介護の国家資格は介護福祉士しかないことを知っていますか?
この記事では「介護福祉士が簡単なのか」について解説していきます。
結論、介護福祉士は国家資格のなかでは合格率が高い部類と言えるでしょう。
介護の資格を検討する際にわかりづらい「介護が簡単なのか」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。
その他にも「介護福祉士の取得方法」の説明や、「介護福祉士の年収」について説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んで介護の国家資格を知っていただければ幸いです。
また「介護福祉士の難易度」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
介護の国家資格「介護福祉士」の難易度とは?
国家資格というと難しいイメージがあるかもしれませんが、介護福祉士の難易度は実は低めです。
ここ数年では、毎年合格率が70%前後という結果になっています。
また、実際の現場で目にする状況がそのまま出題されているケースも多く、実務経験者にとってはとても有利です。
他の国家資格に比べ難易度の低い介護福祉士ですが、取得には多くのメリットもあるため、資格取得をおすすめします。
介護福祉士を取得するには?
介護福祉士の資格を取得するためには、介護福祉士国家試験を受験する必要があります。
また、国家試験を受けるためにも必要な受験要項があります。
以前は受験資格に様々なルートがありましたが、近年実施内容の改正が行われ、現在では主に3つのルートと、シンプルなものに変更されています。
介護福祉士国家試験を受けるための主なルートは、以下の3つです。
- 介護福祉士実務経験ルート
- 福祉系高校ルート
- 養成施設ルート
ここでは、それぞれのルートをさらに詳しく解説していきます。
介護福祉士実務経験ルート
介護福祉士国家試験の受験者の中で最も多いのが、実務経験ルート。
介護職の実務経験日数により、国家試験受験の資格が得られるルートで、他職種から転職した人など社会人の方がこのルートを選択するケースが多いです。
実務経験ルートの条件は、対象施設及び職種において3年(1095日)以上、従事日数540日以上の経験を積むこととされています。
この期間は通算で数えるため、パートタイムで短時間勤務の人でも、年数をかければ条件に達することができます。
また、実務経験の他に「介護職員実務者研修」の受講も受験資格の条件となっています。
実務者研修のカリキュラムは全部で450時間で、座学と実習を含む内容です。
実務経験ルートを選択する場合は、職務従事期間と実務者研修の受講日数を計算し、試験日までに条件を満たしているようにスケジュールを立てることがポイントとなります。
福祉系高校ルート
福祉系高校もしくは福祉系特例高校に通い、卒業時に国家試験を受験するルートです。
福祉系高校ルートは近年の受験ルール改正があり、入学の年度によっても条件が異なるため、事前の確認が必要です。
福祉系高校に平成21年度以降に入学した場合には、卒業後に国家試験を受験する資格が得られます。
福祉系高校に平成21年度以降に入学した場合は、卒業後にさらに9ヶ月以上の実務経験を積み、実技試験に合格すると国家試験の受験資格を得ることが可能です。
高校ルートは、入学年度や学校の分類により条件が変わり少し複雑なので、入学前の確認をおすすめします。
養成施設ルート
養成施設は、厚生労働大臣指定の介護系四年制大学、短期大学、専門学校を指します。
2018年の改正以前は、養成施設の卒業生は卒業と同時に介護福祉士の資格を取得できました。
しかし、改正後は他のルートと同様、国家試験を受験しなければいけないルールになっています。
2022年までは経過措置の期間中となっているため、このルートを選ぶ際にも詳細を事前に確認しておく必要があります。
介護福祉士が簡単すぎと言われる理由は?
