登録販売者の難易度について知っていますか?
この記事では「登録販売者の難易度」について解説していきます。
結論、登録販売者は国家資格のなかでは比較的取得しやすい資格と言えるでしょう。
登録販売者を検討する際、わかりづらい「登録販売者の難易度」を調査した結果をまとめたので、ぜひ見ていただければと思います。
その他にも「登録販売者を取得する意味」の説明や、「登録販売者を取得するメリット」について説明していきたいと思いますので、ぜひこの記事を読んで夢の登録販売者の情報を手に入れていただければ幸いです。
また「介護関連資格」について知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。
登録販売者の難易度とは?
登録販売者は国家試験の1つなので、難しそうというイメージがあるかもしれません。
しかし、実際には登録販売者の難易度は低めです。
登録販売者の合格率
登録販売者の合格率は、全国平均では約40〜50%です。
ただし、試験は都道府県ごとに実施され、試験の実施年度や実施地域によって合格率には差があります。
この約40〜50%の合格率は、国家試験の中では難易度が低い部類に入ります。
具体的な数字で言いますと、難関で有名な行政書士の合格率は約11%、司法試験は33〜34%とされています。
また、登録販売者は試験の合格率だけではなく、受験資格も他の国家試験と比べて難易度が低いです。
たとえば薬剤師国家試験は受験資格を満たすまでに最低6年の期間を要しますが、登録販売者の場合は誰でも受験が可能で、ハードルが低い試験といえます。
登録販売者がぶっちゃけ意味ないと言われる理由
登録販売者の国家試験は難易度が低い点が受験のメリットです。
その一方で、資格をとってもあまり意味がないという声を聞くこともあります。
登録販売者の資格に意味がないと言われる主な理由は、次の3つです。
- 合格の難易度が低い
- 規制緩和の影響を受ける可能性がある
- 登録販売者の占有業務が少ない
それぞれ、その背景をご説明します。
合格の難易度が低い
登録販売者は合格の難易度が低い分、資格としての価値が低いと考える人もいます。
薬を扱う資格には登録販売者の他に、同じく国家資格の薬剤師や調剤薬局事務があります。
登録販売者の難易度は薬剤師と調剤薬局事務の中間です。
薬剤師の合格率は60〜80%と高めですが、試験を受けるためにはある6年制薬学部の卒業という難しい条件があります。
薬剤師は難易度も高い分、希少価値も高く職には困らない職業とも言われるでしょう。
また、薬剤師が医薬品全般の販売ができるのに対し、登録販売者が販売できる医薬品の範囲は限られています。
合格の難易度や職務の範囲が薬剤師と比べられてしまい、登録販売者の資格の価値が低いとみなされてしまうのは、資格に意味がないと言われる理由の1つです。
規制緩和の影響を受ける可能性がある
医薬品販売に関しては、1964年に厚生労働省が発布した「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」により定められた「2分の1ルール」という規制があります。
2分の1ルールは、店舗の営業時間のうち半分以上はOTC医薬品を販売できる薬剤師もしくは登録販売者が常駐しなければならないというものです。
このルールは本来、消費者が医薬品を安全に使用でき、OTC医薬品に関して専門家に相談できる環境を確保することを目的として定められました。
しかし、現在コンビニエンスストアなどの営業時間が長時間にわたる店舗で医薬品を入手したいという声が高まっています。
長時間営業する店舗では「2分の1ルール」を満たすことが難しいため、このルールそのものを撤廃する議論が日本フランチャイズチェーン協会を中心に行われています。
将来的に2分の1ルールが撤廃されれば、医薬品を扱う店舗での登録販売者の配置が不要となるでしょう。
そのため、日本医薬品登録販売者協会では登録販売者の働く場が減少するとの懸念を示しています。
登録販売者の占有業務が少ない
資格取得のメリットは、占用業務が可能になるため、就職や転職に有利という点です。
