介護職に就いている人にとってメジャーな資格だったヘルパー2級。あまりにもメジャーで2021年時点でも「ヘルパー2級を取得したい」という人が多いようですが・・・
実際には2013年4月の制度改正により「介護職員初任者研修」へと名称が変更になっています。それに伴い取得方法にも変更が。
そこでこの記事では、旧ヘルパー2級の取得方法とその難易度についてご紹介しています。
また「介護福祉士の取得方法や求人」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
ヘルパー2級から介護職員初任者研修へ
ヘルパー2級の資格は介護資格制度の見直しと介護キャリアパスの明確化のために、2013年に介護職員初任者研修へ変わりました。
優秀な介護職員をより多く育成することを目的とした変更であり、年齢や学歴、必要資格、実務経験などの要件は無し。やる気さえあれば誰でも受講することができ、全カリキュラムを修了し試験に合格すれば資格取得となります。
つまり難易度が低いわけで、その分、介護職員にとっては取得して当たり前の資格とも言えるでしょう。
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の必要性
かつて介護職員のキャリアアップについては様々な資格が混在しており、「どれをいつ取得すべきなのかが分かりにくい」という意見が多々ありました。
介護資格制度の見直しはこの分かりにくさを是正する狙いもあり、ヘルパー2級から介護職員初任者研修へと変更になってからはキャリアアップのルートが下記のように一本化されています。
- 介護職員初任者研修
- 実務者研修
- 介護福祉士
- 認定介護福祉士
ご覧の通り、介護職員初任者研修は介護職員にとって最初のステップ。現場系の最上位資格である認定介護福祉士の土台であり、当然、取得したことで給料が上がります。
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)のメリット
介護職員初任者研修を取得するメリットは主に3つあります。
- 採用選考時に有利(選考の可否や給与面)
- キャリアアップへの道筋が立つ
- 現場作業における基礎が身に付く
キャリアアップや現場作業は業界に入ってからの話。そういう意味ではもっとも大きなメリットは採用選考時に有利になることといえます。
採用選考時に介護職員初任者研修を取得済みであれば、より条件の良い事業所に就職できます。なおかつ給料にも違いが出るので、事前に取得しておくメリットは大。
介護職員として働くことを決めているのであれば就職前に取得しておくことをおすすめします。
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)のスクールについて
介護職員初任者研修を取得する上で欠かせないのがスクールです。
一体何をどのようにして受講するのか。この点についてご紹介していきます。
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の受講科目
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の受講科目と必要時間は以下の通りです。
科目 | 時間数 |
---|---|
職務の理解 | 6 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9 |
介護の基本 | 6 |
介護・福祉サービスの理解と医療の連携 | 9 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6 |
老化の理解 | 6 |
認知症の理解 | 6 |
障害の理解 | 3 |
こころとからだのしくみと生活支援 | 75 |
講義の振り返り | 4 |
合計 |
130 |
合計130時間というのは資格取得の相場からみて比較的少ない方です。
だからといって短時間にこだわるのではなく、1科目ずつきっちり頭に入れるようにしてください。
通信講座の利用が可能
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の受講項目と時間数はどのスクールに通っても同じです。ただし、平日コースや土日コース、夜間コースなど、開講される日時には違いがあります。
また、通学以外に通信でも学習することが可能で、様々なライフスタイルの人に対応できるようになっています。その通信講座ですが40.5時間と上限が決められており、通信だけで初任者研修講座を修了することはできません。
そのため土日コースなどを使って3~4ヶ月ほどかけて受講する人も大勢います。いずれにせよスクールに通うことになるので通いやすい場所にあるところを選ぶのが基本です。
スクール選びのチェックポイント
場所以外にもスクール選びに欠かせない要素があります。スムーズに資格を取得できるかどうかに影響する部分もあるので、以下の3点には十分に配慮してください。
- 受講コースの豊富さ
- 振替受講
- 就職サポート
学生であれ社会人であれ、スクールに通う際は無理なく受講できることが重要。その意味では受講コースが複数あることと、万が一欠席となった場合の振替受講が容易であることがポイントになります。
また、就職サポートとは受講修了後にスクール側から就職先を紹介してもらうこと。紹介してもらえる数はさほど多くはありませんが、採用選考において有利に働くと言われています。
これらが揃っていればより安心して受講できますよ。
ヘルパー2級の名称変更に伴う取得方法の変更点
ヘルパー2級から介護職員初任者研修へ変更になっても学ぶべきことはほとんど同じです。
ただし、実際に資格を取得するとなるとやるべきことにいくつかの変更点があります。
変更点1:実習が廃止された
ヘルパー2級では、デイサービスや訪問介護といった施設での実習(5日間)が必須でしたが、介護職員初任者研修では廃止されています。
とはいえ、実習は講義で学んだことを確認する意味で非常に有意義であり、スクールのなかには自主的に実施しているところもあります。
介護職員初任者研修は実際に現場で活かしてこその資格ですから、可能であれば実習はやっておいた方が良いでしょう。
変更点2:スクーリング時間が増えた
実習が必須ではなくなった代わりとして、スクーリング時間が増えました。これにより通信教材を使った自宅学習の時間が減ることに。
つまり通学する時間が増えるわけで、働きながら資格取得を目指す人にとってはやや難易度が上がったことになります。
変更点3:認知症ケアの科目が追加された
現場でのニーズを考慮し、介護職員初任者研修からは「認知症の理解」という科目が受講内容に追加されました。
この追加により認知症患者に対する現場での対応力があがるとされており、介護職員にとってはとても重要な科目です。