介護福祉士は国家資格の中でも難易度の低い資格である、と言われています。
その理由として、以下の2つが挙げられます。
- 合格率が高い
- 経験をもとに受験できる
それぞれ詳しく解説していきます。
合格率が高い
介護福祉士の取得が難しくないという説には、その合格率の数字の裏付けがあります。
2014年(第26回)〜2021年(第33回)の合格率を表にまとめましたので、ご覧ください。
年度 | 合格率 |
2014年(第26回) | 64.6% |
2015年(第27回) | 61.0% |
2016年(第28回) | 57.9% |
2017年(第29回) | 72.1% |
2018年(第30回) | 70.8% |
2019年(第31回) | 73.7% |
2020年(第32回) | 69.9% |
2021年(第33回) | 71.0% |
参照:厚生労働省「第33回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移
2016年に受験資格改定があり、実施された2017年度以降は、例年合格率が70%前後となっています。
同改定では、実務ルートの受験の際に実務研修の修了を求められるようになりました。
研修でしっかりと知識を身につけた後に試験に臨めるため、受験者の合格率が上昇したと考えられます。
参考までに、他の国家資格試験と比較すると、難関で有名な行政書士は11.5%、司法試験は33.91%の合格率です。
また、技術系では調理技能士は28.1%、建築大工技能士は40.8%の合格率になります。
これらの国家資格試験と比べ、例年70%の合格率を記録している介護福祉士は、比較的簡単な資格であると言えるでしょう。
経験をもとに受験できる
介護福祉士は、未経験では受験できない資格です。
そのため、経験をもとに受験できる点も試験が簡単であると言われる要因の1つ。
実務経験や学校での実習など、介護の経験があることを前提とした試験のため、経験をもとに受験できる点は強みと言えるポイントです。
あらかじめ経験を積んだ上で試験の準備を行うため、1からの勉強にならず、下地がある状態で学習が始められます。
実際の試験問題は、実務経験がある人であれば回答はそれほど難しくない内容が多いです。
介護の現場で日常的に目にする状況が試験問題となっている項目も多く、経験者であれば実体験を振り返りながら容易に解答できるでしょう。
国家資格ではないけど取得したい資格3選
介護系の資格には、介護福祉士以外にも取得しておきたいものがあります。
介護福祉士以外の資格は国家資格ではありませんが、取得しておくと、実際の現場で役立つ技能を身につけることができます。
また、民間資格ではあっても取得しておくことで知識や技能を証明でき、転職の際にも有利になるでしょう。
ここでは、以下のおすすめの介護系資格3つをご紹介します。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- ケアマネジャー
それぞれの資格の内容をご紹介します。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護職のファーストステップとも言える資格です。
介護職員初任者研修を受けなくても介護職に就くことはできますが、基本の知識を身につけておくことで質の高いサービスを提供することができます。
介護の基礎として、人間の体や心などについて医学的な観点で学び、正しい介護法を知ることが可能。
正しい基礎知識を身につけることで、介護者と利用者双方にとって負担が少なく、より適した介護サービスを行えます。
初任者研修の内容は全130時間10項目です。
修了試験は復習のための簡単なもので、合格率はほぼ100%と言われています。
初任者研修を受けていると、後に介護福祉士の国家試験を受けるための条件として実務者研修を受ける場合、130時間を減免できるというメリットもあります。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護福祉士試験の受験資格の1つでもある研修ですが、それ単体としても取得する価値のある資格です。
介護福祉士実務者研修は、介護職初心者からレベルアップし、さらに専門的な介護技術について学びます。
痰の吸引、経管栄養などの医療的ケアについても学べ、専門的なケアが行えるようになるため、有資格者には手当てをつける職場もあります。
また、介護福祉士実務者の資格があると、サービス提供責任者として働けるようになる点もメリットです。
施設によっては役職手当てを設けているところもあり、給与アップや転職に役立ちます。
介護福祉士実務者研修のカリキュラムは、20科目全450時間です。
研修を全て受講すれば認定を受けられるため、受講のためのスケジュール管理さえできればほぼ100%取得可能な資格と言えます。
ケアマネジャー
ケアマネジャーは、介護現場で実際に働く介護士と少し異なる職種です。
ケアマネジャーは介護支援専門員とも呼ばれ、介護を受ける人が適切な介護保険サービスを受けられるためのケアプランやサービス事業者との調整を担当。
介護を受ける人とサービス事業者を取り持つ役割をするため、介護職に対する深い知識や経験が求められます。
そのため、介護職現場で経験を積んだ後のキャリアアップとしてケアマネジャーを目指す人が多いです。
ケアマネジャーの試験を受けるためには次の2つの条件のいずれかを満たす必要があります。
- 介護福祉士等の国家資格を保有した5年以上の実務期間があること。
- 介護施設の相談援助業務に5年以上または900日以上従事していること。
介護系資格の中でも、取得までに特に時間のかかる資格ですが、その分有資格者は重宝される職種でもあります。
介護の国家資格「介護福祉士」を取得する3つのメリット
介護福祉士の取得のためには、ある程度の期間と労力が求められますが、それでも取得することにはメリットがあります。
ここでは、以下の3つのメリットをご紹介します。
- 給与が上がりやすい
- 昇進に有利になる
- 転職しやすくなる
給与が上がりやすい
介護士の人材不足を背景に、資格者に対して優遇する制度が国によって定められています。
その政策の1つが特定処遇改善加算です。
これは、各介護施設で介護士を3つの区分に分け、最低でも一人は最高ランクに配置しなければいけないというルール。
最高ランクに配分された職員には、月額8万円以上の賃上げもしくは年収440万円までの賃金増を行うように規制されています。
そのため、各介護施設では資格者に対してより好待遇にする流れが強まっています。
同じ仕事をしていても資格を持っていれば給与が上がりやすいのは、資格取得のメリットです。
昇進に有利になる
介護職には、現場で働く業務だけでなく、マネージメントや教育を担う管理者の職務もあります。
介護福祉士の資格を取得していれば、管理者としての起用がされやすく、後にケアマネジャーなどさらなるステップを目指す足がかりにもなります。
施設によっては、サービス提供責任者に就けるのは有資格者のみ、としているところもあり、資格を取得していると昇進に有利です。
転職しやすくなる
介護福祉士の資格の取得は、介護に必要な技能や知識を有している証明となります。
そのため、転職の際にも仕事を見つけやすいのもメリットです。
資格がなくても介護職には就けますが、即戦力となる有資格者の場合、より好待遇での転職も期待できるでしょう。
介護福祉士の年収とは?