しかし、登録販売者の占有業務は少ないため、それほど資格取得にメリットがないのではないかとも言われています。
登録販売者は2009年の薬事法改正に伴い生まれた比較的新しい資格です。
それ以前は、医薬品の販売ができるのは薬剤師と薬種商という資格を持った人に限られていましたが、法改正により、一部分の医薬品を登録販売者が販売できるようになりました。
現行の薬事法によると医薬品のうち、登録販売者が扱える医薬品は第2類医薬品と第3類医薬品に限られています。
全ての医薬品を網羅できる薬剤師に比べると、占有業務が限られてしまい、登録販売者の資格を取得する意味があまり感じられないという意見もあるでしょう。
登録販売者の難易度が簡単すぎと言われる4つの理由
登録販売者取得が簡単すぎると言われるのには、次の4つの理由が挙げられます。
- 都道府県ごとに合格率が異なる
- 年齢制限がない
- 独学でも合格する人が多い
- 口述試験がない
都道府県ごとに合格率が異なる
登録販売者の試験は都道府県ごとに日程が異なり、出題される内容も異なります。
そのため、都道府県ごとに合格率が異なり、その差は大きい時には2〜3倍になる年度もあるほどです。
たとえば、2020年度の試験では、合格率が最も高かった広島県は58.1%であったのに対し、最も低い埼玉県では30.1%でした。
基本的にどの都道府県でも厚生労働省発表の「試験問題の作成に関する手引き」から出題となり、なるべく難易度の差が生まれないための工夫はされています。
しかし、実際の数字にはこのような差が出ているのが現状です。
そのため、一度受験して合格できなくても、再受験の際に比較的簡単な年度、地域に当たれば合格できてしまう可能性も考えられるでしょう。
年齢制限がない
以前の登録販売者の受験資格には、薬局などでの実務経験の条件がありました。
しかし、平成27年の登録販売者の制度の改正で受験資格の見直しが行われ、年齢や学歴に関係なく、誰でも取得することができるように変更。
年齢制限がなくなったことは、登録販売者取得の難易度を下げる1つの要素となっています。
たとえ、一度挑戦して不合格だったとしても、年齢にとらわれずいくらでも再挑戦の機会があるという点は大きなメリットです。
たとえば、薬剤師試験を受験するには6年制薬学部の卒業という条件があります。
社会人の人が資格取得を目指すことも不可能ではありませんが、試験を受けるには仕事をやめて大学に入り直すという大きな調整が必要です。
受験資格を得るだけでも大きなハードルがあるため、中高年以上の年齢の人は挑戦をためらってしまうかもしれません。
その点、登録販売者は特に受験条件はなく誰でも受けられるため、社会人や中高年以上の人でもいつでもチャレンジできます。
登録販売者は薬剤師の下位資格とも言える職種のため、年齢や期間的な問題で薬剤師を諦めた人は、登録販売者を目指すことができるでしょう。
独学でも合格する人が多い
登録販売者の試験の内容は、独学でもできる簡単なものです。
登録販売者試験の問題は、毎年国のガイドラインに沿って都道府県ごとに作成されています。
試験の過去問題は各都道府県のホームページに掲載があり、無料で見ることが可能です。
1年だけでも都道府県の数の47通りの過去問があるため、去年分の問題を全て解くだけでも十分な試験対策になります。
各都道府県のホームページには問題と解答は載っていますが、解説は載っていません。
そのため、効率よく独学したい場合は、解説付きの過去問題集を使用すると内容を理解しながら学習を進めるといいでしょう。
口述試験がない
国家試験によっては、口述試験があるものもあります。
司法書士、海事代理士、弁理士などの2次試験には口述試験があり、面接のような内容の試験を実施。
国家試験の口述試験の目的は、カンニングなどを防ぐため、口述で問題に対する回答を求めるものです。
緊張に弱いタイプの人は、面接や口述試験などで本領を発揮できず失敗してしまうことが心配になるでしょう。
しかし、登録販売者の試験は全てマークシート方式のため、口述試験の心配がありません。
登録販売者の試験方式も、試験が簡単すぎると言われる要素の1つです。
登録販売者を取得するメリット
