65歳以上の人口が全人口の21%以上を占める超高齢社会となった日本において、「介護職は将来性がある」と認識している方は少なくないでしょう。
しかし、一口に介護職といっても、老人ホームやデイサービスなど働く場所が変われば仕事内容や必要な資格が変わることはあまり知られていません。
そこで本記事では、介護の仕事内容に焦点をあてて解説。
介護職に興味を持っている方に向けて、どんな場所でどんな働き方をしているのかを紹介していきます。
前半では『介護職の種類』と『介護の仕事内容』について、後半では『介護職のやりがい』や『介護職の大変なところ』、そして『介護職に必要な資格』について触れています。
最後には介護職に就く方法も紹介していますから、興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
また、「介護福祉士の給料」については、こちらの記事で取り上げていますのでお手すきでご一読ください。
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介護職の種類
介護のお仕事は、老人ホームなどの施設内で要介護者の身の回りのお世話をしたり、ご自宅に出張してお世話をすることです。
主に利用者の日常生活の介護を行いますが、あくまでその人らしい生活ができるようなお世話を目指します。
一般的に介護職と呼ばれるのは以下の3種類です。
- 介護士
- 介護福祉士
- ケアマネージャー
介護士と介護福祉士は同じだと思っている方が多いですが、実は明確な違いがあるのでそれぞれ詳しく解説していきます。
介護士
介護士はヘルパーとも呼ばれ、要介護者の生活を日々サポートする職業です。
- 身体介護(食事・着替え・入浴・排泄など)
- 生活援助(部屋の掃除・洗濯など)
- メンタルケア(話し相手になる・レクリエーションの提供)
この他にもリハビリをお手伝いしたり、要介護者の家族からの相談を受けたりもします。
介護士は職場によって仕事内容や働き方が異なり、介護保険制度上は無資格でも就業可能です。
介護福祉士
介護職の唯一の国家資格であり、
- 現場責任者になれる
- 介護指導ができる
といったことが可能になります。
介護士が介護職に就く人全般を指すのに対して、介護福祉士は資格を指すワードなので混同しないようにしましょう。
ケアマネージャー
別名を介護支援専門員と言って、介護を必要とする方が介護保険サービスを受けられるように、ケアプランの作成やサービス事業者との調整を行います。
主な職場は自宅介護を受ける人のための介護サービスを展開している事業所や、特別養護老人ホームなどの施設、地域包括支援センターなどです。
ケアマネージャーになるには、“介護支援専門員実務研修受講試験”に合格しなければなりません。
試験を受けるためには実務経験が必要になるだけでなく、試験合格後も研修を受講する必要があるなど、国家資格の介護福祉士と比べても難易度は高めです。
介護の仕事内容
介護職の種類がわかったところで、ここからは本題の仕事内容について紹介していきます。
職場によって仕事内容が変わるのが介護職の特徴ですから、
- 老人ホーム
- デイサービス・デイケア
- 訪問介護
- 病院
上記4シーンをピックアップして見ていきましょう。
老人ホームの仕事内容
一口に老人ホームと言っても、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなど様々あり、施設が変われば利用者も変わります。
どの施設でも共通していることは、利用者が施設をまたは入居する形態をとっていることです。
施設ごとの特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
- 特別養護老人ホーム⇒地方自治体などが運営。自力で生活することが難しい人が多いため、食事から入浴補助まで身体介護が中心。
- 介護老人保健施設⇒通称“老健施設”。要介護高齢者が自宅生活をできるよう支援しており、自宅復帰に向けたリハビリが中心。
- 有料老人ホーム⇒民間企業が運営。要介護者でなくとも入居でき、細かな内容は施設によって異なる。身体介護からメンタルケアまで行う。
