介護業界は、取得資格によって大きく待遇や働き方が異なることを知っていますか?
この記事では「社会福祉士」について解説していきます。
結論、社会福祉士は介護から福祉まで、さまざまな業務に携われる、重宝される存在です。
専門的な知識の必要な介護業界ですが、社会福祉士についてわかりやすくまとめたので、ぜひ参考にしてください。
その他にも「社会福祉士の資格取得」について説明していくので、ぜひ社会福祉士を目指してみましょう。
また「ケアマネジャー」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
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社会福祉士とは
社会福祉士は、介護職に関する国家資格です。
介護に関する資格は多くありますが、そのほとんどは民間資格となっています。
しかし、社会福祉士は国家資格のため、資格取得難易度が高いのが特徴。
また、社会福祉士の定義については、社会福祉士および介護福祉法により、以下のように定められています。
「社会福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者をいう。
引用:e-Gov法令検索
介護職というと介助がメインの仕事というイメージがありますが、社会福祉士になることで、相談や援助も可能になります。
社会福祉士と介護福祉士の違い
社会福祉士と介護福祉士では、仕事の内容が異なります。
どちらとも国家資格なので「どちらか片方を取得しておけば良い」というような考えの方もいるでしょう。
社会福祉士の主な仕事は、福祉の現場での相談にのることです。
一方で、介護福祉士は直接的に介護サービスを提供することがメインの仕事となります。
わかりやすく言うならば、社会福祉士は事務、介護福祉士は現場というイメージです。
自身の目的に合わせて、取得する資格を考えておくと良いでしょう。
社会福祉士の主な仕事内容
社会福祉士の仕事内容は、多岐にわたります。
国家資格なので、通常のヘルパーではできない業務も含まれるのです。
主な業務は、以下の3つに分けられます。
- 相談業務
- 支援の提供・管理・連携
- 介護業務
それぞれの仕事は、どんな現場に入るかによって異なります。
たとえば、相談がメインとなるのは、福祉系の現場です。
通常のヘルパーとの違いや、社会福祉士の業務の幅広さなど、具体的な仕事内容から知っていきましょう。
相談業務
相談業務は、社会福祉士の主な仕事です。
福祉施設の相談員や指導員といった形で利用者やその家族の相談や問題を分析し、適切な支援サービスを提案します。
また、社会福祉士は児童福祉施設に勤務することもあるため、相談内容やアドバイスは、とても幅広いです。
それぞれの年齢や状況に合ったアドバイスをしなければいけないため、さまざまな知識がなければいけません。
社会福祉士でなければできない仕事と言えるでしょう。
サービスの提供・管理・連携
社会福祉士は、相談に合わせた適切な支援サービスの提供を行わなければいけません。
提供だけではなく、サービスを利用するための手続きや環境の整備なども、社会福祉士の仕事です。
場合によっては、行政機関や医療機関との連携を図り、利用者が十分なサービスを受けられるようにします。
利用者に応じて適切なサービスの提供、見直し、調整まで行わなければいけません。
常に利用者の状況を把握しておく細かい能力が必要になります。
介護業務
介護施設に勤務した場合は、介護業務をすることもあります。
基本的な業務は、通常のヘルパーと同様で、入浴や食事、排せつなどの介助です。
ただし、社会福祉士でなければできないのが、利用者や入所希望者の相談です。
利用者の生活や介護状況に応じて、どのようなサポートをしていくべきか相談にのり、提案します。
社会福祉士の資格を取得しても現場の業務を行いたい方は、介護施設に勤務すると良いでしょう。
社会福祉士が働ける職場は3つ
社会福祉士が働ける職場は、主に3つになります。
介護関連の資格となると、介護施設で働くイメージが強いでしょう。
しかし、社会福祉士になれば、介護施設だけではなく、医療施設での勤務も可能です。
主な職場は、以下になります。
- 介護施設
- 医療施設
- 福祉施設
ヘルパーの場合は、介護施設に限られてしまいますが、社会福祉士の資格を取得していれば、さまざまな働き方ができるのです。
具体的な施設や、それぞれの現場でどのような仕事がメインになるのか、以下で解説します。
介護施設
介護施設では、主に相談員として勤務することが多いです。
相談員がメインの仕事になりますが、ほとんどの場合は介助業務も兼任になります。
相談業務の内容は、利用者やその家族からの相談、介護サービスの提案、支援計画の作成などです。
介護施設で働く場合、主に以下の施設が当てはまります。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- デイサービス
- 障害者支援施設
基本的に、社会福祉士の資格を取得していれば、どんな形の介護施設でも、相談員として勤務できると考えて良いでしょう。
医療施設
社会福祉士は、医療施設で働くことが可能です。
ただし、どこの病院でも勤務できるわけありません。
勤務できるのは、生活相談室や地域連携室といった相談所がある、比較的規模の大きな病院になります。
具体的な業務内容としては、患者やその家族の精神的・経済的な不安に対しての支援です。
治療や入院に関する適切な支援制度の紹介や、希望する治療を受けられるようにするために、医師や看護師との連携を行います。
ただし、求人数はそれほど多くないので、医療関係の現場を見つけるのは難しいでしょう。
福祉施設
社会福祉士は「福祉」という名前があるように、福祉施設での業務が多いです。
そのため、勤務できる福祉施設は、多岐にわたります。
- 母子生活支援施設
- 児童相談所
- 福祉事務所
- 社会福祉協議会
- 高齢者福祉関連施設
- 障害者福祉関連施設
また、学校で相談員として勤務するケースもあります。
それぞれの施設では、生活支援員や就労支援員、サービス管理責任者として勤務することが一般的です。
子どもから高齢者まで、さまざまな相談、心のケア、適切なサービスの提案を行います。
福祉施設では、引っ張りだこの存在といえるでしょう。
社会福祉士4つのメリット
