認定介護福祉士がどのような資格かは知っていますか?
この記事では「認定介護福祉士」について解説していきます。
結論、認定介護福祉士は介護福祉士としてキャリアップするための手段の1つなので、キャリアアップをするためには重要です。
認定介護福祉士を検討する際にはわかりづらい「認定介護福祉士の概要」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。
その他にも「キャリアステップ」の説明や、「認定介護福祉士の給料」について説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んで認定介護福祉士の資格を手に入れていただければ幸いです。
認定介護福祉士とは?
認定介護福祉士とは介護福祉士の上位資格のことです。
介護福祉士のリーダ的な役割を果たし、介護現場だけではなく事業所全体のサービス向上に貢献するスキルを求められます。
介護福祉士としての経験を積んだ方が、さらなるキャリアアップとして目指すことができる資格です。
認定介護福祉士に求められること
認定介護福祉士に求められる役割には主に次の3つがあります。
- 施設・事業所のサービスマネージャー
- 介護サービス提供における連携の中核となる者
- 地域における介護力向上のための助言
施設・事業所のサービスマネージャー
認定介護福祉士は現場の教育者的立場を担います。
ユニットなどの介護職チームに対する指導や介護サービスマネジメントを行うことにより、施設全体のサービスを向上させる役割です。
人材育成も認定介護福祉士の重要な任務の一つと言えます。
介護サービス提供における連携の中核となる者
認定介護福祉士は他職種との連携の中核となる存在です。
医師、看護師、リハビリ職などとの連携・共同により地域包括ケアを推進する役割を果たします。
地域における介護力向上のための助言
勤務施設に留まらず、地域において教育指導を行うことも認定介護福祉の役割の一つです。
地域住民やボランティア、家族介護者に専門家としてのアドバイスを行います。
このようにして、地域全体の介護力を高めることに貢献するのが特徴です。
認定介護福祉士に必要なスキル
認定介護福祉士には深い専門知識や実践的なスキルが求められます。
そのスキルの中には一介護職員として必要なスキルにプラスアルファで必要となる事柄も。
認定介護福祉士に求められる役割を果たす上で必要なスキルは次の3つです。
- コミュニケーション能力
- リーダーシップ
- 管理能力
それぞれのスキルが必要な理由を解説します。
コミュニケーション能力
認定介護福祉士は介護対象の方だけではなく、ご家族、医療関係者、地域関係者など各方面とコミュニケーションをとり、繋ぎ役となる場面があります。
各方面と連携を図り、一人ひとりに最も適切な介護サービスを提供するためには、コミュニケーション能力が欠かせません。
リーダーシップ
認定介護福祉士は教育者としての役割も果たすため、リーダーシップが必要です。
専門的な知識や介護福祉士としての経験を生かした教育を行い、介護施設全体のサービス向上を目指すことが求められます。
現場での実践力だけではなく他の介護士を育てる指導力が必須です。
管理能力
認定介護福祉士は所属の施設内で管理職を担うことも少なくありません。
サービス管理や人材マネジメントなどの能力が必要となる役職です。
適切な人材を適所に配置し、施設全体のサービス実態を把握する管理能力があれば、より質の高い介護サービスを提供することにつながります。
また、働きやすい職場づくりに貢献することにもなるでしょう。
認定介護福祉士の目的
介護現場は人手不足が続いていることもあり、一人ひとりの介護士に負担がかかりやすい傾向にあります。
そこで、専門的な知識と経験を持った管理職が指導教育や配置を行うことで、介護の現場をより質が高く効率的なものにすることができます。
介護現場での経験と知識の深い認定介護福祉士がリーダー職につくことで、施設また地域全体の介護力向上に期待できるのです。
認定介護福祉士の取得要件
認定介護福祉士になるには、認定介護福祉士養成研修を修了する必要があります。
研修の受講にあたっては以下の条件に満ちていなければなりません。
- 介護福祉士の資格及び5年以上の実務経験
- 介護職員を対象とする現任研修の受講歴100時間以上
- 研修実施団体の課すレポート課題か受講試験で一定水準以上の成績をとっていること。(免除の場合もあり)
- 介護職の小チームのリーダー経験があること
