60代でも介護職へ転職できることをあなたは知っていますか?
この記事では「60代から介護職へ転職する方法」について解説していきます。結論、介護職は人手不足な業界なので60代の未経験でも転職が可能です。
60代で介護職への転職を検討する際、知っておきたい「転職を成功させるためのポイント」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。
その他にも「60代ならではのメリット」や「転職の注意点」「オススメの就職先」について説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んで60代からのセカンドキャリアに役立てていただければ幸いです。
また「50代の介護職への転職」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
60代で介護職への転職は可能
60代になると、それまで勤めていた会社を定年退職し、第二の人生をスタートする年代です。人生まだまだこれからとして、新たな挑戦をする方も多いでしょう。
そんな中で視野に入ってくるのが転職です。中でも介護の仕事は社会貢献できるとあって魅力に感じている方が多くいます。
介護職は未経験の60代でも問題なく転職できる仕事です。その理由は、以下から来ています。
- 介護職員の中でも60代の比率は高い
- 介護職は常に人手不足
- 利用者さんとの円滑なコミュニケーションを期待されている
介護職員の中でも60代の比率は高い
介護業界は全体的に見て年齢層が高い傾向にあります。男性・女性共に平均年齢が40代後半とあって、60代・70代でも働いている人が多く居ます。
特に訪問看護の仕事は60代の比率が非常に高く、全体の約4割を占めるほどです。そのため60代の求人も多く転職する際に困ることはないでしょう。
介護職は常に人手不足
介護業界は常に人手不足に悩まされています。その理由は需要と供給のバランスにあります。少子高齢化によって高齢者がどんどん増えていく中、若い世代の増加率は芳しくありません。
若い世代よりも高齢者の方が圧倒的に多いこともあって、人手不足な状況に陥っているのです。
どの事業所も猫の手も借りたいほど忙しく、60代でも人材として欲しいと思っているところばかりとなっています。更に未経験でも働ける土壌も整っていることから、60代でも転職しやすい業種となっています。
利用者さんとの円滑なコミュニケーションを期待されている
60代は施設の利用者と年代が近いこともあって、話しやすい存在です。孫ほど歳の離れた職員よりも、子どもと同年代の人に対しての方が話しやすいため、60代はコミュニケーションを目的として採用されることも多々あります。それまで培った社会経験もあり、人との接し方や対応力など若者には無い強みがあります。
これらのことから、60代は介護職へ転職するにあたって最初から強みを持っています。介護職は突き詰めれば人と人が支え合う仕事です。業務の中で様々なコミュニケーション能力が求められることもあって、円熟した60代の能力は大きな戦力となってくれます。
介護業界はその強みを知っているからこそ、60代からの転職も受け入れているのです。
60代が介護職へ転職するメリット
60代が介護職へ転職すると様々なメリットが得られます。定年を迎えると再雇用か転職かで悩む方にとって、これは非常に大きなポイントです。特に以下のメリットは見過ごせません。
- 長期的に働ける
- 働き方を柔軟に選べる
- 就職先の選択肢が多い
- 介護の知識・技能が身につく
それぞれどのようなメリットなのか具体的に解説します。
長期的に働ける
60代で介護職に転職するメリットとして、長期的に働けるというのが挙げられます。これは介護業界の労働者のうち、25%近くが60歳以上を占めていることからも明らかです。これは年々増加しており、転職先として考えられている証拠とも言えます。
特に定年後のセカンドキャリアとして考えている方が多く、60代はもちろん70代となっても活躍できる場所として選ばれている傾向にあります。
長期的に働ける場所を探しているのなら、介護職はピッタリと言えます。
働き方を柔軟に選べる
介護職は働き方を柔軟に選べるのもメリットの1つです。正規職員にこだわりさえしなければ、派遣やパート、アルバイトなど多彩な働き方を選択できます。
2022年9月現在において、介護職員の約4割は非正規雇用です。しかもそのうち5割近くが短時間労働者となっています。更に事業所によっては、未経験や年齢不問でも正社員として働けるところも。
定年になって新しいことを始めながら働きたいと考えている方でも柔軟な対応ができます。個人に合わせた働き方ができるのは、介護職へ転職する大きなメリットなのです。
就職先の選択肢が多い
