分かり頂けたと思いますが、手続きが複雑なので、「手続きが面倒だな」「免除を受けなくてもいいや」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
もちろん正規の値段で受講しても問題ありませんが、そうなると、最大15万円もの費用がかかってしまいます。
免除を利用した分を他の学びに投資した方が、生産性があると思いませんか?
ぜひ、今回ご紹介した方法を参考に、実務者研修をお得な価格で受講してください!