介護業界は比較的採用されやすい業界です。とはいえ、条件の良い事業所は応募者が殺到するので面接対策は必須であり、受け答えで失敗すると不採用になってしまいます。
そこでこの記事では介護業界の面接における受け答えの良い例をご紹介。
本記事を読んで面接をそつなくこなし、意中の事業所に合格できるようにしましょう。また「面接で述べるべき転職理由」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
面接官の質問には必ず裏の意図がある
面接の場では様々なことを質問されます。なかには「それを聞いてどうするの?」と感じる質問もあるのですが、実はちゃんと意味があります。というのも、面接官がチェックしているのは質問に対する回答そのものではなく、受け答え方や論理性、ストレス耐性、表情だから。
意地悪な質問をされたとしても嫌な顏をせず、笑顔で冷静かつ的確に受け答えするのが正解。仮に受け答えの内容がありがちなものだったとしても問題はありません。
介護業界は人手不足なので面接をしている時点で基本的には採用の方向性。つまり、個性を主張してプラスの印象を得ようとするより、質問の受け答えでマイナスの印象を与えない(減点されない)ことの方が大事なのです。
受け答えのコツ
介護業界は離職率が高く、どの事業所も人材の確保に頭を悩ませています。また、サービスの対象者が身体又は精神的に弱っている人であるため、雑な仕事をして万が一にでも事故があっては命に関わります。
これらの観点から介護業界で求められる人材とは、
- すぐに辞めない人
- ホスピタリティが高い人
- スキルアップに積極的な人
といえます。
面接中に行われるあらゆる質問は上記3点をベースとしているので、受け答えもこの3点を念頭に行っていくのがコツです。
もっともダメなのはすぐに辞めそうと思われること
介護業界を受けるときにもっともダメなのは、面接官から「この人、すぐに辞めそう」と思われることです。そう思われてしまう理由を以下に挙げるので、該当しないようにしっかり面接対策を行ってください。
<すぐに辞めそうと思われる理由>
- 転職回数が多く、それぞれに正当な理由がない
- 前職の所得が高い
- 介護の厳しさや辛さを理解していない
- ストレス耐性が低い
- 体力がない
- コミュニケーション能力が低い
ストレス耐性や体力、コミュニケーション能力などは抜群に高い必要はありません。しかしながら人並み以上は必要でしょう。
その他、前職の所得が高い場合もすぐに辞めそうと思われがちです。なぜなら介護業界の年収は世の平均値を下回っているから。前職時より生活レベルを下げることになるので、「その生活に耐えられるのか?」と疑われてしまうのです。
質問1:当社を志望した理由は?
ここからは面接の場で実際に聞かれる質問と正しい受け答えをご紹介していきます。まず、面接の質問でもっとも多いのは「なぜ他の会社ではなくこの会社を選んだのか」ということ。
この質問で問われるのは
- 企業研究をしっかりやってきたか
- 相性はどうか
という2点。
つまり、長く勤めてくれそうかどうかをチェックされているわけです。
良い受け答え
「御社のホームページには人材育成に力を入れていると書かれていました。私自身、介護業界で長く働くつもりですし、それに向けてスキルアップは必須だと考えていますので、大きく成長できそうな御社を志望しました」
「なぜ当社なのか?」という質問の受け答えでは、他社にはない強み・メリットを的確に答える必要があります。それを想定し、事前の施設見学やホームページ・口コミの閲覧を通してその事業所の良さを見つけておいてください。
なお、事業所の強み・メリットとして挙げやすいのは、
- 職場の雰囲気
- 教育体制
- 利用者の評判
などです。
質問2:前職を退職した理由は何ですか?
中途採用の面接において必ず聞かれるのが退職理由です。ここで問われるのはストレス耐性。嫌なことがあって退職したのか、それとも前向きな理由で退職したのかがチェックされます。
無論、嫌なことがあって退職したと回答するのはNG。それでは「同じ理由でまたすぐに辞めてしまいそう」と思われてしまいます。
介護業界はストレスの多い業界でありそれが原因で離職する人が多いので、少々のことではへこたれないメンタルが求められるのです。
良い受け答え
「将来はケアマネージャーとして働きたいと考えています。それに必要な経験や勉強時間を考えたとき、前職よりも御社の方が働きやすいと思いました」
退職理由の受け答えでは「資格取得をより有利にするため」という方向性で回答するのが無難。
そこに応募先の強みや特徴も絡めることができれば満点です。
質問3:これまでの失敗体験と学んだこと
失敗体験とそこから学んだことを質問するのは、自己分析能力と謙虚さをチェックしたいから。人は失敗から学ぶことで成長するので、何が原因で失敗しどう改善すべきかという分析ができない人は成長が遅れます。
また、失敗を失敗と受け止める謙虚さ・素直さがなければせっかくの自己成長の場を活かすことができません。
そのため、受け答えでは大失敗のエピソードを語る必要はなく、むしろ日常の何気ない一幕から学んだエピソードの方が効果的です。
良い受け答え
「前職において○○のような経験をしました。当時の私はそれを成功だと考えていましたが、お客様の満足度は低く、実際には成功ではありませんでした。この体験をして以来、私は常に相手の立場になって物事を考えるようになりました」
受け答えに用いるエピソードは何でも構いません。問題は結論となる「学んだこと」の方であり、それが介護業界において必要な能力に繋がるように回答してください。
<介護業界において必要な能力>
- 相手の立場になって考える
- ストレスに強いまたは上手に発散できる
- 社会的意義を仕事のやりがいにできる
- 目的意識をもちスキルアップに対してストイック
質問4:自己PR(長所と短所)
自己PRで語ることそのものに大きな意味はありません。面接官が知りたいのは「自分を客観的に把握できているか」と「長所が短所にもなりえることを理解できているか」ということ。
したがって、自分の長所を理解したきっかけとなるエピソードとその長所をどう活かすつもりなのかが重要。
この2点を踏まえていれば受け答えとしてほぼ満点です。
良い受け答え
「幼い頃から○○する環境にあり、それによって△△する能力が身に付きました。△△は××というデメリットもあるので、就職後はそれに気を付けつつ適切に発揮していきます」
自己PRだからと長所を力説する人がいますが、それが行き過ぎると融通がきかない人だと思われてしまいます。
社会人は場面に応じたバランス感覚が求められるので、長所として語りつつ短所になりえる場面では控えることができるという柔軟性もアピールしましょう。
質問5:仕事をするうえで大切にしていることは?