就職先の選択肢が多いのも60代から介護職へ転職する際にメリットとなってくれます。なぜならその数は全国で1万箇所以上にもなるからです。そのため就職先の選択肢が非常に広いと言えます。
しかも介護施設には様々なものがありますが、老人ホームだけで1万箇所以上です。グループホームや特別養護老人ホームなどを入れればその数は更に増えます。もはやコンビニを探すくらい簡単に事業所を見つけられるでしょう。
今後、介護需要は増加していくのは間違いありません。それに従って介護事業所も増えていきますから、ますます選択肢が増えることに。選択肢が多いということは、近所で就職先を見つけやすくもなります。自分の希望通りの事業所もあるでしょう。
このように介護職は就職先の選択肢が非常に多いため、転職時に希望を叶えやすいメリットがあります。
介護の知識・技能が身につく
60代が介護職へ転職するメリットとして、介護の知識・技能が身につく点も挙げられます。実地で働いているのですから当然ですよね。
特に60代となると、年齢的に親族の介護をする場面が増えてきます。そうした時に活かせる知識や技能が、働いているうちに自然と身についていきます。通常ならば何もわからないまま介護をしなければいけない場面であっても、事前に仕事で対応したことがあれば慌てずにできます。他にも、以下のようなことも。
- 入居する施設の選び方
- 介護保険のお得な使い方
- 日々のサポート
これらは知っておいて損のないことばかりです。介護に関する知識や技能を仕事の中で身につけ、実生活に活かせるのは介護職へ転職する上で大きなメリットといえます。
60代以上で介護職へ転職した人は多い
60代といえば定年です。それまで勤め上げた会社を辞める方も多くいるでしょう。しかし60代はまだまだ現役。働きたいと考えている人は多く、再雇用を願う方も増えてきています。一方でセカンドキャリアとして新しい道を選ぶ方も。
そんな方々が転職先として選んでいるのが、介護職です。介護職に就くことで、誰かの役に立ち、なおかつ社会貢献もできることから人気を集めています。資格が不要であったり未経験でも大丈夫であったりする点も大きいでしょう。困っている人の力になれることもあって、やり甲斐を感じる方も多くいます。
正しい介護スキルを身につければ、自分の家族を介護する時にも活かせます。事務仕事ならば体に負担もかかりにくいため、無理をしない働き方も可能です。そのため60代以上で介護職へ転職した人は非常に多く、年々増加しています。
60代が介護業界へ転職する際の注意点
60代にとって介護職は転職しやすいと言えます。しかし転職の際には注意しておきたいポイントがいくつかあります。特にこれまでずっと同じ職場で働いてきた方にとって、難しいと感じてしまう部分です。円滑に業務をこなすためにも、以下の点には注意しましょう。
- 職場ごとにルールやマナーは違う
- 年功序列の考え方を捨てる
- 利用者さんや職員の顔を覚える
- スマホやタブレットの操作に慣れる
- 無理をしない
それぞれ詳しく解説します。
職場ごとにルールやマナーは違う
60代に限らず、転職することで新しく覚えなくてはいけないことは沢山あります。中でもルールやマナーは重要です。職場が違えば仕事内容はもちろん、ルールや習慣も変わって当たり前。これまで自分が当たり前だと思っていたことが、今の職場では非常識となることもあるでしょう。
今の職場は前職とは違うと意識し、一旦全てをリセットして働くことが大切です。つい昔ながらのやり方でやろうとしてしまっても、踏みとどまる勇気が必要となります。もちろん、これまで培った社会経験の中で、現在行っている業務が非効率だと感じたら改善を提案してみるのも良いでしょう。
ただし根本的な部分で職場ごとにルールやマナーが違う点は意識しておいてください。
年功序列の考え方を捨てる
60代で介護職へ転職する際、年功序列の考え方を捨てましょう。なぜなら、上司や先輩のほとんどが自分より年下だからです。年功序列の考えを捨てきれず、自分の方が年上であると思っていると、指示されたり意見されたりすると腹立たしさを感じてしまう可能性があります。
しかし反発していては良好な人間関係の構築はできません。仕事にも差し支えるでしょう。特に介護は専門家の指示を受けて業務をこなしていくので、自分流は通用しません。適切な介護・処置のためにも上の指示は素直に聞くことが大切です。
介護職へ転職する際は、年功序列の考えを捨てて謙虚な態度で臨みましょう。
利用者さんや職員の顔を覚える
利用者さんや職員の顔をちゃんと覚えるのも忘れてはなりません。介護の仕事で一番大切なのはコミュニケーションだからです。まず自分がどんな人たちと関わっていくのかをしっかり覚えることで、仕事のやり方が大きく変わります。