- 認知症型グループホーム⇒認知症と診断された方を9人以下のグループで共同生活させる介護施設。身体介護が中心で、利用者と行動を共にする機会が多い。
デイサービス・デイケアの仕事内容
普段は自宅で生活している高齢者が、日帰りで介護やリハビリを受けるための施設およびサービスです。
デイサービス・デイケアでの介護士の仕事は身体介護がメインとなりますが、車での送迎や利用者同士でコミュニケーションを取るための環境づくりなども含まれます。
デイサービス・デイケアを利用する高齢者は自力でできることが多いため、介護士の身体的な負担は他施設と比べて多くありません。
ただし、送迎の際など親族と接する機会が増えるので、高いコミュニケーション能力が必要になるケースもあります。
訪問介護の仕事内容
訪問介護はホームヘルパーとも呼ばれますが、その名の通り利用者の自宅を訪れて介護サービスを提供します。
自宅で介護サービスを受ける最大のメリットは、利用者の精神的な負担が少ないことです。
主な仕事内容は身体介護と生活援助となっており、ケアマネージャーが決定したプラン通りに介護を行います。
また、介護を行って終わりではなく、利用者の様子や状況などを記録して、ケアマネージャーに報告するのも業務の一つです。
病院での仕事内容
意外に思うかも知れませんが、病院にも介護士の仕事はあります。
主な内容は入院患者の介助や看護師の補助となっており、入院している患者が快適な療養生活を遅れるように努めます。
シーツ交換や洗濯、医療器具の消毒など病院ならではの業務が増えますが、医療面の不明点は医師や看護師にその場で確認できるのは大きなメリットといえるでしょう。
医療知識を増やしたい方や、安心できる環境で働きたい方におすすめです。
介護職のやりがいとは?
看護師と同じで「心身ともにきついのでは?」と思っている方が多いと思いますが、介護士はとてもやりがいがある仕事です。
人と関わるのが好きかつ責任ある仕事をやりたいと考えている方には最適な職業の一つと言えるでしょう。
利用者家族の負担軽減
利用者はもちろん、利用者家族の負担を減らすことができ、笑顔や感謝の言葉をもらった時などはにやりがいを感じられます。
人と接する機会がとても多いので、それだけ感謝される機会も多いでしょう。
また、最初はなかなか心を開いてくれない利用者も、介護の仕事を通して接し続けている内に仲良くなることができます。
しかめっ面ばかりだった人が初めて笑顔を見せてくれた瞬間などは、特にやりがいを感じる瞬間かもしれません。
キャリアアップ
介護職の種類で紹介したように、介護士は経験を積んで資格を取得すればキャリアアップが可能な職業です。
まずは3年頑張ってみて、「もっと続けたい!」と思えたら介護福祉士の資格にチャレンジしてみましょう。
前述の通り介護福祉士は国家資格ながら、3年以上の実務経験と介護福祉士実務者研修を修了していれば、筆記試験に合格して登録するだけ取得できます。
さらに頑張ろうと思えれば、介護福祉士を取得してから5年以上または900日以上の実務経験を積んでケアマネージャーにチャレンジです。
ケアマネージャーは介護に関わる職種の中では給与が高い傾向にあるだけでなく、地域包括支援センターに必要とされる貴重な人材でもあります。
介護職としてさらなる経験を積み、独立してケアマネージャー事務所を開業する方もいるようです。
介護職の大変なところ
やりがいがある仕事には苦労がつきものですが、介護職とて例外ではありません。
ハードなイメージはあながち外れておらず、どちらかと言うと肉体的な負担が大きい傾向にあります。
夜勤がある
老人ホームのような入居施設の場合は、24時間のシフト制のため夜勤の可能性があります。
夜勤になると生活リズムが崩れるのはもちろん、家族やパートナーと過ごす時間が短くなるので、慣れるまでは大変と感じる方が多いようです。
夜勤をどうしても避けたい場合は訪問介護やデイサービス・デイケアという選択肢もあります。
また、職場によっては日勤のみが可能な場合がありますから、迷ったらまずは相談してみましょう。
体力が必要
利用者やその家族とコミュニケーションをとるのはもちろん、自分より背が大きかったり体重が重かったりしても介護を行うのが仕事です。