認定介護福祉士養成研修の全カリキュラムは600時間です。研修完了までには大抵1年半ほどの期間を要します。
認定介護福祉士と介護福祉士の違い
認定介護福祉士と介護福祉士の違いを表にまとめましたのでご覧ください。
認定介護福祉士 | 介護福祉士 | |
資格の認定機関 | 民間 | 国家 |
給料 | 介護福祉士の給与+リーダー手当て等 | 平均32万9,250円 |
資格取得要件 | 養成研修の修了と申請の受理 | 国家試験合格 |
求められる役割 | 管理職、指導係 | 介護職員 |
それぞれの項目をさらに詳しく解説します。
資格の認定機関
介護福祉士は国家資格であるのに対し、認定介護福祉士は民間資格です。
介護福祉士になるには国家試験が取得の条件なのに対し、認定介護福祉士は養成研修の修了が必要とされます。
給料
認定介護福祉士の資格を持つ人数はまだ少なく、給料についての公的な情報はありません。
厚生労働省の調査では、介護福祉士の平均給与は32万9,250円です。
認定介護福祉士も基本的には同程度の給与と予想されますが、施設によりリーダー手当て等がつく場合もあるでしょう。
介護福祉士よりもできる仕事の幅が広がるため、職務手当てが充実している職場では給与アップが望めるかもしれません。
資格取得要件
認定介護福祉士になるためには、前提として介護福祉士の資格と実務経験5年以上が必要です。
条件を満たした上で、養成研修を修了すると資格取得できます。
介護福祉士の国家試験を受けるためには実務経験が3年以上求められます。
つまり無資格から認定介護福祉士になるためには、合計8年以上の期間を要することになるのです。
求められる役割
認定介護福祉士と介護福祉士では求められる役割も異なります。それぞれの役割は次の通りです。
認定介護福祉士
介護職員への教育、施設全体のサービスの質向上に向けた指導係を担います。
介護利用者だけではなく、ご家族、医療スタッフ、地域関係者とコミュニケーションを行う中核的な存在です。
一介護職員として直接現場で働く機会は少なくなる場合もあります。
介護福祉士
身体介護や生活援助、相談対応など介護現場における実務で活躍します。
介護福祉士は国家資格なので、専門性を生かした現場での介護サービスの提供が可能です。
継続的なスキルアップ
介護福祉士には更新制度がないのに対し、認定介護福祉士は5年ごとの更新の申請が必要です。
更新のためには研修や研究活動、講師などの活動を通しポイントを取得することが求められます。
認定介護福祉士は取得した段階のスキルにとどまらず、継続的に自己研鑽していくことが必要なのです。
介護福祉士のキャリアアップにおける認定介護福祉士
認定介護福祉士は、介護福祉士がキャリアアップのために目指せる資格の1つです。
介護福祉士よりも取得する条件が厳しい認定介護福祉士は介護資格の中では最上位資格に位置付けられます。
認定介護福祉士にステップアップすることで、現場で培ったキャリアを育成や管理に生かすことができ、よりやりがいを持って働くことができるかもしれません。
認定介護福祉士資格の取得までにかかる期間とお金
認定介護福祉士資格の取得にかかる期間とお金は、各養成研修の実施要件によって異なります。
ここでは、長野県介護福祉士会と京都府介護福祉士会の2つの実施団体の場合を参考にしてみましょう。
長野県介護福祉士会の場合
長野県介護福祉士会の直近で行われた養成研修は平成31年度研修です。
この研修は平成31年7月20日〜平成33年4月までの全42日間開催 でした。つまり計1年9ヶ月の期間がかかることになります。
受講料は、会員357,000円、非会員609,000円でした。
京都府介護福祉士会
京都府介護福祉士会の直近の養成研修は、令和2年6月1日から令和4年10月頃まで、全44日間開催と告知されています。計2年4ヶ月の期間です。
受講料は会員286,000円、非会員572,000円で、京都府からの助成金があるため他県より安い費用となっています。
認定介護福祉士養成研修のカリキュラム
認定介護福祉士の資格を取得するためには、養成研修の全22科目37単位全てを修了する必要があります。
要請研修はⅠ類とII類に分かれます。それぞれのカリキュラムの内容を見ていきましょう。
養成研修Ⅰ類のカリキュラム
養成研修Ⅰ類は介護実践力の習得を目的としたカリキュラムです。
医療やリハビリ、認知症、心理的・社会的支援などの知識を中心とします。
また他の職種との連携、利用者の尊厳や自立支援に沿った介護プロセスの展開、チームのリーダーへの指導方法なども学ぶのが特徴です。
受講科目 | 時間数 |