人は自分の名前を呼ばれると嬉しいもの。利用者さんや職員の名前と顔を覚えることで会話がしやすくなり、介護する時も気さくに話しかけられます。介護をする時の声かけも職員とスムーズにできるようになるでしょう。
また、職員の名前と顔を覚えることで、質問もしやすくなります。わからないことがあったらすぐに質問し疑問を解消できるため、仕事を円滑に進める上でとても大切です。もし覚えるのが苦手な場合は、手帳やノートに特徴を書き込むなどをオススメします。
スマホやタブレットの操作に慣れる
スマホやタブレットの操作にも慣れておきましょう。近年は介護業界でもデジタル化が進んでおり、スマホやタブレットを導入している施設も多いからです。国もIT導入を推奨しており、厚生労働省から居宅サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引きが配布されているほど。
例えば利用者さんの状態を記録し円滑な介護ができるようにしたり、体調が悪くなった際に近くの病院に受診できるよう紹介状を出力したりと、様々な場面で活用できます。そのためスマホやタブレットの操作が苦手だと感じている人でも、否応なしに仕事で使う場面が出てきます。もし1分1秒を争う事態になった時に、使えないからできませんは通じません。
そのため自宅で家族に協力してもらい、スマホやタブレットの練習をしてみることをオススメします。少しでも慣れておくことで、日々の業務の効率化にも期待できます。
参考資料:厚生労働省「居宅サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き」
無理をしない
無理をしないのも、60代が介護職へ転職した時に注意したいポイントです。60代ともなれば若い頃のように無理ができない年齢のため、体に負担をかけないように働く必要があります。職場の20代~40代の世代と同じようなことはもうできません。
そのため周りと同じように動けないと不安を感じることも出てきます。少しでも周りに負担をかけないようにとするあまり、無理をして逆に体を壊してしまう可能性も。
体力的に仕事が難しいと感じた場合は、その胸を伝えて自分にできることをすましょう。そうすることが、最終的には全員に負担をかけない最良の方法になります。60代で介護職へ転職する方は、無理をしないことを大前提としましょう。
60代が介護職に転職する時に知っておきたいこと
60代で介護職に転職する際、事前に知っておいた方が良いことがあります。介護職は転職しやすい業界ですが、何となくで転職しては後でミスマッチを起こしてしまいかねません。特に以下の2つはどこでも当てはまるので注意しましょう。
- 身体的な負担が大きい
- 給料が低い
身体的な負担が大きい
介護職は身体的な負担が大きいため注意しましょう。介護職は体力勝負です。体が資本と言っていいでしょう。資格を持っていないと介護補助や送迎が中心となりますが、それでも力の入らない人1人を支えるのですから、体に大きな負担がかかります。特に腰を痛める可能性が極めて高いです。
近年は補助用のベルトやロボットがありますが、全ての施設で導入しているわけではありません。60代ともなると体を一度壊すと若い頃のように完治するのも難しくなってくるため、細心の注意を払う必要があります。そのため介助時にどのような道具を使っているのかは、転職時に聞いておくことをオススメします。
また、事業所によっては夜勤がある可能性も。シフト勤務になると時間の感覚がなくなり体調を崩しやすくなります。人のいない職場では、タイトなスケジュールなところもあるでしょう。人手不足から来る身体的な負担は、介護業界へ転職する際に必ず感じる部分なので、覚えておいてください。
給料が低い
介護業界は全職種の中で見ても給料が低い部類となっています。特に無資格の場合は手当もつかないため、今までもらっていた給料からだいぶ下がります。介護職の給料面は政府も問題視しており、近年少しずつ改善傾向にはありますが、まだ低い水準のままです。
その大きな理由は介護報酬制度によるもの。職員の給料は介護報酬制度から支払われるため、どうしても上がりにくい側面があるのです。高い介護報酬を得るには要介護度の高い利用者を介護するしかありませんが、そうすると人的負担が大きくなります。そのため非常に難しい問題となっています。
60代で介護職に転職するなら、再雇用と同等かそれ以下の給料になるということは覚えておきましょう。
60代が介護職へ転職を成功させるためのポイント
60代がセカンドキャリアとして介護職へ転職する場合、成功させるためのポイントがあります。新たに挑戦するのなら、失敗したくないもの。気持ちよく働くためにも、事前の準備は大切です。特に以下のポイントには気をつけてください。
- 家族の理解を得る
- 事前に施設の情報を集める
- 職員の年齢層を確認する
家族の理解を得る