難易度はさほどでもありませんが、しっかり履修して認知症への理解を深めておきましょう。
変更点4:修了試験が追加された
ヘルパー2級では全カリキュラムを受講し修了すれば資格を取得できました。
しかし介護職員初任者研修となってからは全カリキュラムを受講し終えた後に修了試験を受け、合格しなければなりません。
要するにハードルが一つ増えたわけですが、試験の難易度は決して高くはなく、授業内容を理解していれば問題ありません。また、万が一不合格となった場合でも追試制度があります。
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の難易度
介護職員にとって当たり前とも言える介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)ですが、そうは言っても難易度が気になるところでしょう。
そこで様々な角度から介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)取得の難易度をご説明していきます。
受講科目の面から考える難易度
全130時間の受講科目ですが、各科目のタイトルをみると「基本」や「理解」といった導入的な内容であることが分かります。
つまり介護業務の概念や理念、初歩といった内容ばかりで技術や深い知識に関してはほとんど教わりません。そのためすでに介護の現場に出ている人はもちろんのこと、将来的に介護職への就職を目指す学生にとってもかなり分かりやすい内容といえます。
少なくとも高校や大学の受験に比べればはるかに難易度は低いといえるでしょう。
修了試験の難易度
ヘルパー2級から名称変更になった際に追加された修了試験。100点満点中70点以上で合格となります。(1時間で32問)
試験という響きだけで拒否反応を示す人もいるでしょうが、試験の難易度はかなり低いので心配いりません。実際、修了試験も追試も不合格となる受講者を探す方が困難なほど。
それまでの受講内容がある程度頭には言っていれば解ける問題ばかりなので、特別な参考書や問題集を用意する必要はありません。
費用の面から考える難易度
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の取得でもっとも費用がかかるのはスクール代です。「あまり高額では困る」と心配になるかもしれませんが、30,000円くらいから通うことが可能。
さらにスクール側から紹介された事業所に就職することでスクール代をキャッシュバックしてくれるところもあります。
介護福祉士やケアマネージャーといった他の介護系資格と比べれば格安で、この点からも難易度の低さが伺えます。
スクーリングの面から考える難易度
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の取得において唯一難易度高めなのがスクーリングの時間を確保することです。
学生であればそれほど苦労しないでしょうが、社会人の場合は仕事との両立が難しいところ。仮に時間を作れても体力的な問題もあります。そのため、学生よりも社会人の方が長期間通うことに。
その間にやる気を無くしてしまうことのないように、モチベーションの維持にも努めてください。
転職サイトを活用して条件の良い事業所を探す
実のところ介護業界は慢性的な人手不足であり、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)を取得していれば引く手あまたです。ただし、給料や労働時間、勤務先、事業所の将来性などを考慮すると本当に良い就職先はさほどありません。
そのためできるだけ多くの求人を閲覧し、自分に合った就職先を見つけることが重要。転職サイトを活用して効率よく求人に目を通していくのが王道です。
なかでも以下の3つは評判が良いので介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)を取得したらぜひ登録してみてください。
<おすすめの転職サイト>
- きらケア
- 介護レポ
- マイナビ介護
きらケア:レバレジーズメディカルケア株式会
事業所の雰囲気を教えてくれたり面接対策を行ってくれたりと、きめ細かい対応をしてくれるのがきらケアです。
就職・転職活動時は誰でも不安な気持ちになりますから、きらケアの高いサポート力は頼もしく感じられるはず。
求人数自体はさほど多くはないものの、ぜひとも登録しておきたい就職・転職サイトの一つです。
介護レポ:株式会社repo
介護レポは内部情報の豊富さが特徴です。応募先の内部情報を面接で質問するのは気が引けるもの。「聞きたくても聞けない」という人が多いことでしょう。
その点、介護レポなら各企業の教育体制や資格取得支援制度、職場環境などについて詳しく教えてくれるので、就職する前からどんな職場なのかをしっかりイメージできます。
「働いてみたらイメージと違った」「職場の雰囲気が合わなかった」などといって離職する人が多いので、介護レポを使ってしっかり情報収集するのはとても大事なことです。
*引用元:https://www.repo.co.jp/kaigolp/
マイナビ介護:株式会社マイナビ
介護業界の就職・転職活動において常識ともいえるのがマイナビ介護です。なぜなら、掲載されている求人数が圧倒的に多いから。求人数は就職・転職サイトにおける最重要項目ですから求人数が多いマイナビ介護は外せません。
さらに専門のキャリアアドバイザーが就職後のこと(給与アップ、キャリアプラン、産休など)について説明してくれます。
就職先に対する希望条件は人それぞれですから、マイナビ介護のように求人数の多いサイトはとても使いやすいはず。まずはマイナビ介護に登録して、足りない部分を他の転職サイトで補完していくのが基本です。
*引用元:https://kaigoshoku.mynavi.jp/
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の難易度は低い
この記事では介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の受講内容と難易度についてご紹介しました。ヘルパー2級から名称が変わったことに伴い、取得の仕方も若干変更に。
とはいえ、学ぶことは同じですし追試制度もありますから難易度はかなり低いです。合格率にすればほぼ100%といえます。スクーリング時間の確保がやや難易度高めですが、それでもしっかり期間を設けて焦らず受講していけば何の問題もありません。
あとはご紹介した就職・転職サイトに登録し、自分に合った就職先を見つけるだけ。介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)を取得によってかなり有利になっているはずですから、自信をもって採用試験を受けてくださいね。