「介護福祉士の資格って、どんなもの?」
「取得条件や活用方法を教えて…!」
なんとなく介護福祉士が国家資格だと知っている人でも、その詳細をご存知ない方は多いのではないでしょうか?
そこで今回は、介護福祉士の資格について取得条件や活用方法から手当まで徹底解説します。
◆本記事の要約
- 介護福祉士の資格条件とは?
- 介護福祉士を目指せるルートとは?
- 介護福祉士の資格取得するメリット
- 介護福祉士の資格取得するデメリット
ここでは介護福祉士の資格について取得条件や活用方法から手当まで徹底解説していますが、介護福祉士の仕事内容についてはこちらでまとめています。
あわせてチェックしてみてください。
介護福祉士の資格条件とは?
介護福祉士の資格受験を受けるための条件は、以下8つのいずれかに当てはまる必要があります。
- 介護福祉士養成施設(2年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了)した方
- 介護福祉士養成施設(1年以上)を平成29年4月以降に卒業(修了)した方
- 3年以上(従事日数540日以上)介護等の業務に従事し、実務者研修を修了した方
- 3年以上(従事日数540日以上)介護等の業務に従事し、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(第1号研修または第2号研修)を修了した方
- 平成21年度以降に福祉系高校に入学し、新カリキュラムを履修して卒業した方
- 特例高校を卒業した翌日以降に9か月以上(従事日数135日以上)介護等の業務に従事した方
- 平成20年度より前に福祉系高校を卒業した方
- EPA介護福祉士候補者であって、3年以上(従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方
ここからは、上記の人が受験できる介護福祉士の資格について解説します。
介護福祉士の資格概要
介護福祉士とは、数多くあるなかで唯一の国家資格。
専門知識を学ぶため、一度介護福祉士の資格を取得すれば永久的に効果があります。
しかし他の資格と違うのは、介護福祉士の資格を取得するために通学が必要だということ。
ただ介護業界で長く働きたかったりキャリアアップを目指していたりするのであれば、この資格を取得しておいたほうが良いでしょう。
◆介護福祉士はどれくらい難しいの?
介護系の代表的な資格は、4つ。
- 介護職員初任者研修
- 介護士実務研修
- 介護福祉士
- ケアマネージャー
初任者研修と実務研修に関しては、民間での受験が可能です。
しかし介護福祉士からは通学や勤務経験が必要となるため、難易度はやや上がるでしょう。
未経験から介護福祉士を目指すことはできる?
未経験から介護福祉士を目指すのは、もちろん可能です。
しかし無資格の状態で働いている場合は、介護職員初任者研修から順番に取得したほうが無難。
福祉系大学や専門学校の場合は、カリキュラムに相応の授業が組み込まれているので心配ありません。
介護福祉士の合格条件
介護福祉士の合格条件は、だいたい「総合点の60%程度」といわれています。
試験の総合点は125点と決まっているので、75点あたりが合格ラインといえるでしょう。
合格基準点は毎年変更されるため、おおまかに理解しておいてください。
介護福祉士の合格率
介護福祉士の合格率ですが、受ける人数やテストの難易度によって毎年変わります。
たとえば令和3年に実施された「第33回介護福祉士国家試験」の結果は、以下のとおり。
- 受験者数→84,483人
- 合格基準点→75点
- 合格者数→59,975人
計算すると、令和3年度介護福祉士試験の合格率は71%。
全体の7割が合格する資格なので、しっかりと勉強すれば難易度は低いでしょう。
介護福祉士を目指せるルートとは?