介護福祉士を目指すにあたって、気になることの1つが年収でしょう。
厚生労働省の調査では、介護福祉士の平均月給は36万1,890円です。(令和2年度)
一方保有資格なしの場合は、平均月給は30万1760円です。
両者を比較すると月6万130円の差となり、年収は介護福祉士の方が72万1560円も高いこととなります。
収入面から見ても、資格取得のメリットがうかがえるでしょう。
介護福祉士の資格を取得するためのスクール3選
介護福祉士の資格を取得するためのスクール3選
介護福祉士の資格を効率的に取得するなら、スクールに通うのがおすすめです。
ここでは、以下の3つのおすすめのスクールをご紹介します。
- 三幸福祉カレッジ
- 未来ケアカレッジ
- ニチイ
三幸福祉カレッジ
おすすめポイント
- ライフスタイルに合わせて選べる講座
- 合格率90%超え
- オリジナル教材を使用
三幸福祉カレッジは、ライフスタイルに合わせた豊富なラインナップの講座を用意しているのが特徴。
講座受講生の合格率は90%超えを記録しており、しっかり対策をして安心して試験に臨めます。
教材は、試験対策チームが最新の出題傾向を徹底分析したオリジナルを使用しており、広い出題範囲の中でもムダのない学習が可能です。
WEB学習 | ◯ |
通学学習 | ◯ |
特徴 | 合格率90%超え |
おすすめの人 | 確実に合格を目指したい人 |
公式サイト:三幸福祉カレッジ
未来ケアカレッジ
おすすめポイント
- 筆記試験対策用講座あり
- 全国100教室で開催
- 就職サポートもしてもらえる
未来ケアカレッジでは、30時間(5時間×6日間)とコンパクトに内容を凝縮した筆記試験対策のカリキュラムが提供されています。
実務者研修とあわせて受講すれば、「教育訓練給付金制度」が適応されるのも嬉しいポイント。
全国100教室で開催されているため、最寄りの通いやすい教室を選べます。
また、就職サポートも行なっているため、キャリアアップの相談も可能です。
WEB学習 | △ |
通学学習 | ◯ |
特徴 | 全国100教室で開催 |
おすすめの人 | キャリアアップの相談もしたい人 |
公式サイト:未来ケアカレッジ
ニチイ
おすすめポイント
- 介護事業者運営の経験による講座
- 頻出ポイントを100項目に絞って学習
- 本番前の全国統一模試実施あり
ニチイは、全国約1,800ヵ所の介護事業所を運営している経験から、合格のためのポイントを掴んだ講座を提供しています。
過去の介護福祉士国家試験を分析し、頻出ポイントを100項目に絞って学習するため、働きながら通う人でも、無理のない試験対策が可能。
本試験の前には全国統一模試を行い、弱点の洗い出しと克服をしてから本試験に臨めるため、安心です。
状況に応じて通信・通学のカリキュラムを選べるのも嬉しいポイント。
WEB学習 | ◯ |
通学学習 | ◯ |
特徴 | 模試試験あり |
おすすめの人 | 効率的な学習がしたい人 |
公式サイト:ニチイ
介護福祉士は比較的簡単に取得できる
この記事のポイントは以下の通りです。
- 介護福祉士取得には3つのルートがある
- 介護福祉士の難易度は低い
- 介護福祉士の資格を取ると転職や給与アップに有利
介護福祉士を取得するには、実務ルートと学校に通うルートを合わせた3つのルートがあります。
毎年合格率は70%と難易度は低いため、しっかりと準備を行えばそれほど試験について心配する必要はありません。
この記事で、介護福祉士の取得に関心を持たれましたら、試験対策のためのスクール選びから始めてみてくださいね。