これだけである程度の体力が必要ということがわかります。
介護士になった人の中には、残念ながら体力的にきつくて辞めてしまう方が一定数いますので、介護士を目指すと決めたなら運動を習慣化しておくことをおすすめします。
しっかり鍛える必要まではないものの、人並みかそれ以上の体力を作っておくと介護士を続けられる可能性は高まるでしょう。
介護職に必要な資格
ここまでにもいくつか出てきましたが、介護を仕事にする上で必要な資格がいくつかあります。
まず介護職に就くにあたって取得したいのが“介護職員初任者研修”で、その次に“介護福祉実務者研修”、そして国家資格の“介護福祉士”を取得したらいよいよ“ケアマネージャー”の資格です。
無資格でも介護士にはなれますが、基本理念が学べて介護に関する知識が増えますし、有資格者として信頼度があがるので取得しておくことをおすすめします。
介護職員初任者研修
生活援助のみであれば必要ありませんが、身体介護を行うときに必要となるのが“介護職員初任者研修”です。
3ヶ月程度の短い期間で取得が可能となっており、いわば“介護のスタート資格”といったところ。
取得することで身体介護ができるようになるので、旧資格での2級ヘルパー相当と言われています。
それまであった施設での実習がなくなる代わりに、研修終了後の試験に合格することで晴れて取得となります。
介護福祉士実務者研修
介護職員として働くにあたって必要となる介護の過程や認知症等について学び、より質の高い介護サービスを提供できるようになります。
また、国家資格である“介護福祉士”を受験するためには必須の資格となっており、取得すると訪問介護事業所等の“サービス提供責任者”になることができます。
介護のプロとして生涯務めようと考えているなら絶対に持っておきたい資格と言って良いでしょう。
受験するにあたっては条件などないものの、決められたカリキュラム(450時間)を修了しなければなりません。
すでに介護資格を有していたり、介護職員として実務経験があるなどすれば受講時間が一部免除されます。
介護福祉士
介護職における唯一の国家資格であり、専門知識と技術を活かして利用者の心身ケアおよび現場職員の指導・育成を行います。
介護福祉士を取得すると給与面で有利になるだけでなく、職員に介護福祉士が多くいると加算が受けられることから待遇が良くなります。
また、前述のサービス提供責任者からチームリーダーまで事業所毎に配置が必要な役職につけるため、就職および転職の際にも有利です。
介護福祉士を取得するためには、以下の3つのルートがあります。
- 指定された養成施設等を卒業して国家試験を受ける
- 福祉系高校で定められた科目及び単位を取得して卒業し、国家試験を受ける
- 3年以上の実務経験及び介護福祉士実務者研修を修了して国家試験を受ける
どのルートであっても相応の時間はかかりますが、一度取得すれば全国どこでも通用する上に自動車免許のような更新もありません。
ケアマネージャー
介護福祉士よりも受験資格のハードルが高くなりますが、介護職でキャリアアップを目指すなら取得しておきたい資格です。
ケアマネージャーは一般的な介護職と違って時間の融通がききやすく、老人ホームのような24時間稼働の施設であっても夜勤はほとんどありません。
ただし、受験するためには一定の職種(国家資格、生活相談員、相談支援専門員、主任相談支援員)で5年以上かつ900日以上の勤務実績が必要となります。
合格率は10~20%という狭き門ですが、年を重ねて体力的にきつくなる前に取得できれば介護の仕事を続けていくことができるでしょう。
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介護業界は人手不足の傾向にあるため、介護業界の求人広告を探せば「資格取得精度あり」や「未経験者可」と書かれた事業者が見つかるはずです。
このように専門学校や福祉系高校を卒業していなくても介護士にはなれますし、働きながら資格を一つずつ取得していくのもいいでしょう。
また、体力が必要とされることから近年では男性の介護士が増加傾向にあります。
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