ここからは、介護福祉士を目指せるルートについて紹介します。
それが、以下の4つ。
- 未経験就職ルート
- 福祉系大学・介護福祉士養成施設ルート
- 福祉系高校ルート
- 経済連携協定(EPA)ルート
詳しく解説します。
未経験就職ルート
未経験で介護業界に入った方は、現場で3年以上の経験が必要です。
また就職してから介護福祉士の資格を取得するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 3年以上の実務経験+実務者研修の修了
- 3年以上の実務経験+介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修の修了
ちなみに3年以上の実務経験とは「従業期間3年(1095日以上)かつ従事日数540日以上」のことを指します。
福祉系大学・介護福祉士養成施設ルート
こちらは一般的な高校を卒業したのち、福祉系の大学や介護福祉士養成施設へ進む場合です。
この場合、介護福祉士の資格取得をするためには以下の条件を満たす必要があります。
- 高校卒業+2年制以上の介護福祉士養成施設を卒業
- 高校卒業+福祉系大学(社会福祉養成施設・保育士養成施設)を卒業+1年制以上の介護福祉士養成施設を卒業
ちなみに社会福祉養成施設、保育士養成施設のどちらかを卒業していれば、福祉系大学卒業と同等の資格となります。
福祉系高校ルート
こちらは福祉系の高校に進んだ場合です。
介護福祉士の資格取得を目指すには、以下条件のいずれかに当てはまる必要があります。
- 福祉系高校で旧カリキュラムを履修+卒業(2008年度以前)+介護技術講習(国家試験)
- 福祉系高校で新カリキュラムを履修+卒業(2009年以降)
- 2009年以降に特例高校を卒業+9ヵ月以上の介護等の実務経験
ちなみに福祉系高校では、1,855時間以上の勉強をします。
経済連携協定(EPA)ルート
経済連携協定(EPA)ルートとは、日本で就労または研修を受けているベトナム人、インドネシア人、フィリピン人の方が介護福祉士の資格取得を目指すルートです。
受験資格を得るには、以下の2つに当てはまる必要があります。
- EPA介護福祉士候補者であること
- 従業期間3年(1,095日)以上、かつ従業日数540日以上の介護の実務経験があること
方法としては「筆記・面接試験を受ける」「介護技術講習または介護福祉士実務者研修を受講して実技試験を免除されるか」のどちらかを選べます。
介護福祉士の資格取得するメリット
ここからは、介護福祉士の資格を取得するメリットについて紹介します。
今回解説するのは、以下の3つ。
- 給料が上がる
- 管理職になれる
- 介護福祉士として有利に就職できる
詳しく解説します。
給料が上がる
介護福祉士の資格取得するメリット、1つ目は「給料が上がる」こと。
国家資格である介護福祉士は平均的な給料が高いだけでなく、施設によっては資格手当がつく場合も。
他の資格と比較してその金額も高くなるため、介護福祉士の資格を取得すると給料も上がります。
介護福祉士の平均所得が上がっている
厚生労働省が発表した「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護福祉士の平均年収は約280〜370万円。
施設形態 | 平均月収 |
介護老人福祉施設(有料老人ホーム) | 常勤 34.2万円/非常勤 24.7万円 |
介護老人保健施設 | 常勤 32.7万円/非常勤 27.7万円 |
介護療養型医療施設 | 常勤 29.7万円/非常勤 データなし |
訪問介護事業所 | 常勤 30.1万円/非常勤 22.8万円 |
通所介護事業所 | 常勤 27.7万円/非常勤 23.6万円 |
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 常勤 29.2万円/非常勤 18.7万円 |
前年度の平均給料と比較して、常勤・非常勤ともに上昇しています。
つまり介護福祉士は、将来的にも安定して高い給料を受け取れる資格といえるでしょう。
介護福祉士の資格手当はいくらくらい?
公益財団 社会福祉振興・試験センターの「社会福祉士・介護福祉士就労状況調査結果の実施概要」によると、介護福祉士の資格手当は、月平均8,237円。
また半数近くが介護福祉士の資格手当を受け取っていると回答しており、1年に換算すると「98,844円」にもなります。
またいま資格手当をもらっていない人でも、ある職場に転職することも可能です。
管理職になれる
介護福祉士の資格取得するメリット、2つ目は「管理職になれる」こと。
介護福祉士の資格を取得すると、今までの身体介助や生活援助、レクリエーションとは別にできる業務が増えます。
つまり利用者のご家族が抱える不安について相談に乗ったり、自宅で使用する介護器具のアドバイスをしたりする仕事へシフトするのも可能。
また介護現場の指揮官として、管理職になれるというのもメリットです。
管理職になったら介護現場には戻れない?