登録販売者の取得には意味がないという声がある一方で、国家資格ならではのメリットもあるのは事実です。
ここでは、登録販売者の資格を取得する以下の5つのメリットをご紹介します。
- 資格が失効しない
- 資格手当がつくことがある
- マークシートのみで合格できる
- 転職先で評価される可能性がある
- 国家資格保有者になれる
資格が失効しない
登録販売者の資格は、一度取得すれば失効の心配がなく、更新の必要もありません。
そのため、生涯の資格になるといえます。
医薬品を販売する店舗は全国どこにでも存在し、薬事法の規定があるため、資格者のニーズも常に一定数存在しています。
たとえ移転などで地域が変わっても、就職先が見つけやすく、同じ職種で働き続けられる点はメリットです。
販売職はシフト制など勤務時間に融通が効く場合も多いため、子育て中の主婦の方のパートにも適しており、生涯を通して働ける職業になるでしょう。
資格手当がつくことがある
登録販売者は、薬剤師に次ぐ薬の専門家とみなされ、資格を有していることで任される仕事の幅が広がる場合があります。
そのため、店舗によっては有資格者に資格手当てを設けているところも多いです。
すでにドラックストアなどで勤務している人が登録販売者の資格を取得すると、給与が上がるケースもあるでしょう。
また、正社員や店長、エリアマネージャーなどといったキャリアアップの道も開けやすくなる点はメリットです。
マークシートのみで合格できる
登録販売者の試験はマークシート形式なので、出題自体も難易度が低めです。
また、試験のベースとなる、厚生労働省の「試験問題の作成に関する手引き」は一般に公開されているため、繰り返し学習すれば試験問題の予想は難しくありません。
試験は全120問ですが、全体の70%以上、つまり84問以上の正答が合格ラインです。
マークシート形式なのでほぼ暗記の必要がなく、内容を理解していれば簡単に正答できるでしょう。
正解がわからない際も、正解の可能性が低い選択肢から外していけば、正答できる可能性があります。
問題形式が全てマークシートなのは、他の国家試験より有利なメリットと言えるはずです。
転職先で評価される可能性がある
転職活動をする際に登録販売者の資格を持っていると、有利な場合があります。
現状では2分の1ルールにより、薬品販売を行う店舗には有資格者が必要です。
そのため、ドラッグストアなどの店舗では無資格者に比べて採用される可能性が高くなるでしょう。
また、医薬品販売以外の職種でも登録販売者の資格が役立つことがあります。
たとえば、エステサロンなどの美容系の職業では、医薬系の資格を持っているとより医学に基づいたアドバイスができるため、資格が評価されるはずです。
介護系の仕事でも、薬に関する質問を高齢者から受ける機会が多く、登録販売者の知識が役に立つ場面があるでしょう。
有資格者であるという点だけではなく、資格取得のために学んだ知識が幅広く活かせる機会がある点も登録販売者のメリットです。
国家資格保有者になれる
一般的に知られている資格には、民間資格と国家資格があります。
国家資格は国によって認められている資格のため、民間資格より権威があるとみなされるのが一般的です。
たとえ他職種に就くとしても、国家資格を取得した経歴があるという点は一種のステータスとなります。
社会的な信用性から見ても、国家資格保有者になれることにはメリットがあるでしょう。
登録販売者の難易度について理解しよう
この記事のポイントをまとめると以下の通りです。
- 登録販売者の合格率は約40〜50%
- 登録販売者の出題は都道府県により出題が異なる
- 登録販売者の受験資格は特にない
- 登録販売者の資格を取ると医薬品の一部の販売ができるようになる
登録販売者の合格率は比較的高く、受験のための資格も特にはないのが、難易度が低い理由です。
登録販売者の出題は都道府県によって異なり、各庁のホームページで過去問題を見ることもできます。
登録販売者の難易度は低く、資格を取得すると仕事の幅が広がるのでおすすめです。
この記事で資格取得に関心を持たれましたら、まずは過去問題の確認から始めてみてくださいね。