会社の利益や社会貢献、自己の出世など、何を重視して働いていくかは人それぞれ。それと同じく企業側も重視する点がそれぞれ異なります。
この重視する点において企業の考えと労働者の考えが一致していれば相性が良いという証拠。逆にまったく合っていなければ早期退職の原因となりかねません。
そのため事前に応募先のホームページでその理念や経営方針を調べ、自分の考えと合っているかどうをチェックしてください。もしまったく違っているようなら、応募そのものを見送った方が良いでしょう。
良い受け答え
「私は仕事をする上で○○を重視しています。それは△△だからであり、介護業界はとくにその傾向が強いのがこの業界を志望している理由の一つです。また、この点は御社の経営方針と同じだと理解しています」
「個人的に重視している点=介護業界の特徴=応募先の経営方針」という風に話がしっかり繋がるのが良い受け答え。論理性もアピールできるので一気に評価があがります。
逆に個人的に重視している点と応募先の経営方針が合わないと致命的なミスになるので十分に注意してください。
質問6:高齢者との関わりはありますか?
面接官が高齢者との関わりについて質問するのは「介護の実情を理解した上で応募しているのか」を知るためです。
そのため、「関わりがない」という回答はNG。実際に関わりがない場合は老人ホームのボランティアをやってみるなり、職場見学を複数回こなすなりして理解を深めておく必要があります。
面接に受かることだけを考えるなら「ある」と嘘をつくだけで良いのですが、採用後のことを考えると高齢者との関わりについて実体験として知っておくべきです。
良い受け答え
「介護業界を目指すようになってから月に2度ほど老人ホームでボランティアをしてきました。その際、介護職員から色々な話を聞いており、介護職のつらさや業界としての問題点は一通り理解しているつもりです」
実の祖父母と同居しているというエピソードでも良いのですが、より効果的なのは老人ホームでのボランティアです。高いホスピタリティがなければできないことですし、仕事として介護している人の話を聞いてきたという事実は大きな説得力を生みます。
介護の現場を知った上での応募なのですから、これには面接官も満点の評価をつけることでしょう。
質問7:目標やキャリアプランは?
どの業界であっても目標やキャリアアッププランを持っている人は採用されやすくなります。なぜなら「目的を達成するまでは辞めないだろう」と思われるから。
離職率の高い介護業界においては特に重要なことです。
幸いなことに介護業界には取るべき資格がたくさんありますから、具体的な資格名をあげて「それを目標に頑張る」という姿勢を示しておきましょう。
良い受け答え
「私は介護の最前線で利用者に接していきたいと思っています。その意味で介護福祉士の資格取得を目指しており、将来的には後輩の育成も行っていくつもりです」
多くの介護事業所においてもっともニーズが高いのが介護福祉士です。介護福祉士が一定数以上在籍していると報酬点数がアップするため、どの事業所も介護福祉士の確保に必死。
そのためにほとんどの事業所が資格取得支援制度を設けているので、それを活用して介護福祉士を取得し後輩の育成を行うと受け答えるのが正解です。
おすすめの転職サイト
最後におすすめの転職サイトをご紹介しておきます。面接に慣れるのも良い受け答えをするのに必要なことなので、本命から練習用まで様々な事業所に応募してみるのがコツ。
転職サイトは多くの求人を閲覧できるので、面接の経験を積むにはベストなツールといえます。
<おすすめの転職サイト>
- マイナビ介護
- 介護レポ
- きらケア
マイナビ介護:株式会社マイナビ
マイナビ介護は掲載求人数が常時5万件を超えている大規模転職サイトです。
本命の事業所を探すのはもちろんのこと、練習用として本命に近い条件の事業所を探すのにも使えます。
また、複数の求人を見比べることによって、条件の相場を理解することもできることでしょう。
*引用元:https://kaigoshoku.mynavi.jp/
介護レポ:株式会社repo
介護レポは応募先の情報を細かく掲載しており企業研究にとても役立ちます。
とくに教育体制や資格取得支援制度、職場環境などに関する情報が充実しているので、転職理由や志望動機を作る際は参考にすると良いでしょう。
*引用元:https://www.repo.co.jp/kaigolp/
きらケア:レバレジーズメディカルケア株式会
きらケアは面接対策と面接同行を行ってくれる数少ない転職サイトです。
採用のプロが応募先の特徴に合った受け答えを指導してくれるので、しっかりマスターすれば合格率がアップすること間違いなし。
「面接が苦手」という人はきらケアで一から対策を教わると良いでしょう。
介護業界の面接ではやる気と継続性を念頭に受け答え
この記事では介護業界を目指す人のために、面接での良い受け答えの例をご紹介しました。
質問自体は他の業界の面接でもあるようなものばかり。しかしながらどの質問にも真の意図が隠されており、どう受け答えるかで評価が変わってきます。
介護業界においてはやる気(資格取得)と継続性(辞めないこと)が重要なので、それらをベースにした受け答えを用意しておくと良いでしょう。