介護福祉士の資格を取得すると、たしかに管理職になる人が多いです。
しかし現場で介護の仕事ができなくなるわけではないので、自由に選べます。
働く施設にもよりますが、なかには現場をこなしながら管理の仕事をしている人もいるでしょう。
介護福祉士として有利に就職できる
介護福祉士の資格取得するメリット、3つ目は「有利に就職できる」こと。
仮に離職することがあっても、介護福祉士の資格を持っていると施設から求められる人材となります。
また未経験~民間資格を取得している人と比べ、新卒で希望した施設に入れることも多いでしょう。
ブランクがあっても介護福祉士の免許は停止されない?
介護福祉士の資格は、一度取得すると停止などの措置はありません。
そのため特に女性は、子育てが終わったころに再就職する人もいます。
ブランクがあっても介護福祉士の資格は剥奪されないので、安心して取得してみてください。
介護福祉士が求められる理由とは?
なぜ現場で、介護福祉士が求められるのでしょうか?
その理由は簡単で「資格者にしかできない仕事がある」「安心して任せられる」からです。
資格者というだけで仕事を任せてもらいやすくなるので、介護業界で努力したいと考えている人は取得できるようにしましょう。
介護福祉士の資格取得するデメリット
ここからは、介護福祉士の資格を取得するデメリットについて紹介します。
今回解説するのは、以下の2つ。
- 資格取得までの道が長い
- 莫大な費用がかかる
詳しく解説します。
資格取得までの道が長い
介護福祉士の資格取得するデメリット、1つ目は「時間がかかる」こと。
たとえば介護職員初任者研修は、最短1ヵ月で取得可能です。
それに比べて介護福祉士は受験資格を取るまでに通学が必要なので、年単位で時間がかかります。
本気で介護福祉士の資格を取得したいと考えてなければ、難しいかもしれません。
途中で挫折した場合はどうする?
介護系の大学や専門学校に進学しても、途中で挫折してしまったり理想と違ったりしてやめたくなることもあるでしょう。
その場合、介護系の資格を取得しているのであればアルバイトとして施設に入社することもできます。
しかし介護福祉士の資格を取得しているほうが将来性もあるため、なるべく卒業はしておきましょう。
時間をかけたら絶対に介護福祉士になれる?
介護福祉士は、国家資格です。
時間をかけて学校を卒業しても、その時点では「介護福祉士を受験する資格」が取得できるだけ。
そのため、介護福祉士のスタートラインと考えておきましょう。
莫大な費用がかかる
介護福祉士の資格取得するデメリット、2つ目は「莫大な費用がかかる」こと。
たとえば介護職員初任者研修の受講費用は、平均5~13万円程度。
それと比較して、介護福祉士の資格取得に必要な金額は通学+試験費用となります。
少なくとも全体で300万円以上かかるでしょう。
費用をなるべく抑える方法は?
介護福祉士の費用を抑えるには、給付金や補助金を上手く利用しましょう。
介護福祉士の資格取得のために使える、給付金や補助金制度は以下の2つ。
- 教育訓練給付制度(教育訓練給付金)
- 求職者支援制度(職業訓練受講給付金)
活用することで、費用を抑えることが可能です。
教育訓練給付制度(教育訓練給付金)とは
教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣の指定する講座を受講・修了することで教育訓練施設に支払った費用の一部が支給される制度。
これは雇用保険の失業等給付の1つです。
3つある「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」のどれを受講したかによって給付金が変わります。
求職者支援制度(職業訓練受講給付金)とは
求職者支援制度(職業訓練受講給付金)とは、雇用保険を受給できない人が早期就職を実現するため、国が支援する制度です。
テキスト代は自費であるものの、受講自体は無料なので費用を大幅に抑えられるでしょう。
まとめ|介護福祉士の資格条件は通学すること
今回は、介護福祉士の資格について取得条件や活用方法から手当まで徹底解説しました。
通学が必要な介護福祉士の資格条件ですが、奨学金を借りるという選択もあります。
諦めずに挑戦してみてくださいね!
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