認定介護福祉士概論 | 30時間 |
疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅰ | 30時間 |
疾患・障害等のある人への生活支援・連携II | 30時間 |
生活支援のための運動学 | 10時間 |
生活支援のためのリハビリテーションの知識 | 20時間 |
自立に向けた生活をするための支援の実践 | 30時間 |
福祉用具と住環境 | 30時間 |
認知症のある人への生活支援・連携 | 30時間 |
心理的支援の知識技術 | 30時間 |
地域生活の継続と家族支援 | 30時間 |
認定介護福祉士としての介護実践の視点 | 30時間 |
個別介護計画作成と記録の演習 | 30時間 |
自職場事例を用いた演習 | 30時間 |
養成研修II類のカリキュラム
養成研修II類は、指導力や判断力、根拠を見出す力、創意工夫する力などを養うことを目的とします。
サービス管理において必要な手段を整理し、根拠に基づいた改善や指導を行う方法を学ぶカリキュラムです。
また、地域の介護力を高め展開する方法についても学びます。
受講科目 | 時間数 |
疾患・障害等のある人への生活支援・連携Ⅲ | 30時間 |
地域に対するプログラムの企画 | 30時間 |
介護サービスの特性と求められるリーダーシップ、人的資源の管理 | 15時間 |
チームマネジメント | 30時間 |
介護業務の標準化と質の管理 | 30時間 |
法令理解と組織運営 | 15時間 |
介護分野の人材育成と学習支援 | 15時間 |
応用的生活支援の展開と指導 | 60時間 |
地域における介護実践の展開 | 30時間 |
介護福祉士ファーストステップ研修とは?
認定介護福祉士の養成研修を受ける条件の1つが、現任研修の受講です。
養成研修の実施団体によっては、ファーストステップ研修の修了を必須としている場合もあります。
ここでは認定介護福祉士を目指すステップ、介護福祉士ファーストステップ研修がどのようなものなのか次の項目を解説します。
- 目的
- 研修内容
- 受講条件
- スケジュール
- 費用
早速1つずつ見ていきましょう。
目的
介護福祉士ファーストステップ研修は、小規模チームのリーダー養成を目的とした研修です。
ケア、連携、運営管理基礎の3領域から、より専門的な知識を学びます。
自身の業務を振り返り、チームリーダーとして適切な指導・助言が行うことを目指すものです。
研修内容
カリキュラムは全14科目計232時間で、科目の内容は次の通りです。
- 利用者の全人性、尊厳の実践的理解と展開
- 介護職の倫理の実践的理解と展開
- コミュニケーション技術の応用的な展開①
- コミュニケーション技術の応用的な展開②
- ケア場面での気づきと助言
- 家族や地域の支援力の活用と強化
- 職種間連携の実践的展開
- 観察・記録の的確性とチームケアへの展開
- チームのまとめ役としてのリーダーシップ
- セーフティマネジメント
- 問題解決のための思考法
- 介護職の健康・ストレスの管理
- 自職場の分析
- 総合評価
受講条件
介護福祉士ファーストステップ研修を受けるには、介護福祉士の資格を取得していなければなりません。
資格取得後2年程度の実務経験者が対象とされています。
スケジュール
介護福祉士ファーストステップ研修のスケジュールは各実施団体によって異なります。
例として、広島県介護福祉会では、2021年7月〜2022年2月まで全15日間の日程で実施しています。
この場合のように約1ヶ月半に1回開催されるペースの場合は8ヶ月ほどで修了できるスケジュールです。
費用
費用も各実施団体によって異なります。
前述の広島県介護福祉会の場合は、会員55,000円、会員外95,000円です。
埼玉県介護福祉会は、会員60,000円、会員外120,000円とされています。
費用の違いについても申し込みの前に調べておくと良いでしょう。
認定介護福祉士資格になろう
この記事では、認定介護福祉とはどのような仕事なのか?また、給料や資格取得の方法についてご紹介しました。
認定介護福祉士は介護福祉士のキャリアアップのための資格と位置付けです。
介護福祉士が現場で培った経験や知識をもとに、介護施設や地域の提供する介護サービスの質向上を助けるリーダー的な役割を果たします。
取得するまでには比較的長い期間や厳しい条件が求められますが、幅広い役割を担うことができるやりがいの多い仕事です。
この記事が、認定介護福祉士について理解し、目標を検討する助けの1つになれば幸いです。