社会福祉士は、メリットの多い資格です。
取得難易度が高い分、社会福祉士の資格を持っているだけで、4つのメリットがあります。
- 社会的信用が高まる
- 業務(勤務先)の幅が広がる
- 他の資格を取得しやすい
- キャリアアップに有利
これから介護や福祉関連の仕事に就きたい方は、社会福祉士の資格をとっていれば、就職や転職に困ることはないでしょう。
以下で、なぜそれぞれのメリットを得られるのか解説するので、ぜひ参考にしてください。
社会的信用が高まる
社会福祉士の資格を取得していると、社会的な信用が高まります。
なぜなら、社会福祉士の資格は国家資格だからです。
通常のヘルパーでも利用者の相談にのることはできますが、社会的福祉士の資格を持っていなければ、アドバイスに対する信用性が薄れてしまうでしょう。
相談者やその家族からも信頼が得やすいというのは、介護や福祉施設で働く上で、大きなメリットになります。
そのため、それぞれの施設で、重宝される存在になるでしょう。
業務(勤務先)の幅が広がる
社会福祉士の資格があると、業務の幅、勤務先の幅が広がります。
介護施設はもちろん、福祉施設に医療施設など、さまざまな働き方が可能です。
介護求人サイトの「ジョブメドレー」で応募要件に絞って検索したところ、以下のような結果になりました(2021年8月現在)。
- 未経験可……113件
- 精神保健福祉士……107件
- 社会福祉士……174件
社会福祉士を要件としている施設が、圧倒的に多いです。
社会福祉士の資格を取得しておけば、就職に困ることはほぼないと言えるでしょう。
他資格を取得しやすい
他の資格取得も考えている方も、社会福祉士の資格を取得しておくと良いでしょう。
なぜなら、社会福祉士の資格を取得しておくと、他相談援助関連の資格が取得しやすくなるためです。
社会福祉士の資格を持つことで、有利になる資格は以下の2つになります。
- 精神保健福祉士……社会福祉士と共通科目があるため、免除される科目がある
- 社会福祉主事……社会福祉士の資格を取得していることで要件を満たすことになる
どちらの資格も、社会福祉士の資格を取得していることで有利に働くので、いくつかの資格を取得しておきたい方は、まず社会福祉士の資格を取得しておくと良いでしょう。
キャリアアップに有利
社会福祉士の資格を取得しておくと、業務の幅が広がるだけでなく、介護施設などの施設長になれます。
反対に、施設長を目指す場合は、社会福祉士の資格が必要です。
施設長にまでなれば、当然給与もアップします。
現場での相談や介助業務などを行うのではなく、施設長として現場や施設の管理を行いたい方は、社会福祉士の資格を取得しておくと良いでしょう。
社会福祉士の資格取得について
社会福祉士の資格取得難易度は高いです。
難易度が高いというのは、単に合格率が低いというだけではありません。
受験資格も厳しく定められているのです。
社会福祉士を目指したい方は、試験だけではなく、受験資格を得るためにも努力しなければいけません。
また、資格取得ルートや試験科目など、以下で社会福祉士の資格取得についての4つを解説していきます。
- 受験資格
- 資格取得ルート
- 試験科目
- 合格率
これから資格取得を目指す方は、それぞれのポイントを理解しておきましょう。
受験資格
社会福祉士は、いきなり試験を受けられる資格ではありません。
以下のいずれかの条件を満たさなければ、受験できないのです。
- 福祉系大学で指定科目を修めて卒業した者
- 2年制短期大学で指定科目を履修し卒業し、指定施設で2年以上相談援助の業務に従事した者
- 社会福祉士短期養成施設を卒業した者
- 社会福祉士一般養成施設を卒業した者
一般の大学を卒業した場合でも、養成施設に通うことで条件を満たすことはできますが、最低でも半年以上はかかってしまいます。
資格取得ルート
社会福祉士の資格取得ルートは、全部で12種類に分けられます。
それぞれの資格取得ルートは、以下の通りです。
福祉系大学・短大ルート |
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短期養成施設等ルート |
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一般養成施設等ルート |
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それぞれのルートから、自分に当てはまるルートで資格取得を目指しましょう。
試験科目
試験科目は、全18項目にわたります。
社会福祉士の資格は膨大な知識を要するため、介助に関する内容から社会保障に関する問題まで幅広いです。
出題科目は、以下のようになっています。
共通科目 |
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専門科目 |
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共通科目と専門科目に分かれ、どちらも幅広い知識が必要となります。
また、18科目群のすべてで得点していないと合格できないので、苦手な分野でも得点を取り損ねないように、網羅的に勉強しておきましょう。
合格率
社会福祉士の合格率は、30%前後です。
数年の合格率を見ても、大きな差はありません。
厚生労働省の発表によると、ここ4年の合格率は、以下のようになっています。
- 第30回(平成29年度)……30.2%
- 第31回(平成30年度)……29.9%
- 第32回(令和元年度)……29.3%
- 第33回(令和2年度)……29.3%
直近4年では、30%を超えたのは平成29年度のみです。
また、合格者数は約3万人~4万人のうち約1万人。
開催年によって多少の変化はありますが、基本的に合格率は低いです。
介護業界で活躍するなら社会福祉士を目指そう
社会福祉士は取得難易度の高い資格ですが、取得することで必ず役に立ちます。
これから介護業界への転職・就職を考えている方は、社会福祉士の資格取得を目指してみてください。
ただし、社会福祉士の資格取得はとてもハードルが高いので、独学で資格取得を目指すのは難しいです。
社会福祉士の資格取得を目指すなら、スクールを利用して、集中的に対策を行うと良いでしょう。
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