60代で介護職へ転職を考えているなら、まずは家族の理解を得ましょう。給料が下がったり、体を壊したりする可能性が高いからです。事前に家族へ相談し、理解を得ておくことが転職のための第1歩となるでしょう。
事業所によっては夜勤となることもあるため、家族の理解無くして介護職への転職は難しいのが現状です。また介護の仕事は身体的にも負担となるため、万が一体を壊してしまった時にも相談しやすい状態にしておきましょう。そうすることで安心して働けます。
また給料も下がるため、家によっては家計の見直しが迫られるところも出てきます。介護職へ転職する意向を家族に伝え、しっかり理解を得てから転職するようにしてくださいね。
事前に施設の情報を集める
希望の施設がある場合、転職前に施設の情報を集めておきましょう。職場の状態を知り、入社後のミスマッチを防ぐためです。
コロナ禍以前は見学ができたこともあって職場の空気を肌で感じられたのですが、コロナ禍以降は施設に入れないところも多いため、情報収集の方法が変わっています。口コミサイトや実際の利用者の声がベストとなるでしょう。
中でも特に見ておきたいのが以下の3つのポイントです。
- 職員の言葉遣いは丁寧か
- 職場は整理整頓されているか
- 職場の制服には清潔感があるか
見学ができなくなった今、確認するのが難しい部分ですが面接を受ける際にチェックしておきましょう。これらが酷い状態だと環境的に合わない可能性が高くなります。他にも実際に働いている人が知り合いにいるのなら聞いてみるのもオススメです。
転職前になるべく情報を集め、最悪は辞退することも考えて臨みましょう。
職員の年齢層を確認する
職員の年齢層を確認しましょう。実際に60代の人が働いているのなら、自分でも働ける職場だという証拠になるからです。特にチェックしたいのが、60代の方が何人いるかです。一般的に多ければ多いほど、負担の少ない職場だと判断できます。
新しい場所で新しい挑戦をするのは誰でも不安になるものです。それは60代で介護職へ転職する際も同じ。失敗しないためにも、同年代の人がどれだけ働いているかは重要です。若い人ばかりの介護施設の場合、自分がどのような仕事を任されるのかは確認しておくと良いでしょう。
60代が介護職へ転職するならオススメの施設
60代で介護職へ転職する際、なるべく体に負担のかからない事業所を選びたいのは誰しも思うことです。しかし介護業界には様々な形態の介護が提供されているため、未経験だと何を選べばいいのかわからないのも事実です。
選び方は様々ですが、オススメは介助が少なく、送迎や服の脱着など簡易的な介助が中心となる仕事です。グループホームかデイサービスとなります。それ以外は身体的にもハードなため、自信の体の状態によって働くかどうかを決めると良いでしょう。
ただ全てに共通しているのが、介護はできないという点です。介護をしていいのは国家資格を持っている人間だけであり、あくまでも介護補助という役割で手伝うことしかできません。しかし補助といっても力仕事となるため、注意してくださいね。
施設名 | サービス概要 | 入居対象 |
グループホーム | 認知症高齢者が共同生活する施設 | 要支援1~2、要介護1~5(全介助は対象外) |
デイサービス(通所介護) | 介護を目的とした日帰り施設 | 要支援1~2、要介護1~5 |
特別養護老人ホーム(特養) | 介護を目的とした入居施設 | 要介護3~5 |
介護老人保健施設(老健) | 機能回復を目的とした短期入居施設(最大3ヶ月) | 要介護1~5 |
訪問介護(ホームヘルパー) | 介護を目的とした自宅訪問サービス | 要介護1~5 |
これらの他に介護医療院などもありますが、それらは病院の施設となるため転職は難しいです。グループホームとデイサービスは要支援の方でも利用できるため、比較的負担なく働ける傾向にあります。
60代でも介護職への転職はできる
60代でも介護職への転職は可能です。むしろセカンドキャリアとして多くの方が介護職を希望しています。介護業界としても人手不足を解消してくれる貴重な戦力として、60代に期待している部分も大いにあります。特に利用者さんとの年齢も近いため、寄り添った介護ができるでしょう。
また、介護職に転職することで60代・70代と長期的に働けるのはもちろん、介護の知識や技能を身につけられるため実生活で役立てられるメリットも。一方でそれまで勤めていた会社の常識やルールは通用しないため、転職の際は一旦リセットして働くことが大切です。近年はデジタル化も進んでいるため、スマホやタブレットも恐れず使っていきましょう。
60代は身体的にも介護の仕事を負担と感じる年齢です。しかし自分の長所や短所を理解し周囲と合わせることで、60代ならではの働き方ができます。介護職へ転職する際は、事前の調査をしっかりした上で、施設を選ぶようにしてくださいね。